TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
ふわふわほいっぷ!

一覧ページ

「ふわふわほいっぷ!」のメインビジュアル

ふわふわほいっぷ!

3 - フローリストになった最推し

♥

26

2023年08月26日

シェアするシェアする
報告する

主〉慧ちゃん!

慧〉……なに?

主〉今度は…花屋になってくれ!

慧〉花屋に?人間なんだけど……

主〉あ…!違う違う!!フローリストだよ…

慧〉華やかそうね。

主〉まぁ…頑張ってね!本編スタート!

慧〉……うん( ⸝⸝⸝⩌⤚⩌)



もしも僕の最推しがフローリストになったら…


慧はこの街一番の花屋に務めているフローリストだ。慧は植物職人とも呼ばれている。専門はドライフラワーの管理、仕入れだ。慧は花が大好きで、この職に就いた。だが、花に触れる機会は早々なかった。何故ならフローリストは仕入れや手入れといったものの他に店員のように接客しなければならない。慧は持ち前の語彙力と顔面の良さを活かして積極的にその役を全うしている。

「あーすみません!記念日に花束を渡したいんですけど何がいいですか?」

さぁ、早速フローリストの出番だ。慧は裏で手入れしていた花に水切りをし、ベルの鳴った店内に移動した。

「はい。懸念日と言いますと?」

この手の依頼には慣れている。

「あ、友人の結婚式で花束を直接渡す機会がありまして…」

贈り物として、花束は良い選択だ。

「でしたら…白、桃のバラと白のカサブランカ、桃のチューリップ、カスミソウ…あとは、ブルースターでどうでしょうか?」

どれも結婚式に相応しい幸せに近しいの花言葉が込められている。それを淡々と選び、依頼主の想いも同時に汲み取ることが出来る。

「あぁ…でも、花束にしては花の量が少ない気がします…」

「でしたら、その系統の花束を見繕いましょうか?」

「あ、はい!是非ともお願いします。」

「畏まりました、では十分間ほど、お時間をとらせて頂くのですが…宜しいでしょうか?」

「もちろんです!よろしくお願いします!!」

こうなれば、慧は心置き無く決めることができる。慧は自分の持ってきた、沢山の花たちを木の机に置いた。やはり、どれだけ熟考してもバラとチューリップ、カスミソウは必ず入れたい。

だが、ガーベラやスズランも入れるか迷っていると職場の同僚が

「色はまとまりがあるのも良いけど、類似色で揃えても綺麗よ。」

と、アドバイスをくれた。慧は約、八分で組み合わせを決めた。出来た花束を白色のリボンで括り、リボンの右端に「GARDENMiyamoto」と、押し込み後をつけ、結んだ。丁寧に包装された花束は依頼主を喜ばせる。懸命に考えた物が誰かに届く感覚。慧が働く生き甲斐だ。

「あ!ありがとうございました!とても綺麗ですね!それでは…」

「ありがとうございました。」

慧は依頼主が出ていくのを見て片付けに入った。正直、店印を押し込む作業が一番時間がかかる上に力がいる。失敗すれば「Miyamoto」の部分が付かなくなってしまう。

慧も一人の人間だ。贈り物の時に花束を選択したいい思い出がある。GARDEN宮本店に幼い頃、祖父の御見舞いのために花束を買いに来た。当時、十六歳だった慧は反抗期が来なかった。骨折した祖父のために元気の出る花束をプレゼントしたくなったのだ。慧はまず、花の知識がなかった。

「…元気が出る気持ちも晴れやかになる花束作りたいんですけど……。」

受付には綺麗なフローリストが横の花に水切りしていた。

「どんな用途ですか?」

「あ、祖父の御見舞いで…」

「あぁなるほど。」

するとそのフローリストは手帳を取り出し、書き始めた。

「ガーベラやエーデルワイスがお勧めですね。あと、胡蝶蘭もお勧めですね。」

その後に、フローリストがぼそっと何かを呟いた。

「花言葉……?」

慧がそう呟くと、フローリストは

「あぁ…花に込められた思いのことだよ」

と、朗らかに教えてくれた。慧が花言葉という意味や言葉を知ったのはその時が初めてだ。

「分かりました。見繕わせて頂いきます。」

そう言い、フローリストは従業員入口に入っていってしまった。慧は不安な気持ちと、楽しみな気持ちでいっぱいだった。祖父が喜んで今すぐにでも、退院出来るくらい元気になると。花束に重たい期待と想いを背負わせた。

どれくらい経ったのだろう。慧は受付の机の上に花束が置いてあるのを見た。そこには、綺麗な店印が掘られてあった。

圧力で「GARDENMiyamoto」と押し込まれたその文字に魅了された慧はそこで将来働くことに決めた。それが慧の夢の始まりだ。

「おじいちゃん!!見て!花束!」

「おぉぉ、おぉ?おーこれはまぁた綺麗な花束だねぇ」

「どう?」

「綺麗だよー」

「良かった…元気になった?」

「あぁ…なったよ、なった。ありがとうね。」

────優子。

今から…手術、頑張ってね。そう言い、慧は泣きながら、病室から出た。もう、優子。母はこの世には居ない。今までありがとう、また会えたら嬉しいな。


「慧ちゃーん!」

「あ…はいっ!」

「顧客がいらっしゃいましたよ!」

「あ、ただいま向かいますっ」

今日も慧はその優しさで様々な顧客、依頼主を幸せにしていくのだ。かつて、助けられなかった祖父の顔を思い浮かべつつ慧は職務を全うするのだった。


fin。.:*・゜

loading

この作品はいかがでしたか?

26

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚