HRが始まる前、生徒会室はもう静かに忙しさで満ちていた。
机の上には文化祭関連の資料や部活動申請書が山積みになっている。
その中央で、テキパキと書類を整理するのは__
もちろん生徒会長の らん。
🌸「この申請書、顧問の印が足りない、、
… こさめ、あとでバスケ部の顧問に渡してもらえる?」
☔️「はーい!」
すでに慣れた様子で、こさめは書類を受け取る。
バスケ部のマネージャーとしてだけじゃなく、
生徒会でもらんのサポートをしているのだ。
らんは次々と資料に目を通し、ペンを走らせる。
その姿は凛としていて、思わず見惚れてしまうほど。
__けれど。
🌸「 … ふぅ、、」
ペンを置いた瞬間、ほんの少しだけ深いため息が漏れた。
☔️「らんちゃん?」
声をかけたこさめに、らんは慌てて笑みを作る。
🌸「ごめん、なんでもない。ちょっと考えごと」
無理に取り繕う笑顔。
その奥にある疲れや重圧を、こさめは敏感に感じ取っていた。
けれど、彼女が“誰にでも優しい会長”でいようとする気持ちを知っているから__
今はあえて、触れないでおく。
☔️「じゃ、こさめ美術部に資料届けてくるね!」
そう言ってこさめが立ち上がると、らんは小さく頷いた。
🌸「ありがとう、助かる」
その声に、ほんの一瞬だけ本音の柔らかさが滲んでいた。
校舎の奥にある美術室は、朝の光でしんと静まり返っていた。
聞こえるのは、絵筆がキャンバスを走る音と、絵具をパレットに落とす小さな音だけ。
窓際でキャンバスに向かっているのは なつ。
その真剣な横顔は、まるで時間から切り離されたようで__
見る者を無意識に惹きつける。
後ろでは すち が画材箱を整理していた。
🍵「 … 相変わらずだねぇ、ひまちゃん、笑」
苦笑しながら声をかけても、返ってくるのは短い一言だけ。
🍍「ま、静かな時間の方が集中できるからな」
その淡々とした言葉すら、なぜか絵画の一部みたいに収まってしまう。
そんなとき__
コン、と扉をノックする音が響いた。
☔️「失礼しまーす!」
元気いっぱいの声とともに顔を出したのは、3年のこさめ。
手には数枚の書類を抱えている。
☔️「おはよ ~ 、会長から預かってきた資料、文化祭の展示物についてのだって!」
にこにこしながら資料を差し出すこさめ。
🍵「ありがとう、先輩」
すちが柔らかく受け取り、机の上に置く。
そのやりとりの間も、なつは筆を止めることなく黙々と色を重ね続けていた。
☔️「 … ふ ~ ん。流石だね、集中力おばけ」
こさめは思わず口を尖らせる。
けれど、そんな素っ気なさすら格好よく見えてしまう自分に、胸の奥がじんわり熱くなる。
🍍「 … 朝から元気だな、先輩は … 笑」
ようやく視線だけを上げて、なつが呟く。
☔️「でしょ? これがこさめの取り柄だから!ニコッ」
無邪気に笑うこさめ。
その笑顔は、少しだけ緊張した空気をほどいて、美術室に明るさをもたらした。
チャイムが近づき、彼女は手をひらひら振って言った。
☔️「じゃ、こさめは戻るね!またね、2人とも!」
去っていくこさめの背中を見送りながら、すちがぽつりと呟く。
🍵「 … やっぱり、いい人だよね」
その横で、なつはただ黙って筆を動かし続ける。
けれど心のどこかで、彼女の笑顔が鮮やかに残っていた。
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