1話
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🐤said
🐤「ふぁ…ねむ…」
と、喋りかける相手もいないため、ぼそっと呟きながら空を見上げる。
雲と青空の比率、7:3。
ことりのさえずり?そんなものはきこえない。
聞こえてくるものはカラスの鳴き声と車が車道を通り過ぎる音のみ。
新学期を迎える日にしてはなんとも味気のない朝だ。
今日は入学式。友達、沢山できるかな〜。
俺の“中身”をみて好きになってくれる人…いるといいけど…
というのも、自分で言うのもなんだが中学でモテなかったと言うと嘘になるくらい、ある程度モテてはいた。
だけどそれは、俺の中身で好きになってくれたのでは無かった。
🐤「…あれ?…」
え、ここどこ?
考えたくもない。いや、今の状況に「迷子」以外のなんという字が当てはまるというのだ。
どうしよう、入学式までそんな時間ないのに…
初日から遅刻?そんなの絶対いや!!
っ、どうしy
?「…もしかして…ダイス学園の新入生さん…?」
🐤「おわっ、!?」
誰かと思って振り返ると、俺と同じ制服をしっかり着こなしている白髪の…
スラックス履いた女の子…?
目くりくりで…綺麗系よりかわいい系の子
?「あ、あの…?」
🐤「あ、すみません。そうなんです、新入生なんですけど…道に迷ってしまって…」
?「なるほど…。それなら一緒に行きます??」
🐤「いいんですか!?すみません、お願いします!」
?「全然ええよ〜、ほな行きましょかっニコッ」
といって歩き出すお姉さん。
同い年かな…?というかこの学校、スラックス制度あったんだ。
あ…自己紹介してなかった…
🐤「あの、俺、大神裏卜っていいます。りうら、とかお好きに呼んでください!あの…お姉さんは…」
そう聞き返した時、お姉さんの目はアニメのように分かりやすくぱちぱち、と瞬きをした。
?「…お姉さん…?」
🐤「?あれ、お姉さん…女性じゃ…」
?「っ、ww」
え、なんで笑って…
?「ご、ごめんw 僕男…ww」
🐤「えっ、!?」
🐇「僕は有栖初兎ですw 初めまして、兎と書いて しょう って読みます!
ダイス学園の新2年生。よろしゅうな〜」
これはとんでもなく失礼なことをしてしまった。
よろしゅう、といって差し出された手は、確かに男の人らしい手つきだ。
🐤「大変失礼しました…!!よろしくお願いします、有栖先輩!」
といってその手を握り返す
🐇「よくあるから気にせんでw あと、初兎でええよ!」
🐤「じゃ、初兎先輩!!」
🐇「ふふ、りうらくん、素直やねw」
🐤「えへへっ」
初兎先輩、今ので雰囲気柔らかくなった…?
なんて考えてると、うーん、と唸り声を上げた先輩。
🐇「ん〜、りうらくん…?んー、りうくん…?りうちゃん…。りうちゃん!りうちゃんってよんでもええ?」
🐤「!いいですよ!」
俺は初めての呼ばれ方にテンションが上がるのが隠しきれず、つい勢いよく返事してしまった。
雲の間から、光が差し込んできた。
味気ないはずの朝がいつもより濃い朝となった。