テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「……おい、シエル。ここ、どこだよ」
リムルが目を開けると、そこはテンペストの自室ではなく、見たこともないほど眩しい光の渦の中だった。
鼓膜を震わせるのは、数万人もの地鳴りのような歓声。
『告。転送設定に極小の誤差が生じました。ここは異世界――「地球」と呼ばれる惑星の、日本という国です』
「日本!? 帰ってきたのか!? ……って、なんで俺、こんな派手な格好してステージの上に立ってるんだよ!」
リムルが自分の姿を見ると、いつもの防具ではなく、シエルさん特製の「超絶スタイリッシュなアイドル衣装」に着替えさせられていた。
その時、すぐ隣から鈴の鳴るような声がした。
「……えっ? 演出にこんな子、いたっけ?」
振り向くと、そこには伝説のアイドル・星野アイがいた。
星のような瞳を輝かせ、驚きに目を見開いている。
「わあ……! 君、すっごく綺麗! 本物の天使が降ってきたのかと思った!」
アイは持ち前のコミュ力で、パニックになりかけた会場に向かってマイクを向けた。
「みんなー! 今日のスペシャルゲストだよー!」
「はぁぁ!? 勝手にゲストにするなよ!」
リムルのツッコミも、ファンの「ギャアァァァ!!」という絶叫にかき消される。
『報告。マスター、この個体(星野アイ)からは、強い運命の分岐点を感じます。助ける価値があります』
「……シエル、お前。さてはこれ、わざとやったな?」
リムルは溜息をつきながらも、隣で無邪気に笑うアイの瞳を見て、ふっと微笑んだ。
「ま、いっか。……シエル、音楽を解析しろ。この会場、俺たちがジャックするぞ!」
こうして、異世界の魔王は、一夜にして日本の芸能界を震撼させる「伝説の新人」としてデビューしてしまった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!