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#創作
ひがき
64
26
みるきー
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コメント
1件
あ、このエピソード好きだわ。なんかすごく静かで、ふたりの空気感が心地いい感じ。友樹くんの「うちで食べて行きますか?」からの展開、結構グッときた。フランスパンのおすそ分けのシーンとか、あったかかったな。釣りしてた少年がまさか飲食店の子だったっていうのも面白いし、終始ほっこりした空気が流れてて、エッセイみたいな文体も合ってたよ。次が気になる🔥
私達は、1号線を西に走っていく。太陽が直角に近い。伊豆縦貫道との合流地点で、左側のウィンカーを点滅させる。サイドミラーから見える雪も、スカイウォークのことは忘れ、快調のようだ。
左右は木々に覆われ、エッセイを書くには十分な道である。
特に会話など無く進んでいく。この広い道を、ただ南に。足元からの走行音と、すれ違う車の周波数の違う走行音だけが車内に響く。
二人だが、一人のようだ。
三島市を抜ける。
『川だぁ。』
「川だねぇ。」
会話は途切れた。
狩野川
腕時計の針は真上を指していた。
『腹減った。』
案の定である。
「どこかで食べようかご飯。」
『ねぇ。』
また妙な考えでもあるのだろうか。ハンドルを握り直す。
『おすすめのご飯屋を地元の人に聞いてみようよ。』
「雪が聞いてよ。」
伊豆市に入った。
『お、』
あ、
『第一村人発見。』
可哀想な村人なこと。
私たちは路肩に車を止め、土手に向かって歩いた。
『すみません!!!』
雪が大きく手を振る。その先には、シンプルなストレートの髪型をした高校生くらいの男子が釣りをしていた。
雪の声に気付き、周囲をキョロキョロしたあと、自分であることを確信したのか、急いでリールを巻いて、のそのそと歩いてきた。
「すみません、釣りの最中。」
「ここって釣り禁止でしたっけ?!」
少年は少々戸惑っていた、ほらかわいそう。
「すみませんね、困惑させて。そういうんじゃないんです。」
『ここら辺の美味しいお店ってありますか?私達ちょっと、遠くから来てて。』
「この時期に伊豆ですか?シーズン終わりじゃないですか、、、?」
可愛くない子供なことだ。
『日本一周してて。』
雪はドヤ顔で言った。余計なことを。
「ほぅ、、、」
「すみませんほんと、色々。」
「じゃぁうちで食べて行きますか?うち飲食店なんで。」
なるほど。
少年は釣具を片付けて、電話をしている。おそらく親だろう。
しばらくして、少年から大きな丸のマークがきた。
教えてもらった住所に向かう。
「今回限りだよこの手法は。」
『えー。』
414号線沿いのコーヒー店。内装はどこか昭和モダンな感じがあるお洒落な内装。
からんと音を鳴らしてドアを開けた。
「あ!」
少年のお母さんらしき人だろう。
「ようこそ!!座って座って!」
せかせかと私たちは案内されてテーブル席に導かれた。
「お洒落なお店だね。」
『そうだねぇー、何食べよっか。』
やっぱりここは、、、、
カレー
二人の声が被った。
「二人ともカレーね。」
『あ、あとアイスコーヒーも。』
「じゃぁ私も。」
「はーい。」
厨房に戻って行った。
「友樹、これ持ってって。」
「はい。」
友樹と言うのか、いい名前だこと。
エプロンをぎこちなく着ながら友樹が奥の扉から出てきた。
「お待たせしたました。」
『友樹くん?は、いつもあそこで釣りしてるの?』
「ちょ、雪、、」
「はい、楽しいので。」
少年は表情を崩さなかった。
「ご馳走様です。」
『ありがとうございました。』
私達はドアから出た。
「あのこれ!」
友樹とその母親が出てきた。
「あのこれ、、長持ちしますし、使えると思います。」
硬いフランスパンをスライスしたものである。
「あ、えいいんですか、、こんな。」
『もらいなよ。』
「、、、いただきます。」
私はビニール袋を確かに受け取った。
「頑張ってください。」
「ありがとう。」
私は車に乗り、雪は原付に跨る。
私が先導して、駐車場を抜ける。
友樹達が、お辞儀をして確かに見送るのがミラーから見えた。
『いいお店だったね。』
「ね。」