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ロンドン
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ダグラス達は、フギシーカでの聞き取りを続けた。どの住民も、No.211の事件の詳細について、語る人は現れなかった。
「…そろそろ、厳しくなってきたみたいだし…あと少しの人に聞いたら、とりあえず、エディさんに『詳細な情報をこちらから聞くことはできませんでした』って、報告しよう。」
「分かった。」
そうして、2人は歩き始めた。
「…これは、COMAの隊員……?どうしてフギシーカ地方にいるんだろう…」
「こちら、COMAのダグラスと言う者だ。No.211という黒く大きな化け物について、詳細を教えてもらいたい。」
「えぇ、私ですか?そうねぇ……」
とある住民も、2人の話に的確に答えてくれなかった。ニーナは次第に困ったような顔を浮かべるようになった。それでも、ダグラスは質問を止めない。ある住民の聞き込みを終え、ニーナは小さな声で、
「ねぇ、ずっとこんな状況が続いているから…そろそろ切り上げた方がいいんじゃない?私、そろそろいいかなぁ…って思ってきちゃって。」
「そうか。」
「…そういうなら、もう、ここから離れようか。エディ指揮官にも話しておこう。」
「…待ってください!!」
ある少年が、2人に向かって叫んだ。
「……COMAの、お方ですよね……?僕、僕なら…昨日起きたあの出来事について…僕が、話します。」
「本当か?」
ダグラスは、メガネをかけた、灰色のローブを羽織った少年に向かって話す。
「はい…これは……僕が、僕が……」
「落ち着いて、大丈夫。」
ニーナは優しく、少年に話しかけた。
「…それでは、1から話させてもらいます…」
それは、昨日の早朝でした。僕達の小さな町に、大きな、暗雲のような、怪物が町全体を、襲ったのです。この生物は、僕達のどんな魔術を浴びせても、弱ることはなく、むしろこの怪物は、小さく分裂して、町をどんどん壊していきました。この怪物の攻撃を被った人もいます。僕達は混乱の最中、住民の魔術が住民を傷つけ、そして…辺りは炎に包まれました。僕達は、かつてない絶望を感じました。全員、どこかしらこの怪物に対する恨み、町が崩れてしまったことに対する絶望…感じなかった人はいないでしょう。1日経った今でも、どこからも救援がありません。だって…僕達フギシーカは……魔法しか、信じていなかったから―
「これで、以上です。足りない箇所があれば、随時追加します。」
「…感謝する。」
「……分かりました、ありがとうございます。」
すると、少年は2人に向かって、
「実は…さっき言った通り、僕は…ここを復興するにあたって、支援が欲しいんです。でも、どの住民も…救援を望む人なんていないんです。だから、なんとかして、全員を説得してもらいたくて……」
「…」
ダグラスは、黙りこんだ。少年は、焦燥しながらも、
「どうにかしてくれないんですか!せっかく、こんな所まで来たというのに、僕達フギシーカを放置するつもりなんですか…!!」
と話した。両手を、力いっぱい握りしめていた。
「僕はどうすることもできないんです…だから、COMAの貴方達に…なんとか、やってもらいたいです……」
「…そうか。」
「はい、僕の頼み事、やってもらえますか?」
ダグラスは、目線は合わせなかったが、
「…仕方ない。」
と言った。ニーナは驚き、
「アズウィンド!?本気なの、それ!?」
「どうやら断れない性分で、しばらく少年の頼み事を解決するのに時間を使わせてもらう。ニーナはエディにその趣旨を伝えてくれ。俺が、少年とフギシーカの支援の手続きをする。」
「え、ええぇ!?」
ニーナは目を大きく見開いた。
「早く伝えてくれ、俺は行く。」
「待って、待ってってば!!!」
そして、ダグラスは少年と共に歩き出した。
「ちなみに、お前の名前は何だ?」
「僕…ですか?僕は、リクハルドです。年齢は17で…貴方は、アズウィンドさん、で合ってますか?」
「あぁ。」
「これから、アズウィンドさんと呼ばせていただきますね。今から、アズウィンドさんに行ってもらいたい所がありまして……」
コメント
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第29話「僕達は、何もできずに…」読み終えました。タイトルの通り、どの住民も口を閉ざす中、少年リクハルドが一人だけ真実を語ってくれた場面が印象的でした。「魔法しか信じていなかった」というコミュニティの閉塞感と、それでも声を上げた彼の勇気が伝わってきます。ダグラスが支援を引き受ける決断をしたのも納得。この先、リクハルドの案内でどんな光景を目にすることになるのか、続きが気になります。