「ジェディ、なぜ来た!?」
「俺がいちゃ悪いのかよ! 俺だってお前の力になりたい、一緒に戦いたいと思うことの何が悪い…?」
ローは目を見開き、何か言いたげに口を開いたが、すぐに閉じた。
「…おれの後ろにいろ」
「……わかった」
文句を言いたかったが、今は言うべきじゃない。
鉄橋、霧の先、ドフラミンゴが俺たちの元へ一歩ずつ近づいてくる。
「麦わらの一味を半分逃がして何の意味がある。もう半分はドレスローザにいる。あいつら全員人質にすりゃ、シーザーなんてすぐ返しに来る」
「…そうやってナメきって大やけどをした奴らが数知れずいるんじゃなかったのか? ――残念だが、おれと麦わらの一味との海賊同盟はここまでだ」
「ああ?」
「手を組んだ時から、あいつらを利用してSMILEの製造を止めることだけがおれの狙いだった。もしこの戦いでおれがお前を討てなくても、SMILEを失ったお前はその後カイドウに消される」
「なるほど。刺し違える覚悟か」
「お前が死んだ後の世界の混乱も見てみたいが、俺には13年前のケジメをつける方が重要だ。ジョーカー!」
「ならなぜ、お前は今ひとりじゃない? お前が連れているそいつは、七武海と肩を並べるには少々力不足だとおれは思うんだがなぁ」
「……俺は、ローの共犯者になると決めたんだ。俺の力が足りないことなんてわかってる。それでも、俺はローが目的を果たすのを見届けてえんだ…!」
俺がそう言えば、ドフラミンゴは不愉快そうに顔を歪めた。
「13年前のこと、忘れたとは言わせねえ」
「ジョーラをどうする。うちがどんなファミリーかわかっているはずだ」
「そうさロー、あたくしは若のためならいつでも命を――」
ローはジョーラの言葉を最後まで聞かずに、少し遠くにある石ころとジョーラ、そして俺の場所を能力で入れ替えた。
「なるべく遠くへ逃げるんだな」
「このあたくしが若を置いて逃げるなんてこと…」
「無用だ。行け」
ジョーラが走り出す。それを横目で見て、俺も数歩後ずさった。
「ジェディ、ドレスローザの方へ行け」
「……ロー、お前死んだら許さねぇからな」
俺は剃を使い、ドレスローザの方へ駆け出した。後ろから大きな音が聞こえる。ローが戦っているのだろう。振り返ることなく、ただひたすら前に進む。
心配していないといえば嘘になる。でもあそこに俺がいたってきっと邪魔なんだ。でも、サニー号に残ることだけはしたくなかった。
――俺だってお前の力になりたい、一緒に戦いたいと思うことの何が悪い…?
あれは俺の心からの言葉だった。ローと一緒に戦いたいと思ったのは本当だ。
「ああ、クソッ……クソッ!!」
俺は無力だ。足でまといにしかならないかもしれないけれど、それでも何もしないで待つのは嫌だ。
ドレスローザにはコロッセオがあったはずだ。そこでルフィが戦っているシーンを薄っすらと見た覚えがある。そこを目指して走れば、何かしらできることがあるはずだ。