テラーノベル
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二つ、三つと分岐を過ぎ、既に元々覚えたてだった正しい順路に戻る事を諦めかけた時、レイブは不意にこれまで以上の大声を上げたのである。
「ちょっ! ストップストップゥーッ! ペトラ、急ブレーキーッ!」
『ブキィーィッ!』
前肢の両蹄から煙を生じそうになりながら急停止をしたペトラは呆れた様な声で叫ぶ。
『何よ! 結局行き止まりなんじゃないのよぉ!』
言葉の通り、行く先の通路は岩壁に阻まれていた。
レイブを乗せたペトラの鼻先からほんの少しだけ先では、テューポーンを頭上にしたギレスラが体を起こして翼を前後に羽ばたかせホヴァリングをしている。
こうしている間にも、隠し穴の中央、恐らく例の広場から四方に広がりつつある破壊の音が、ガシャンメキョメキョガラガラズシーンと近付いているのである。
レイブが上げた声もビブラートが効いている。
「どどどど、どーする? いいい、祈る? いいいい、遺書とか?」
珍しくナーバスな発言をしたレイブの眼前に、全ての元凶であるテューポーンが飛んで来て二、三度宙返りをし、そのまま踵を返して行き止まりになっている壁まで移動すると振り返って鳴く。
『ギ♪ ギギッ♪』
「ん? 何だってゆーんだよ、今更……」
シュバッ! ボコリッ!
「おお? おおおぉっ!」
レイブ達には既にお馴染みになっているバッタらしい後ろ蹴りではなく、珍しく前蹴り、フロントキックによって蹴られた壁面には小さな穴が開いていた。
そこから射し込んだ光は穴の内部のどの灯りとも違う自然光、太陽光線に他ならなかったのである。
レイブは興奮を隠そうともしないで叫びを上げる。
「おいおいおいーっ! あの壁薄いみたいだし、外だよ! 外に繋がってるみたいだぞ、おいーっ!」
『グガアァー! これを知ってここに導いたというのか? テューポーンさんはショートカットをさせてくれた、それに違いないぞ! ガガガア♪』
『ギギギ♪』
『おお! やはり自慢げではないか! そうとなったらレイブ、ペトラにぶっ壊して貰うのが良いと思うが、どうだ?』
『任せてお兄ちゃん達!』
「うむ、ペトラ、やっておしまい」
レイブの意思を確認したギレスラは通路の脇に寄り、ペトラは頭を低くして闘牛よろしく前脚で地面を引っ掻き出している。
『ブヒイイィィ!』 グワシャッ!
数回の足踏みの後、鼻息荒く壁に向かって突進を果たしたペトラは見事に壁を破壊したのである。
その背で、体を低めたレイブが景気付けの様に叫んだのである。
「さらば暗く湿った穴ぐらよ! こんにちは陽光溢れる爽やかな世界! い? いーっ!」
『小人の隠し穴』から飛び出したレイブとペトラは、揃ってゲルド由来のアーティファクト、『巨大化の小槌』の効果が切れ、元々のサイズに戻り、落下していくのであった。
テューポーンが見つけたショートカットの壁の先、そこは切り立った崖の中程、千尋の谷のど真ん中だったのだ。
鴨之助
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いね
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#ファンタジー
成瀬りん
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コメント
1件
あっ、1214話か!ここまで来たかー。もう迷宮脱出まであと一歩ってとこで、テューポーンの前蹴りからのペトラ突進、最高に熱かったわ🔥「祈る?遺書?」ってレイブの慌てっぷりも笑えたし、ギレスラとの連携もいい感じ。でも最後の「千尋の谷のど真ん中」で元のサイズに戻って落下かよ!そこは想定外すぎるだろー!続き気になりすぎるんで、次話よろしく頼むわ、KEY-STUさん!