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-4月8日-
いよいよ入学の日がやってきた。スカッと目覚めカーテンを開けると、私の気持ちと裏腹に雨が降っていた。
予報通りの雨が…
私は顔を洗いリビングに行く。
「おはようママ」
「あらおはよう。早かったわね」
「まぁね」
そのまま席に座りTVをつける。
『ご覧の通り低気圧が日本列島を覆いかぶさっています。今日は温かく湿った雨が1日降り、傘が手放せないでしょう。気温は…』
「雨か~こんな時に~」
テレビ音を遮る様に私は言った。
「そうよね~もう」
ママも賛同し、私達は天気を憎んだ。
-06:45-
私はママの言葉にあまり気にせず、そう言って傘を持ってドアを開けると、丁度隣の山田さんも出てきた。
「あ…」「あ…」
グッドタイミングで隣の山田さんが出て来て、先に気付いた私が言った直ぐに言って同時に会釈し、
「おはようございます」
先に挨拶をした。
「おはよう。今日から新学期だね」
向こうも笑顔で挨拶をして来た。
「そうですね。にしても今日は雨ですね」
「そうだね~新学期だっていうのに。ていうか、敬語じゃなくていいよ」
「え?でも」
「同い年だしさ。ね?」
緊張を解こうとしてくれるのかフレンドリーに来てくれる。偏見だが、友達が多そうな感じがしたのと、そう言ってくれる事にとても嬉しかった。
「わかりました」
「わかった!はい、リピートアフタミー」
敬語になってしまう私に、わかったを”私(山田さん)の言葉に繰り返して”と言ってきた。
言いづらい…けど
「わかっ…た」
「イエス!グレイト!」
そう言って一緒に歩き出した。自転車小屋まで黙って歩くのも気まずいので、最初の挨拶から気になってた、名前にフルーツが付く事に付いて話す。
「それにしても、山田さんも名前はフルーツなんだね?」
「下の名前でいいよ。山田っていっぱい居るし。そう言えば、妹さんもフルーツの名前なんだっけ?」
「うん。妹が『みかん』て言うの」
「偶然だね。由来は?」
「冬に生まれたから『冬といったらコタツと蜜柑』で『美柑』なんだって。漢字はは違うけどね」
腕を組み、成る程という表情を出しながら
「へぇ~、私の場合は家族の好物が「苺」だったからなんだ」
「そうなんだ~。実際に苺は好きなの?」
「好物は好物だけど、実は大好物はメロンなの(笑)」
「アハハ。妹は名前の通り、蜜柑が大好物なんだよねー」
「それは何よりじゃん」
そう何気ない話の後、自転車に乗り一緒に桐山駅に着いた。
「大きいね」
迷子になりそう…
実は私は電車に乗った事がない。
「まぁこの地域では2番目に大きい市の駅だからね。そう言えば電車乗った事ないんだよね?」
「え!なんで知ってるの!?」
まさかの一言で私は驚いた。
「あなたのお母さんが言ってたよ。だから、初日に乗り方教えてねって。だから登校する時間も聞いてたんだ」
「だからジャストタイミングで玄関を出た訳か。なんかごめん」
納得した私。
ママめ、いつの間に…
「いいよ。現に私も、高校に入ってから乗り始めたんだから」
「そうなんだね。私の場合、『人が密集するから息が出来なくなる』って小さい頃から言われててね、それで乗ってなかったの。今考えると多分私が心配だったからだと思う」
「へぇそうなんだ、お母さん娘想いなんだね。今はもう大丈夫なの?」
「うん。さすがにこの年になって電車に乗れないってのは恥ずかしいじゃん?」
「んまぁ確かに…」
「だから心配だよ~」
「大丈夫、私が居るから」
この時間は何故か学生が多い。特に運動着を着ている生徒が。部活だろうか…。今の頼りは山田さんだ。
「人多くない?」
「そう?この後の時間が多いよ?敦美ちゃんのお母さんが『人がなるべく居ない時間帯』て言われてたからこの時間にしたんだけど、丁度、通勤と朝練生が多くて」
「あされんせい?」
初めて聞く言葉だ。
「部活生徒が朝から練習をする事。略して朝練。夕方は夕方でするけど」
山田さんはそう話した。
道理で学生さんが多い訳だ…
「なるほど。アメリカにも居るねこういう人達」
人口が多いここは通勤、並びに帰宅ラッシュ時は半端ないらしい。
「この後の後は?」
「今の感じ。因みにその後は、最近電車時間が変わって学校に超ギリギリだからね。もし途中にある信号に引っ掛かかったりしたらもう無理。第一、私の友達がそこの高校に居るんだけど、スクールバスはその前の時間帯までしか来ないらしいから、どちらにせよ無理だよ」
なんというシステムなのよ…
「そうなんだ…」
「慣れるしかない」
苺ちゃんも流石に苦笑い。無理もないか。む~怖いよ~…
-07:11-
日ノ出行きの電車に恐る恐る乗った。
to be continued…