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思えば俺はずっと…
「お母さん…? お父さん…?」
朝、ボロアパートの一室で目を覚ますと両親は既にいなくて。
理由が分からないまま泣きながら外を走り探したのを覚えている。
そのまま警察に見つかり保護され施設に入り、学校に行くのも大変だった。
「えっと…緝久くん? これからよろしくね? 」
施設の人に数年お世話になり、なんとか中学に上がり高校を卒業する事が出来た。
「あいつっていつも一人だよなー」
「止めろって、一人が好きなんだろ」
周りから聞こえる声はこんなんばっかで、その度自分が不甲斐なく感じて。
施設の人にお礼をして、高校に入った時から始めたバイトで貯めたお金を使って逃げるように一人暮らしを始めた。
「うっ…」
高卒で就職して 鼻血を垂れ流しながら必死に勉強して、働いて、人数倍頑張って… がむしゃらに働いて…
上司に呼び出され、重苦しい部屋の中。
「悪いね」
「は」
リストラの対象になって…
……それから…。
それから、その後 帰る途中施設の先生から連絡が来た。
施設が火事になり、建物が全焼したらしい。
元々古かった施設はそのままなくなる方針だそうで携帯電話越しで先生と最後の挨拶をした。
「…」
スーツ姿のまま薄暗い部屋の中で、求人を見ながら呆然としている。
何も無くなったような気分だった。
「あ、あは、あは」
咳のような笑い声を上げながらぐっと涙が出そうなのを堪える。
こんな時、孤独や虚しさを実感するのだ。
…思えば俺はずっと、一人でいることを望んできたのかも知れない。
自ら人に話しかける事もなく、友人と呼べる者はいなかった。
そういう人が両親のようにどこかに行ってしまうのを恐れたのだ。
──バチンッ
自分の頬を両手でおもいっきり叩く。
しかし、痛みは感じない。
ぼぉっとしていた意識や視界がはっきりしてくる。
「よしっ」
帰り際で貰ってきた求人を見始める。
(俺でも出来ることを…)
少しでも誰かの役に立ちたくなった。
自分の存在意義を見つけなければ、もうこの世には居られなくなる気がして…
──────────
…ここで目が覚める。
数年前の夢を見た。
(あの頃は自分本位の考えでやけくそになってたっけ…)
「やっと起きたのか!? この寝坊助め!」
陽気な少女の声がする。
何だかこの少女に協力しろと言わんばかりの夢だった。
何ならこの少女に協力しても別にいいか
なんて思い出しさえしている。
「何そのエプロン」
視界に飛び込んできたフリフリのピンクエプロン。
夢の内容より現実のことで頭がいっぱいになる緝久だった。
コメント
1件
**第4話「緝久」、読みました。** 緝久の過去が静かに、でもしっかりと胸に刺さりました。両親が突然いなくなる朝、施設の火事、リストラ…「一人でいることを望んできた」という自己分析に、孤独を選ぶしかなかった背景が透けて見えて、ぐっときました。自分を叩いて「よしっ」と立ち上がるシーン、痛みより先に覚悟が来る感じがリアルで。最後のピンクエプロンの少女との温度差が、逆にこれからの展開を優しく予感させてくれます。伏線っぽい「夢」の語りも気になります。続きが楽しみです。
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