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____一時間後。ナオトたちは海に到着した。だが、それと同時にハイド・シューティングスターも海に到着した。


「なあ、エリカ。砂浜に銀の鎧を着たやつがいるんだが、あんたの知り合いか?」


アパートの二階の通路からそれを見ていたナオトはエリカ姫にそう訊《き》いた。


「え、えっと、どこにいるんですか?」


「あー、そっか。ここからじゃ、エリカには見えないよな。そうだ、双眼鏡を……」


「ナオ兄、双眼鏡なら、ここにあるよ」


「おっ、シオリが持ってきてくれたのか。ありがとう、おかげで助かったよ」


「どういたしまして。それじゃあ、私は中にいるから、必要な時は呼んでねー」


シオリ(白髪ロングの獣人《ネコ》)はそう言うと部屋の中に戻っていった。


「ほら、エリカ、双眼鏡だぞ。使い方はわかるか?」


「はい、なんとなく……。えーっと、こ、こう……ですか?」


「ああ、それでいいぞ……で? あいつはあんたの知り合いなのか?」


「うーん……おそらく私《わたくし》の補佐官ですね。名前は忘れてしまいましたけど」


「おいおい、自分の補佐官の名前くらい覚えられないのか?」


エリカ姫は双眼鏡から目を離すとこう言った。


「私《わたくし》の補佐官は何人もいますから、とても覚えられませんよ」


「そ、そうなのか。それじゃあ、ちょっとここで待っててくれ。あいつに訊《き》きたいことがある」


「は、はい。わかりました。お気をつけて」


「ああ」


ナオトはそう言うと、背中に生えた四枚の黒い翼を羽ばたかせながら、そいつのところに飛んでいった。


「おい、あんた。ここに何をしに来たんだ?」


ナオトが彼にそう言うと、彼はこんな反応をした。


「ここに何をしに来たかだと? そんなの決まっているだろう。『漆黒の堕天使』を倒すためだ! そうすれば私はビッグボード国の王となれるのだからな! はーはっはっはっはっはっは!」


こいつ……出世が目当てでここに来たのか。しかも俺を倒しに……。


「ところで少年よ。このへんで『漆黒の堕天使』を見なかったか? 黒い鎧を全身に纏《まと》い、背中から黒い翼を四枚生やし、尾骨から先端がドリルとかいう形状になっているシッポを生やした黄緑色の瞳をしている、見た目が君くらいの……」


その時、そいつは俺がその『漆黒の堕天使』であることに気づいた。


「き、き、き、貴様が『漆黒の堕天使』だな! だ、だが、運が悪かったな。こ、この『ハイド・シューティングスター』様には代々、受け継がれてきた『聖剣スターブレイカー』がある! だ、だから、き、き、き、貴様はここで終わりだ!」


完全にビビってんじゃねえか……。こいつ、本当にエリカの補佐官なのか? なんか、弱そうだな。


「ふっふっふ。こ、この『聖剣スターブレイカー』の錆《さび》にしてくれるわあ!」


彼はその聖剣スターなんちゃらを抜剣した。その後、俺の脳天めがけて振り下ろした。

それは普通の鉄製の剣にしか見えなかったため、俺はそれを片手で受け止めてみることにした。


「あらよっと……」


「わ、私でさえ、この剣を自由に振り回せるようになるまで三年の時を要したというのに、それを片手で受け止めるとは……。どうやら、貴様は噂どおりの化け物らしいな」


剣を握ってみた感想……。中身スカスカ……。

これ、いったい何でできてるんだ? 今の言い方からして、この剣は結構、重いみたいだけど。


「と、とにかく一度離せ! これは貴様のような者が触れていい代物ではない!」


「え? そうなのか? なら、いいや。ほれよ」


俺がパッと手を離すと、彼はその反動で後ろに倒れかけた。


「ば、化け物め! 星をも砕くという、この聖剣に触れていながら、なぜ平気なのだ!」


「それが星を砕けるのかどうかは知らないけど、戦場でそれを使うのはやめておいた方がいいぞ?」


「ど、どういうことだ! 説明しろ!」


「じゃあ、その辺の岩を斬ってみろよ」


「私をバカにしているのか! それくらいのことはできて当たり前だ!」


「そっか。なら、いくつか持ってくるから、少し待ってろ」


「あ、ああ、わかった」


ナオトはそう言うとその辺に転がっていた岩をいくつか持ってきた。


「それじゃあ、俺が投げるから斬ってみろ」


「わ、私に命令するな! 無礼だぞ!」


「あー、はいはい。それじゃあ、行くぞー」


ナオトは片手で直径五メートルほどの岩を持ち上げると、彼に向かって投げた。


「ふん! この程度の岩など造作もないわあ!」


ハイドはそう言いながら、その岩を一刀両断した。


「おー、お見事、お見事。それじゃあ、次は二連続で行くぞー」


ナオトは直径五メートルほどの岩を二つ掲げると、彼に向かって投げた。


「ふん! 二つになろうと同じことだあああああ!」


しかし、彼は困った。二つの岩を同時に斬ったことなど今までなかったからだ。

同時にこちらに向かってくる岩に対して、彼はどう対応したらいいかわからなかった……。


「ひ……ひえええええええええええええええ!!」


ハイドは岩が自分を押しつぶす前に回避すると、うつ伏せになった。


「まあ……そうなるわな」


ナオトはそう言うと、ハイドのところに行った。


「おーい、大丈夫かー?」


「あ、ああ、なんとかな……って、貴様は私を殺すつもりか! もう少しで死ぬところだったぞ!」


「いや、今のができない時点で、あんたは間違いなく戦場では戦えないぞ?」


「な、なんだと! ならば、貴様にはできるのか!」


「ああ、できるとも。だからさ、ちょっとそれ貸してくれよ」


「そ、そんなことを言って、剣を折るつもりではなかろうな?」


「俺がその気なら、とっくにやってるさ。でも、俺はそれをしていない。どうしてか教えてやろうか? それはな……その剣には、『ある特徴』があるからだよ」


「な、なんだと? これはシューティングスター家に代々、受け継がれてきたものだぞ? 私が一番、この剣のことを知って……」


「いいや、あんたはその剣の実力の半分も使いこなせていない」


「な、なぜそのようなことがわかる! 説明しろ!」


「説明するより、見た方が早いから、ちょっと貸してくれよ」


この少年はさっきから何を言っているのだ? 本当にこの少年が十万の兵を倒したのか?

いや、今はそんなことはどうでもいい。

それよりも、この少年が言っていることが事実なら、私はさらなる高みを目指すことができるかもしれないな……。

よし、ここはこの少年を信じてみよう。そして、利用させてもらおう。


「よかろう。ならば、証明してみせろ。この『聖剣スターブレイカー』に秘められし力とやつを」


ハイドはナオトに『聖剣スターブレイカー』を手渡した。(青い鞘《さや》ごと)


「ああ、いいぞ。よく見てろよ?」


ナオトはそう言うと、片手で直径十メートルほどの岩を持ち上げた。

ナオトはそれを真上に投げると、剣の柄《え》を右手で握った。

その後、彼は居合の構えをした。


「うーん、これくらいかな……えいっ!!」


ナオトはそう言いながら、抜剣。その直後、横一文字にその岩を斬り裂いた。


「やっぱこの剣、軽いな。でもまあ、これなら、できそうだな……」


直径十メートルほどの岩を斬る……これは、あの聖剣ならば、容易いこと……。

しかし、もし、これ以上の力があの聖剣に秘められているとしたら……。

いや、これ以上考えるのは、よそう……。さて、次は何を見せてくれるのやら……。


「じゃあ、次は連続斬りでもやってみようかな」


「れ、連続斬りだと! 貴様は先ほどの私の行動を見ていなかったのか? その剣は連続斬りには向いていない! しかも、それで複数の物をほぼ同時に斬ろうとすれば、腕の筋肉が崩壊するぞ!」


「そんなの……いったい誰が決めたんだ? この剣が連続斬りに向いていないって」


「そ、それは……歴代の当主たちの言葉の中に、『聖剣スターブレイカー』は連続斬りには向いていない。もし、それをしようとするならば、剣と向き合う必要がある、というものがあるからだ」


「そうだな。それは確かに間違っちゃいない。けど、あんたは……いや、あんたの一族は一つ大きな勘違いをしている」


「勘違い……だと?」


「ああ、そうだ。今からそれを証明してやるよ」


ナオトは直径五メートルほどの岩を五つ、一箇所に集めると、それでジャグリングをやり始めた。

何回かそれをやると、真上にそれらを投げた。

ナオトは右手で剣の柄《え》の部分を持つと、居合の構えをした。

サイコロの五の目のような状態で落ちてくる五つの岩に対して、ナオトはそれぞれに一撃を加えるつもりでいた。

ハイドにはその時間がとても遅く感じられたが、同時に五つの岩をほぼ同時に斬ることなど本当にできるのか? という疑問を抱いていた。

しかし、その答えは数秒後に明らかになった。


「行くぞ……スターブレイカー!」


ナオトは勢いよく剣を鞘《さや》から引き抜くと目にも留まらぬ速さで五つの岩を順番に斬り裂いた。

ナオトが剣を鞘《さや》に収めると、五つの岩は同時に真っ二つになった。


「なん……だと。あ、ありえない。こんなことはできないはずだ。『聖剣スターブレイカー』は一撃必殺を得意とするものだったはずだ。なのに、なぜ貴様にはこんな芸当ができたのだ?」


それを聞いたナオトはハイドのところにゆっくりと向かった。

そして、『聖剣スターブレイカー』の秘密を語り始めた。


「この剣はあんたの言う通り、一撃必殺を前提として作られたものだ。まあ、この剣の具体的な質量とか材料とかは正直、よくわからない。けど、今ので一つわかったことがある。それは、この剣は人を選ぶように作られているってことだ」


「剣が……人を……選ぶ……だと?」


「ああ、そうだ。あんたは最初、その剣のことを遠回しに重いと俺に言ったよな? だけど、なんで俺には、その剣がものすごく軽く感じられたんだろうな?」


「私にそんなことを訊《き》くな! それより早く説明しろ!」


「そうか……じゃあ、説明しようか」


ナオトはそう言うと、その剣を膝にぶつけて折ろうとした。しかし、それはビクともしなかった。


「今のが、この剣の特徴の一つ。『適応』だ」


「ま、まさか、環境によって硬さを自在に変えることができるとでも言うのか!」


「そのとおり。この剣には、環境によって硬さを自在に変化できる機能がある。つまり、どんな場所で戦ってもそれに適した硬さで扱えるってことだ。そんで、二つ目が、『調整』だ」


「それはつまり、所有者の力量に応じて、重さも変えられるということか?」


「そのとおり。この剣には、所有者の力量に応じて重さを変化できる機能がある。だから、人によって、この剣の重さの感じ方には差がある。で、最後が、『想像力の具現化』だ」


「そ、そうか。それならば、連続斬りもできないわけではないというわけだな!」


「ああ、そのとおりだ。この剣の最大の特徴は、所有者の想像どおりに斬ることができるってことだ。だけど、これを使えるようになるには、かなりの修練が必要になる」


「なるほど。しかし、貴様は先ほど連続斬りをしていたではないか。なぜ、いきなりできたのだ?」


「うーん、それは多分、『魔剣デュランダル』をぶん回したことがあったから、かな?」


「『魔剣デュランダル』か。なるほど。たしかに貴様は『例の大会』でそのような戦い方をしていたな」


ナオトはハイドに剣を手渡しながら、こう言った。


「要するに、この剣は使い手によって無限に変化し続ける特殊な剣ってことだ。だからさ、あんたはあんたなりにこの剣の特性を最大限まで引き出してやればいいんだよ」


「そうか……それもそうだな。礼を言うぞ、『漆黒の堕天使』。貴様のおかげで私はこの剣のことを今まで以上に知ることができた。ありがとう」


「礼を言われるほどのことを俺はしちゃいないさ。けど、少しでもその剣のことを理解してもらえたのなら俺はそれで満足だ」


「はははは、貴様は変わったやつだな。では、私はこの辺で失礼させてもらう。では、さらばだ!」


ハイドがグリフォンの背中に跨《またが》ると、そのグリフォンは大空へと飛び立った……。


「さてと……帰るか」


ナオトはそう言うと、四枚の黒い翼を羽ばたかせながら、アパートへと帰っていった……。

ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜

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