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🎧「本音」
朝。
カーテンの光が、少しだけ柔らかい。
冬星「……」
ゆっくり目を開ける。
体は、少し重いけど。
昨日よりはマシだった。
横を見る。
椅子に座ったまま、琉夏が寝ている。
(……なんで)
少しだけ考える。
昨日のことを思い出す。
薬。
水。
無理やり起こされたこと。
そして。
ここにいる理由。
小さく息を吐く。
起こさないように、ゆっくり動く。
その瞬間。
琉夏「……起きた?」
目を開ける。
冬星「……起きた」
琉夏「そ」
短い会話。
でも。
どこか、いつもより近い。
琉夏「熱は」
冬星「下がった」
軽く頷く。
少しだけ沈黙。
冬星「……なんでいたの」
ぽつりと聞く。
琉夏「は?」
冬星「ここ」
視線で、椅子を指す。
少しだけ間。
琉夏「別に」
いつもの答え。
でも。
それだけじゃ、足りない気がした。
少しだけ、迷う。
でも。
琉夏「……静かだったから」
ぽつりと落とす。
冬星が、少しだけ目を細める。
琉夏「なんか」
言葉を探す。
琉夏「いんのに、いないみたいで」
そこで止まる。
それ以上は、言わない。
でも。
十分だった。
沈黙。
少しだけ長い。
冬星が、ゆっくり口を開く。
冬星「……それ」
冬星「俺も思った」
短い言葉。
でも。
ちゃんと、届く。
冬星「お前いないとき」
ぽつりと続ける。
冬星「音、足りない」
息が、少しだけ止まる。
それは。
あまりにも、そのままだった。
琉夏「……はは」
小さく笑う。
琉夏「なにそれ」
でも。
嫌じゃない。
むしろ。
少しだけ、安心する。
琉夏「じゃあさ」
少しだけ、顔を上げる。
琉夏「いないと困るじゃん」
軽く言う。
冬星は、少しだけ考えてから。
冬星「……困るほどじゃない」
いつもの調子。
でも。
冬星「でも」
少しだけ間。
冬星「いた方がいい」
静かな声。
昨日と、同じ。
でも。
少しだけ、近い。
琉夏「……それな」
頷く。
それ以上は言わない。
言わなくても、分かる。
名前はない。
でも。
ちゃんと、特別。
窓の外。
朝の光が、少しだけ強くなる。
日常が、また始まる。
でも。
昨日より、少しだけ。
近い。