テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#雪野 しの
45
#自己紹介 #はじめまして #これからよろしくね!
2,533
雨が嫌いだった。
雨の日には、必ず誰かが泣いていたから。
街の外れにある古い時計塔。
午前零時になると、一度だけ鐘が鳴る。
その音を聞いた人は、大切な人にもう一度だけ会える。
そんな噂が、いつからか街中に広まっていた。
もちろん、誰も信じてはいなかった。
……一人を除いて。
十七歳の少女・**白崎 澪(しらさき みお)**は、毎晩その時計塔へ通っていた。
一年前に失った兄に、もう一度だけ会うため。
「今日も……だめ、か。」
誰もいない時計塔。
冷たい雨だけが肩を濡らしていく。
帰ろうとした、その瞬間。
――カラン。
時計塔の鐘が鳴った。
午前零時には、まだ十五分早い。
澪がゆっくり振り返る。
そこには、誰かが立っていた。
黒い傘を差した、一人の青年。
「……やっと来た。」
初対面のはずなのに、その青年は澪を知っているように微笑んだ。
「君は、会いたい人がいるんだろ?」
「……誰?」
青年は答えず、時計塔の扉を開く。
錆びついて何十年も開かなかったはずの扉が、重い音を立ててゆっくりと開いていく。
その奥には、本来あるはずのない長い階段が続いていた。
「ここから先は、死者の記憶が眠る場所。」
「一度入れば、君は真実を知ることになる。」
「それでも来る?」
澪は震える手を握りしめる。
知りたい。
会いたい。
たとえ、その先にどんな結末が待っていたとしても。
彼女は、一歩を踏み出した。
その瞬間。
時計塔の鐘が、街中に鳴り響いた。
ここが……記憶の眠る時計塔…
コメント
3件
読了したよ📚 第1話なのに、もうすでにこの世界に引き込まれちゃった……。雨が嫌いな理由が「誰かが泣いていたから」って、冒頭の一行で澪の心の傷が透けて見えてきて、胸がぎゅってなった。 大切な人に会えるという噂の時計塔、でも最初は"ひとりだけ信じてる"っていう孤独感が切ないね。鐘が早くなった場面、黒い傘の青年の存在感がすごくて、一気にミステリアスな雰囲気になった。 続きが気になる……!