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しずかなしずか
ママは家計簿の日記を付けながらのび太へのお小遣いを計算していた。今月の光熱費・ガス代・水道代etc……火の車は燃費悪く、廻る。日常に潜む不安材料が野比家の生活のリズムを狂わせる一抹の氣をドラえもんが察知した。
「最近、あの子を甘やかし過ぎかしら。本人の為に良くないと思うの」
「秘密道具なら無限に或るよ。「家庭教師ロボット」と「何処でもドア」で塾にでも繋げる?」
「ドラちゃん不合格ね。自転車でも電車でもいいから足で行かせなさい」
ドラえもんは頭を掻いて口を尖らせる……ボクは優しすぎる猫型ロボット。お腹のポケットも悲鳴を上げている? セワシやドラミも心配している頃合いー
「反発が来る、絶対にね。彼の事だ……泣きべそ舁いて眠れない夜を過ごすだろう」
ママが立ち上がり台所に立った。キッチンでの調理は何時もの様に手際が良い。
「ボクだって悩み成長する機械なんですよ。未来の国はハイテクなVR技術とイマーシブ体験の進化」
「何それ? 漫画の読み過ぎ」
「遅れてるなあお母さん。時代はゆとり世代→悟り世代→Z世代への加速の一途を辿る一方。手塚治虫が遺したメッセージだよ、機械に頼り過ぎて人間の脳が退化してゆく「未来への警鐘」なんだ! 面倒臭いからって逃げちゃ本人の為に成らないよ」
「……いいのよ。主婦は今日も明日も10年後を主婦をして家族を支えていれば」
「便利なものは使うべきだよ。通販のCMを見て憧れるでしょ?」
「そんなお金何処に在るっていうのよ! うちは慎ましくて満足なの、隣の家の芝生は青いだけです!!」
真昼間の言い争いは風に成った。学校でも虐めがあった……心配事は尽きない。過保護な環境を止めるべき、かー彼を取り巻く生活環境の悪さがこうさせた。何でも言ってしまう仲間だからこそ、調子乗りしい。
「ボクの脳もここいらが限度、しずかちゃんにでも相談しようかな」
電話の受話器を取る。彼女の家は成功者の勝ち組確定コース、君とは大違いだよ……のび太君ー
「もしもし。源さんのお宅? 娘さんはご在宅で……」
「私よ。今からバレエとピアノのお稽古の時間で忙しいの、切るわ」
のび太の片思いで終わらせる、のか? これが【マスターピースの欠けら】、漫画や小説では語り合えないその程度のLEVEL。ボクは憂鬱な気分で外へ出た。
「秘密道具の出番だ」
№37.「ショッキング・ボーイ」! 男の浪漫の夢想を叶える便利なモノ。しずかちゃんは君の片思いの相手。のび太君の分身、出でよ出でよ! 影法師が形となり“彼”を創り上げてゆく、欲情の玩具! ドラえもんは街を歩いたー
「今は放課後。もうすぐ帰って来る、それまで待機」
真っ白なのび太君が眼鏡のズレを治し仁王立ちする。了解! と敬礼をし太陽の下で日差しを浴びている、その時っ。
「デビルズカードを出せドラ公。花より団子」
ドラえもんが耳を疑う。危険なアイテムを、よくも。
「ダメッゼッタイ、人間を辞めるのか!」
偽物の少年は超と言ってもいい程勝気で強気だった。実家の前をうろちょろしては二転三転している。
「助けてくれ相棒。お金だけが友達、それとも?」
デビルズカードは一振りすれば300円貰う代わりに身長が1cm縮む秘密道具。自分の身体を身代わりに大金を掴んで幸せになる気だな、しずかちゃんとのデート費に!
「辞めろ! 警察を見くびるな、犯罪行為に手を染めれば未来がどす黒くなる一方だ、学力の低い君はクローンでも変わらないのかっ!!」
「金を寄越せ。あッ、ネズミ!」
「止めてくれ、耳を齧られた嫌な記憶があるんだ~」
ショッキング・ボーイは歩き出した。夢の女体? そそられる。壊れたネジは二度と元に戻らない……ドラえもんはボロボロに傷付いていた(涙)偽物は歩き出す、しずかちゃんの家に向かい相談に答えてもらう為。街は怪しい雰囲気で包まれゆく。デビルズカードでお金を頂き、不安感を消す。完全なパーペキ、悩み事は嘘のように消えて行った。実行セヨ。通り過ぎる野良猫やサラリーマンが二度振り返る!
「世の中チョロい♬ 愛してるよ、しずか。恋文でも読みたい気分だ」
空き地では土管の上で何時もの様にジャイアンとスネ夫が駄弁っている、詰まらない人生……彼女の一人でも造ってみろ!
「のび太? 何処で見ても間抜けっ面だな。野球に入れてやるよ」
スネ夫の一言にジャイアンが腹を抱えて爆笑する。
「今日のぽんこつは愛敬が無ェな。お前が入ったチームは負けるって相場だ。こんな奴放っておこうぜ」
「しずかちゃんを知らないか? 真剣な話があるんだ」
二人は顔を見合わせる。
「塾の時間だろう? 邪魔すんじゃねーぞ! お前なんかに作る時間なんて0%だ」
「せいぜいファッション雑誌参考にしろバーカ」
「……」
通り過ぎる女子の風。しずかちゃんは今頃タクシーの中、繋がりたい一心で僕はデビルズカードを振る。300円が手のひらに落ちると同時に身長が縮まった気がした。
「僕はクローン人間。実験台のモルモットは0cmで滅んでもいいのだ。お金は手に入った、後は未来への不安材料の身の潔白」
ドラえもんは玄関先で間延びしている、ママがパートへ行った。のび太が帰宅する擦れ違いの最中ー物語はドラマチックに展開する!
「何してるの? 大丈夫、またジャイアン達が邪魔を……」
「う~ん。調子悪いなあ、あッ!本物ののび太君かい?」
事情を聞いた彼が思い切りマックス・スピードで駆けてゆく。何て危ない秘密道具! 本人が責任を持って止めてやる!! 居たー
「やいやいショッキング・ボーイの偽物! デビルズカードでお金貰ってギャンブル依存症になっても知らないぞ!」
本物VSクローン。しずかちゃんを賭けたバトル・ファイトが火蓋を切って落とされた! 金の亡者が啼く……邪魔者は全て排除セヨ! これがクローン人間の思考回路≠icチップの生成AIのダミープラグの如く秘密道具を網羅してゆく!
破壊→創造への再起動??
しずかちゃんは気付いていない。のび太は二人も要らない!? お前の所為で皆が傷付いてゆく、許せないッ!! 暗雲立ち込める小さな街にガンマンが集うー
「こう見えて僕は射撃の腕が或る、数少ない後天的性能! 瓜二つの自分自身なら解るだろう?」
偽物は笑った。見かけだけでは見破るのは至難の業だった。学校の裏山に風雲急を告げる! 独断と偏見と傲慢の完璧な計画プランが別ルートの人生を思った。
「ただの夢。余計な私情は一切持ち込まない、男と男のタイマン張らせてもらうぜ!!」
「夢……か。数撃ちゃ当たる、君は引退したまえ」
はて? 何のための戦いだ?? 一人ののび太がバトル・ファイトを想った。ドラえもんは間延びしている。他のギャラリーは致し方ない、良い物はみんなの物! 手を取り合い戦争廃絶を讃え合おうではないか……
「待て。偽物のクローン人間、僕の話を聞け……ドラミとセワシを呼ぶぞ」
ギクリ!! 忘れてた。最先端の携帯電話「アイフォン」「アンドロイド」スマホを常備していた本物(REAL)が呼び出す。
「負けだよ。僕はセンスが普通のその場しのぎを止めた【有】だ」
タケコプターで強制ワープ・テレポートした未来の国の二人が駆け付ける。良し……危機は回避された。
パーフェクト・ワールド~キミと居たキセキ~
野比家の帰宅はハッピーエンドの希望に満ちた今日(こんにち)を歩む約束。悩み事は総て丸く収まった、ママがドラえもんの体調を心配していたー
「ヘェ。そんな事が或ったの、とりあえず一杯食べなさい」
「あんな危険な秘密道具ご法度だよ。学校でしずかちゃんに謝りな」
のび太はコロッケを食べながら幸せを噛み締めゆく。ああ幸せ~~あとは、やるだけ!!
「ずっと一緒にイヨ? ドラえもん♬」
「うん。100%同じキモチ……」
ファミリーと完全に一つになった。このまま。