TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
僕とご主人様

一覧ページ

「僕とご主人様」のメインビジュアル

僕とご主人様

6 - 猫の僕と優しい殺人鬼

♥

250

2023年08月27日

シェアするシェアする
報告する




この人間と出会ってから

数ヶ月がたった。


僕はあの日から今日まで

何不自由なく人間と生活している。


人間の隣で目覚めご飯食べて

日向ぼっこをしまたご飯食べて

人間の隣で眠る。


別に何か特別なことを

しているわけではない。


僕はただ

この人間との生活も悪くない

そう思っただけだ。



少し開いたカーテンの隙間から

太陽が顔を出す。


この人間との生活も

段々と様になってきた。


おはよう人間。


僕は大きな声で鳴き

人間を起こす。



「…おはよう。今日も元気だね。」



また今日が始まる。









[今日は午後から雨が降るでしょう。]


[先日放送した○○市で起きた

強盗事件の犯人は先程逮捕されました。]



僕は今テレビを横目に人間と

朝ごはんを食べている。


「最近物騒なニュースばっかりだよね。

ほら見て連続殺人犯だって。怖いね。」


と指を指しながら人間はそう言った。


テレビに目を戻せば

大きく画面に書かれる

連続殺人犯の文字が目に入った。


「こーゆーことする人って

どんな人なのかね??」


人間は空いている左手を

わざとらしくあごに添え首を傾ける。



連続殺人犯。



どんな人なのか。


何を考えているのか。


僕の知っている連続殺人犯…いや違う

あの人は僕のご主人様だった。


なぜあんな事をしていたのかは

ご主人様にしか分からないけど

僕には優しかった。


[お前も一人ぼっちなのか。

俺と一緒だな!!]


そう嬉しそうに言ったご主人様は

街で騒がれていた殺人鬼だった。










ー猫の僕と優しい殺人鬼ー


[また一人殺されたらしい。]


[あの殺人鬼がまた現れたのだ。]


[次は誰が狙われるのかしら。]


[本当に怖いわね。ありえないわ。]



街は殺人鬼の話題で溢れていた。


夜に現れ人の命を奪っていく

正体不明の殺人鬼がこの街に現れたのだ。


人々は殺人鬼を恐れ死神と呼び始めた。


死神に出会ってしまえば最後

生きて帰ることは不可能と言われていた。



[お前一人ぼっちなのか。]



なぜかその殺人鬼が

僕の目の前に現れたのだ。




僕は人気のない路地裏を

自分の縄張りにしていた。


めったに人間が来ることはないし

暖はとれ野良猫だった僕には

生きていくのに最適な場所だった。


死神が現れるまでは…。



その日は空が黒く濃い雲で覆われ

雨がいつ振ってもおかしくない

そんな日だった。


少しすればポツポツと雨が降り出し

次第にバケツを

ひっくり返したかのような

雨が降り出した。



その時全身真っ黒な人間が

僕の方に歩いてきた。


不気味な雰囲気をまとった

人間は僕の隣に腰をかけた。


そして人間は腰を掛けるなり

自分の着ていた衣服をおもむろに脱ぎ出し

服を乾かし始めた。


そして僕に話しかけた。


[お前一人なのか??

奇遇だな俺も一人ぼっちなんだよな。]


[寂しくないのか??

お前名前ないのか??]


[これ貰ったんだ。

なんだっけパンジー?だったかな?]



[なぁなぁお前俺についてこねぇか??]



これが猫の僕と

死神のご主人様との出会いだった。




ただご主人様が街で騒がれている

殺人鬼だというのを僕が知るのは

もう少しの先の話。




ご主人様は死神だったのだ。


正体不明の連続殺人犯。


誰も姿を見たことないし

声もきいたことがない。


夜に現れ朝には消える。


とても残虐な方法で

人々の命を奪う。


そんな噂をよくきくご主人様だが

僕にとても優しくしてくれた。



[お腹すいてねぇか??

俺のやつやるよ!!]


[寒くないか??

俺の隣来いよ!!]



とてもじゃないがご主人様が

そんなことをするような人には

見えなかった。


だが人の命が奪われているのは事実。


目を塞ぐことも

耳を塞ぐこともできない。


なぜご主人様は

人間の命を奪うのだろうか。


猫の僕には

こんなにも優しくしてくれるのに…。



もしかしてご主人様も

僕と同じで

何か嫌な思い出があるのかもしれない。


誰にも言いたくない

誰にも言えない

そんな記憶を持っているのかもしれない。


悪いことは悪いこと。


それは忘れてはいけないこと。


だけど信じることが出来なかった。


僕はあの時みたいに

信じたくなかったのだ。


現実から目を背けたかったのだ。


甘い言葉に溺れ

幸せな夢を見る。


少しだけでもいい。


少しだけでもよかった。



わがままかもしれない。


ただ僕はご主人様と一緒に

居たかっただけなのだ。


たったそれだけ。


一緒にいれるだけでいい。


それが僕の幸せだから。


だけども

ご主人様は今日も手を汚す。


僕から遠く離れていってしまう。








この人間だって

僕の知らないとこで

何か悪いことをしているかもしれない。


僕から離れるかもしれない。




「どうした?何かあった??」




夢でもいい。


僕は幸せになりたい。

この作品はいかがでしたか?

250

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚