「」…🐼 『』…🎤
『……それだけ答えたら満足するの?』
「それは返答次第というか~」
『………』
「……お願いしますッ!!!」
両手を合わせて頭を下げると、彼は大きなため息をついた後、少し躊躇いがちに小さな声で呟くようにして言った。
『……………歌うこと…とか、』
「歌……?」
予想外の回答だったので思わず聞き返してしまう。
すると彼は顔を赤くしながら続けた。
『……なんか文句ある…?!』
「いえ、全然!むしろ良いと思います!」
『……うるせえな……もう早く寝ろっての……』
そう言って彼はそっぽを向いてしまった。
意外な共通点に、彼への興味が更に倍増する。
「俺も好きなんですよ!歌!!きんときさん、今度一緒に歌いましょうね!」
『……気が向いたらね……』
「…!!やったあ!!!」
思わぬ収穫に思わず声を上げて喜んでしまう。
『ッ!?』
『おい静かにしろっての!!…..他の聖職者にバレたらどうすんの?!』
「っえ、あ、はいっ!すみません……」
少し焦ったような彼の声にハッと我に返る。
…さすがに彼の反応が面白いからと言って、ついはしゃぎすぎてしまったかもしれない…と大人しく反省し、俺が素直に謝る。
『…え、』
「え?」
『…お前ってほんとに変なやつだよな』
「え、なんですかそれ!どういうことですか!?」
『そのまんまの意味だよ。……聖職者が吸血鬼に頭下げるなんて…』
「ああ、そういう……」
確かにこの世界では、人間と吸血鬼は敵対関係にある。
それはずっと昔から続いている事で、そのイメージがあるのも仕方ないだろう。
…でも、そんなくだらないこと、
今の俺にはこれっぽっちと言っていいほどどうでもいいことなのだ。