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━━━━━「お前を追放する」
晴れた暖かい日の下、「ふぁ〜」とあくびしながら掃除をしている男がいる。
「今日めっちゃええ天気やなぁ。ポカポカしとってついつい気ぃ抜けてまう。」
そんなことを呟きながら、教会の前をほうきではいているのはこの教会の神父である”躑躅森盧笙”である。
「この天気ほんま好きやわ、最近寒くなってきとるけどお日さん出て晴れとるとあったかいし気分も上がるわ。」
そんなことを言いながら掃き掃除を続けていると「〜〜〜ショー」と何処からか声がし周りを見渡してみる、が、誰もいない。
「空耳…?」
そう呟くとまた声がする
「ロショー」
「!」
今度はハッキリと聞こえた。
声のする方━━━空を見上げると自分の名前を呼びながら何かがこっちに向かってきているようだ。
「えっ、はっ?」
先程までゴマ粒程度の大きさぐらいだった何かがふわりと自分の横に降り立つ。
「ローーーショ!!見っけた!」
降り立ったそれは真っ黒で少しボロボロな羽と先端が折れて少し白くなっている角が生えた人間───いや、悪魔のようだった。
唖然とした盧笙の顔にその悪魔が心配そうな顔をする。
「どうしたん?ロショウ。」
「誰やお前……人間…とちゃうよな……?」
「えっ…」悪魔は一瞬悲しそうな顔をすると引きつった笑顔で「ははは、冗談よな…いや、冗談言うてる顔ちゃうか…すまん、俺の人違いやったみたいやわーものすごくべっぴんさんやからアイツやと思ってんけどなーハハハ…」と言うと飛び立とうとする。
「あっ、ま、待って」と言いながら盧笙が翼をつかむ
「わっ、な、なんや、、?間違えてもうたん怒っとる?すまん、ほんまによう似とったから間違えてもうただけやねん、、。だから羽、離してや…」
すぐに離れたいと言わんばかりに翼を勢いよく動かし手を振り払おうとする。
「あかん。俺はまだお前と話したいねん!」
「え?」悪魔はびっくりした顔で盧笙を見つめる。
「俺はお前と会うんは今初めて…やと思うんやけど、なんて言うか、、、懐かしい感じがするねん。それにお前が初めて会った”はず”の俺の名前知っとるみたいやし…それって本当は初めてあったわけやないってことやろ?」
「えっ、えーっと……」
「俺な昔のこと全く覚えてへんねん。最後の記憶が数年前やと思うねんけど、気付いたらこの教会の前に立っとってん。だから、俺がここに来るまでにお前にあったことあるんちゃうかって思うねん、、」
「っ……、ぐ、偶然やって!偶然が重なってもぅta…」
「じゃあなんでそんなに悲しい顔しとるんや」
被せるように盧笙が言う。
「俺が”誰やお前”って言うた時も一瞬悲しい顔しとったし、今やってめっちゃ悲しい顔しとるで、自分…」
白状したのか悪魔はぽつりと話し始める
「……おれはお前のこと知っとる」
悪魔は伏せていた顔を上げ続ける
「というか俺はお前を探しとったんや」
「俺を?」
「あぁ、数百年数千年って探してたんや」
「すうせん、、ねん、、?」
「…これ以上は俺の口からは教えれへんわ」
「は?」
「決まりやねん、きっと盧笙が記憶を忘れた理由はアレやし…後は盧笙自身が思い出すしかない。」
悪魔は隙をついて翼を掴んでいた手を振り払い飛び上がる。
「おい!」
「ごめん…きっと忘れてた今の方が幸せや。やから思い出さんでええよ。」
悪魔は顔を伏せ盧笙と目を合わせないようとしない。
「アホ!」
盧笙は真っ直ぐ悪魔の方を見て言う。
「お前の物差しで俺の幸せをはかるな!俺は自分の事を、お前の事を知りたいんや!」
悪魔は「ごめん…」と言って目を伏せたまま飛び去った。
「行ってもうた…」
盧笙は悪魔が飛び去った空をいつまでも眺めていた。