⚠️蘭竜
⚠️過去捏造
⚠️わたしなりの彼らへの解釈です
⚠️13蘭と12竜でてくる
👆🏻上記が大丈夫👌な方のみゴー👇🏻
教会に響く唄声に包まれた。広がる子供の唄声が室内を満たす。
ステンドグラスが形取る十字架が光を透かし背中にその影を落とす。外は光で白くぼやけていた。
存在を証明することも不在を証明することも出来ない曖昧な神とやらをどうしてこうも彼らは熱心に加持できるのか、灰谷蘭は齢13にして退屈と疑問を持て余していた。
長く伸びたブロンドの髪は神聖な光を跳ね返していた。
蘭「…な、りんど」
竜胆「なに?にいちゃん」
灰谷蘭が隣の弟に話しかけると純粋無垢な弟は即座に返事をした。
蘭「お前、神さまとかしんじる?」
竜胆「にいちゃん、またそれ?怒られちゃうよ」
教会の自称「仲介者」は神父を名乗り神の勅の代行をつとめている、と言う。
彼らは本気で神を信仰し崇め奉っている。自身の身を捧げている。
蘭(…おれは竜胆が、いれば)
灰谷蘭にとって教会は呵責され糾弾されているも同然の場所だった。
こんなものは偶像崇拝に過ぎないと気づきながらも気付かぬフリをして過ごすには彼は幼すぎた。
我が弟も神の存在を信じているのだろうか、それだけを懸念し毎日祈りを捧げていた。
┈┈┈┈┈┈夜は危ない。悪魔が出る。
そう言い聞かせられ早数年、疑問を抱いて早数ヶ月。神の存在を1度疑ってしまえば、教会が説く教え全てを疑うのも当然だった。
灰谷蘭は、教会で傾倒するには余りに賢すぎた。
蘭「りんど、外行こ」
竜胆「でももう遅いよ?また見つかったら怒られるよ」
教会の教えを信じている弟を前にどこか寂寥とした気持ちをねじ伏せ笑いかけた。
蘭「見つからなきゃ怒られない」
竜胆「それ悪知恵っていうんだろ」
純白の教会服のケープがはためく。窓の外は既に暗く、いつも床に十字架の模様を落とすそれも黒く染まっていた。
灰谷蘭の知っていること。
神などいない、悪魔などいないということ。
寧ろ人間の方が余程醜悪で傲慢ということ。
神なんて都合のいい存在いるはずが無いということ。
灰谷蘭の心まで純白であったのはとうの昔の話で、せめて彼だけはと弟の純真な心を必死に守ってきた。…何を犠牲にしても。
だがこのままではきっと竜胆は社会に出た時独り立ちが不可能だろう。
竜胆「にいちゃん?」
蘭「なんでもない。早く行こ」
自身より僅かに小さな手を取り引く。長く静寂な廊下に小さな足音が響いていた。
昼に皆で祈りを捧げる部屋も聖歌を歌う部屋も、いつもなら人と偽善に満ちているようで吐き気がした。
けれど今は誰もいない。
隙あらば近づいてくる浅ましい修道女も、触りたがりの牧師も。
ここに居るのは灰谷蘭と灰谷竜胆のみ。
ふたりだけの神聖な場所。
誰にも邪魔はさせない────そう、誰にも。
灰谷蘭は目を細めた。
どいつもこいつも頭が悪い。竜胆を本当に守って愛してあげられるのは俺だけだと伝えているのに、愛は平等に神から注がれるものだなんだとほざきやがる。
在りし日に思いを馳せる。
俺がいなければ竜胆はとっくにこの汚い社会に淘汰されている。
俺がいなければ生きていけない。
きっと社会に出たって立派に咲くことすら、芽を出すことすらできないだろう。
本当の悪魔は誰か?
人間に決まってるだろ。
2人分の真っ白な教会服が夜闇に溶けていく。夜風が強く吹き荒れて、彼らの足元の花を摘んでいった。
花弁が狂ったように空へ放出された。
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