「はぁ、やっと塾終わったマジだるいわァ…」
「wwそれなわかるwおつかれさん」
「そっちこそお疲れ様。あ、そういえば今日うちの親居ないんやけど、この前あかりが見たいって言っとった映画あるやろ?この前DVD借りてん。良かったら一緒に見やん?あれホラーやから一人で見るのは心細いんよ」
「しゃーなし、一緒に見てあげるわ」
「なっ、!?俺はあかりがみたいつっとったから誘っただけで!べつにしゃーなしとかなるんやったら来なくてかまへんわ」
「ww相変わらず照れ屋やなぁ蒼弥は。んーじゃ、邪魔するでぇ」
「はっ??どこn……え家の前やん」
「まさか分かってなかったんかいなw」
「わかるかいなどアホ」
「なんやて?あんたの方がアホやわこのバカだぬき」
「はぁぁぁぁww」こう楽しく会話していたのは俺、青田蒼弥と彼女の松田あかりだった。俺は高校3年生なりたて。でも塾で時間が取られまくっている。
「んじゃせーの」
《かーんぱーい!》と俺らは2人きりのリビングでオレンジジュースを乾杯した。
「いつもありがとな」
「なに急にw」
「ほんまごめん。今日4年半記念日なのになんも準備出来てないんよ。」
「え?あー!そうか今日で4年半なんか!ごめん私も忘れてたw最近忙しかったやん、しゃーない!!てか今のこの時間が1番のプレゼントやで、これからもずっと一緒にいてな、大好き」
「ありがとう、俺も大好きやで。あ、俺なんか食べ物あるか見てくる」
「おけおけぇ」
「あ、プロジェクター起動しとくから着いたら地上波でも見てて」
「お、ありがと」そうして俺はキッチンえ向かった。しかし、冷蔵庫の中、お菓子ボックス、ほかのどの棚を見ても美味しそうなものがなかった。
「えぇ、無いとかんな事あるかよ……しゃーない、コンビニ買いに行くか、あかりぃー」
「んー?」
「ちょっと食べ物ないからコンビニ行ってくるわ」
「いやそんなん別にいいのにww」
「いや映画観るんやからポップコーンぐらい欲しいやろ?しかももう夜遅いんやから、自分もお腹すいとるやろ」
「まあ空いとるけど家帰って食べればそれで済む話やから全然ええよ」
「まあとりま買ってくるわ」
「結局行くんかいなwおおきに」
「それ使う関西人多すぎやで」
「おおきにぃ、よろしく頼んだ気をつけてや」
「ほい、ありがとさん」と言い残し俺は家を出た。
「うぁ、まだ寒いなぁ、何買お、シャインマスカットボンボン関東限定やしな、悩むわぁ、とりまセブン行こ、」と思いいつもの行きつけのコンビニ向かった。しかし
「あ、移転したんだった」移転していたのを忘れていた。
「えーと移転先は……駅前か。あそこ車多いから嫌いなんよな」と呟きつつも渋々そっち方面へ向かった。
いつもの横断歩道。相変わらず車は止まらなかった。
「やっぱ止まらんなぁ、あ、止まった。珍し」と呟きつつ横断歩道を渡り始めた。そのときだった。
「 ギュウィィィィィィンブウォンゥォン」反対路線を走っていたトラックが急に暴走しだして俺が渡っていた横断歩道向かって爆速で走ってきた。俺は頭がフリーズし体が動かなかった。俺はその身で
跳ねられた。
「人が引かれたぞ!!」
「あのトラックを追え!!!!」
「誰か救急車!!!!!」あぁ、知らない人達が俺のために動いてくれている、今そう思うと申し訳ない気持ちになる。だがその時は意識はあったが頭は回っていなかった。手に生暖かい液体が絡んだ。これは血だろう。手は上にあるから、頭からだろうか。俺はこの時、もう長くは生きれないと心の中で思った。
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俺が目を覚ませばそこは案の定病院だった。
「おれ、い、きて、る」喋れない。喉に管が通っているのだろうか。思うように声が出せない。
「蒼弥!?蒼弥!!」
「あかり、?」
「そう!!あかりや!!蒼弥、うわぁぁぁん」俺の思考が止まっていたところで違う人が入ってきた。
「あかりちゃんどうしたの!?」母親だ。名前は青田薫。
「薫さん!!!!蒼弥が!!!」
「え!?嘘でしょ!?」とか何とか言ってる時にまた別の人物が入ってきた。
「お二人共、どうされまし…え蒼弥さん!?起きたんですか!?」医者、だろうか。
「みんな、そ、ろってな、んだよ」俺はカスカスの声で言った。すると医者が喋り出した。
「いいですか、蒼弥さん驚かないでくださいね、蒼弥さんは3ヶ月間意識がなかったんですよ。」3ヶ月ねぇ、え3ヶ月?さ、3ヶ、3month!?え、大体90日?何してんねん俺。
「それでもう目覚めることはなくこのまま亡くなってしまうとみんな思ってたんです」そんなこと思うなよ。希望を持ってくれよ、!!!
「そなん、です、ね、まあ、よか、よかった」
「ここからが大事なお話なんですが、その、大変申し上げにくいのですが、脳と肺、そしてひどくぶつかったと思われる胃腸周辺に大きな傷がついてまして、特に脳と肺の関係で、……余命が宣告されてるんです……」俺は頭が真っ白になった。横を見てみるとさっきのふたりが泣いていた。
「余命、どれぐらいなんですか」
「あと、5ヶ月です……」5ヶ月。意外と長いようで短い時間。全く、どうしたものか。
俺が黙り込んでいると、今までずっと泣いてばかりだったあかりが叫び出した。
「なんでよりによって蒼弥なの!!!そうやは何も悪いことしてない!なのになんでなのよ!?なんで、なんで……なんでひたすら悪いことしてきたやつが100年あって蒼弥が5ヶ月になるのよ!!なんでこんなに不平等なの!!?」
「あかりさん!!落ち着いてください!!」
「落ちつけるわけないじゃなぁぁぁぁぁい!! 」
こんなあかりの姿を見たのは初めてだった。俺の頭の中は既にぐちゃぐちゃだった。
もう既に俺の命が尽きるまでのカウントダウンが始まっている。俺がクヨクヨしてたら周りを心配させるし、そもそもそんな暇は無い。残りの時間をどう過ごすべきか、考えなければ。
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹