テラーノベル
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愛とは、一体なんなのだろうか。
車中には、ワイパーの嫌に耳に残る音と、雨の打ち付ける音が鳴り響いていた。
信号機の赤は青になっていたのだろうか、それとも赤のままだったのだろうか。
それすらも朧げな意識の中、僕は車を走らせていた。
着慣れないスーツと僕の首を絞めるように巻きついているネクタイ、僕はきっと夢の中なのだ。
起きたらきっと日常が戻ってくる、昨日までの幸福を感じていた時間へ、これからの期待と、そしてほんの少しの不安混じりの感情を抱いていた昨日に。
きっと戻る。
車のハンドルを左右どちらかに思いっきり回しさえすれば、夢から覚めるはずなのだ。この悪夢から。
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