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僕は、雨が嫌いだ。

嫌いになった原因は、あの忌まわしい過去の記憶のせいだ。

こびりついて落ちない汚れのように、今でも僕の心を蝕む。


ーー

僕が小学生の時の事だった。

[おい、ちょっとこいよ]

三人の中学生が、僕に声をかけた。

怖くて、ついていくしかなかった。

行き着いた所は、なにもない空き地。

人からの死角になる目につかない場所だ。

そして、中学生三人は自転車で僕を囲ってきた。

さらに、僕のランドセルを虫のいる方へ雑に投げたのだ。

恐らく、ランドセルの右側が黒くなっていたのはこれが原因だと思う。

僕は逃げ場もなく、その場でなき続けた。

僕が目をつぶって泣きわめいてるうちに、中学生三人はどこかに姿を消したらしい。

らしいと言うのは、僕が目をあけると底には誰もいなかったからだ。

空は暗く染まって、どしゃ降りの雨だった。

結構な量だったため、打たれる度に痛かった。

終いにはその場でしゃがみこみ、動けない状態に。

[うっ……ヒック…!]

どうやってその場から帰ったかは覚えていない。

でも、その記憶だけは暖かい気がした。覚えていないのに。

だから、僕は雨が嫌いだ。

悪い思い出は残して、いい思い出はかっさらっていくから。

雨が好きな彼女と雨が嫌いな僕

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