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気付くとそこはお菓子でできた巨大な教会だった。
頭が働かない。空から叩きつけられて、頭が砕けたからなのだろうか?
私は教会の入り口に突っ立って、ぼんやりとしていた。
傍にはカンナが座っていた。
カンナは私の方を見ていない。教会の檀上の方を見つめている。
「カンナを忘れたい?」
私が何度も口にした言葉を、カンナはオウム返しのように口にする。
「……あんなことするくらい、好きだったのに?」
あんなこと?
「……………………あ」
私の目の焦点が合って、壇上にいる二人の女の子をとらえた。
「良い時も悪い時も」
「富めるときも貧しきときも」
「病めるときも健やかなるときも」
「死がふたりを分かつまで――」
「いいえ」
“美雪”はカンナの顔にそっと触れる。
「死んでもずっと一緒でしょ?」
“美雪”は、カンナの額にそっと口づけをした。
「私とカンナの結婚式ごっこ」だ。
(そう、私は本当にカンナのことが好きで、好きで……好きで……)
はっとする。
気付くと私は、壁の巨大な十字架に縛られていた。
「ひっ――――!」
縛り上げられた私の事を、カンナが見上げている。
そしてその目から真っ赤な涙がこぼれていた。
「美雪ちゃんがそう言ったんでしょ?」
「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
身体がカッと熱くなる。何事かと思って腕を見ると、体中に”くち”が現れていた。
その”くち”たちは私の声で叫んだ。
「「「「「私はカンナを愛してる。私はカンナを愛してる。私はカンナを愛してる。私はカンナを愛してる。私はカンナを愛してる」」」」」
「いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
私は絶叫し、強い罪悪感の炎に包まれた。
カンナ、あなたは私のもの。
ずっと私だけを見てればいい。
私はなんで、カンナにあんなことをしちゃったんだろう……。
カンナは嫌がっていたのに。
私はカンナの事が欲しくてたまらなくて……。
あんなことをして、追い詰めて、
カンナを死なせてしまったのだ。