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君の涙はあの星のように綺麗でした
冬の星空の背景を前に映る君の姿はあの星のように綺麗でした。
僕の彼女は星涙病(せいるいびょう)という、涙が星になる病気に患ってしまったらしい。
医師が彼女へそう告げていたのを僕は黙って、病室のベッドの横にある椅子に腰掛けて聞いていた。
原因は精神的によるものだった。 早くに気づいてあげられなかった自分が憎くてたまらない。彼氏失格だ。
でも僕は思った。星涙病になるまで溜め込んでいたならそうなる前に僕に相談をしてくれても良かったじゃないか。
僕には相談出来ない程のものを抱えていたのか?
彼女の相談に乗らせて貰えなかった自分に腹が立ってきた。 しかし彼女を責める訳にもいかない。
僕は彼女が目から星を流しながら窓の外を眺める横顔をただ見つめることしか出来なかった。
それがあまりにも綺麗で僕は現(うつつ)を抜かしてしまい、思わずハッとした。
黙って見ているわけにはいかないと思い話しかけることにした。
だが、なんて声をかけたらいいのかわからなかった。僕は未熟だ、声をかけることすら出来ないなんて。
結局僕たちは一言も会話を交わす事なく1時間が経った。そこでやっと僕は声を出す。
「星叶(せいか)、僕はもう学校に戻ろうと思う。何かあったらすぐに連絡してくれ。愛してる。」
僕は優しく彼女の頭を撫でながら一言言い残しこの場を後にした 。
実は僕は学校を抜け出していたのだ。
朝会が終わったあと担任の先生に呼び出され、何かと思ったら星叶が無断欠席をしていると告げられたのだ。
連絡をしても通じなく、恋人の君なら何か知っているかと思ったらしい。確かに教室には姿は見えず、メールも未読のままだった。
「いえ、わかりません、僕も連絡はしたのですが、未読のままで…。」
「そうか。それならクラスは副担任に任せて俺が星叶さんの家に訪問しよう。」
「僕が行かせてください。」
僕が行かなきゃダメだ。勘がそう言っていた。
「いや、君は授業に参加しなさい。留年ギリギリなんだぞ?」
僕は痛いところを突かれて言葉を失った。
星叶と付き合う前までは僕は授業をサボるし無断欠席するし校則を破ってピアスはバチバチ、髪を青に染め喫煙をし停学になるほどの不良だった。
普通に黒歴史。
不良の俺かっけぇって思ってたのがまじで恥ずかしい。思い出したくないね。
今はそんなことよりも星叶が無事かが重要だ。
「星叶に何かあったら助けられるのは僕だけだ。」
「君ねえ…。まあ、いい。俺は君たちの事応援してるよ。気をつけて行ってこいよ。」
「いいんですか?ありがとうございます!」
先生にそう言い残しダッシュで職員室を飛び出した。
「走るな!」
「すみません!」
「全く…。頑張れよ、薔(しょう)。」
どうか無事でいてくれ、星叶!
そう何度も心の中で唱えながら僕は走った。
20分程経ってようやく星叶の家についた 。
インターホンを鳴らしてみるが反応はなくドアノブに手をかけてみると鍵が開いている事に気づき、そっとドアを開けようとした。
その瞬間ドアに寄りかかっている星叶の姿が見えた。
「星叶!」
僕は咄嗟に彼女を抱き抱えた。
星叶はぐったりしていて話せる状態ではなかった。そこで僕はとある事に気づく。
星叶の瞼からは星のような涙を流していたのだ。
金平糖のような、そんな形をしたものだった 。
キラキラと輝いた無数の星が次から次へと流れていく。
その星に触れてみてはサラッと砕けてしまった。
「綺麗……。」
は?こんな時に何言ってんだよ! ぐったりしている彼女を見て第一声がそれか!??いや、自分に突っ込んでる暇じゃないだろ!!!
僕は急いで救急車を呼ぶ。が、救急に連絡をしても話が通じなかった。
「 だから!彼女が倒れてるんです!会話も出来そうになくてぐったりしてるんですってば!」
僕がいくらこう伝えても話が噛み合わなかった。
「私の声は聞こえていますか?どうかされましたか?」の一点張り。
どうなってんだよ!?不可解な出来事に僕はイライラした。
その時スマホの向こうから 「火事なら1回、救急なら2回受話器を叩いてください。」という声が聞こえてきた。
僕は咄嗟に受話器を2回コンコンっと叩いた。
すると音がちゃんと聞こえたのか返事が帰ってきた。
「今そちらに救急車が向かいます。通話はこのまま通しておいてください。」
僕はこの言葉を聞いて安堵する。
〜つづく〜