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5月1日____
俺は紫燈(しどう)いるまという奴に誘拐された。いきなり「俺のものになれ」とか頭のネジが折れてんのか無いのか…
こさめやみこと、母さん、すちは元気にしてるかな
俺の事探してくれるのかな____
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📢「_____ろ…」
🍍「ッ…………」
📢「おい、起きろ。朝だぞ 」
眠い目を擦りながら上半身を起き上げる。まだ眠いし前がぼやけてて頭がボーッとする。唯一分かるのは目の前に俺を誘拐した犯罪者がいる事だ。
📢「朝飯持ってきてやるから待ってろ」
(((パタンッ
🍍「……え?」
何故そこまでもてなしてくれんのか分からない。一緒に食えばいいのに。
そんな事を考えてると俺の左足首にひんやりとした何かが触れたような気がした。俺は身を震わせながら足元を見ると部屋の端っこに繋がれた鎖のついた銀色の足枷が着いていた。
🍍「ッ…なッ……」
昨日の事が数時間前とは信じたくない。本当に俺はアイツに捕まったしアイツは俺の事を逃がしたくないのか。
『___ニュース速報です。』
🍍「ッ……」
『昨日の午後19時頃、◯◯市に在住する丹羽那津君17歳が行方不明になりました。』
窓際に置いてあるラジオから俺の名前が出た。〝行方不明〟という言葉を添えて。淡々と事件の詳細を話す女のアナウンサーの声も不気味に感じてくる。 昨日口に入れられた拳銃を思い出し、今も喉に違和感が残っている。
そんな事を考えてると俺は身震いをした。眠かった目元が少し冴えるほど。
🍍「ッ…トイレ行きてぇ…」
だが足首には足枷があり鍵が無いと絶対に取れない。でもトイレにも行きたいし家にも帰りたい。
🍍「ッ…うぅ”ッ……//」
ここで漏らしたらアイツは怒り狂うだろうしこれで肛門がぶっ壊れたなんてあったらアイツのせいだ。 そうだ、ここに俺を置いてどっか行ってるのも俺の足首を拘束するのもアイツのせいだ。
🍍「ッ…行きたいッ…」
俺は頑張って足枷を引っ張たり、何とか足を通して抜けれるか試してみた。だが抜けない。むしろ引っ張たりしたせいで足首が赤くなってきてる。力を踏ん張ったせいか時々尿が出てきそうで頑張って耐える。そろそろ我慢の限界だった。
📢「なつ、朝飯だ。食え___」
タイミングが良いのか悪いのかアイツは帰ってきた。
🍍「ッふぅ”ッ…うぅ”ッ……」(ポロポロ
📢「なッ…!?」
アイツは細い目を開き驚いた表情をしていた。足枷を外そうとしてる泣いた道具を見ればそりゃそうだろう。
🍍「ットイレっ…!早くッ…!」
📢「あ……」
📢「そうか…用を足す為にも何か工夫しなきゃだよな…」
そんな事をぶつぶつ言いながらそいつは薄いタオルで包ました保冷剤を俺の足首に当ててくれてる。俺は何とかトイレまで間に合い用を足した後ソイツの用意してくれた朝飯を黙々と口付けてる。焼いたパンにケチャップがかかったスクランブルエッグ、レタスときゅうりのサラダ、ミネストローネ、皮付きの切ったりんごと朝にしては豪華すぎるご飯を胃の中に詰め込んでいた。
📢「…俺今日仕事だから」
🍍「んえッ?」
📢「家でいい子にしてろよ、昼は俺の手下が持って来るし食器は水盤に入れとけ」
すると足首に拘束していた足枷を取ってくれた。さっきまで赤かった足首も少し引いてきていて痛みが少しずつ引いてきてる
📢「あと…無理かもしれないが逃げんじゃねぇよ?」
そう言うと挨拶も何も無く部屋から出て行ってしまった。人質(?)の拘束を外してノコノコと仕事に行くなんてあまりにも無防備すぎる。
🍍「…誰がお前の言い分に従うかッ…」
食器の片付けをしつつこっから脱出しようとソイツの出て行った所をついて行くように俺もこの部屋から出て行った。
部屋から出て廊下を渡るとリビングに着いた。部屋にあった物とは違うシックなソファとローテーブル、壁にかけてあるでっかいテレビ、モンステラの観葉植物と白いダイニングテーブルには2人用の椅子が置いてありカウンター越しには綺麗に整頓されてあるキッチンとシンプルな部屋だった。
🍍「ッ…玄関はどこっ…?」
キッチンに食器を置いてから探したが出入口が見つからない。玄関らしき場所がない。じゃあアイツはどうやってここから出て行った?
🍍(…いや、部屋の扉全て開けりゃ行けるか)
そうすればいつかは辿り着ける。アイツの事だからきっとリビングや廊下、俺の寝室にカメラを仕込んでると思ったがどこ探してもカメラらしき物も視線も感じない為きっと無いと判断した。 俺は全ての部屋の扉を開けた。
(((バチッッ!!
🍍「ッ…ぃ”ッッたッ…」
だがどの扉も開かない。それどころかどのドアノブにも電流が流れてる。流れていないのはさっきまで俺が寝ていた寝室くらいだった。全ての扉のドアノブを触れたせいか足首の次は手が真っ赤になっている。
🍍「…そういう事か……」
カメラは仕込まずに出入口だけ塞げば確認しなくても俺は出ていけない事は確定…そう考えたんだろう。
🍍「ッいや…まだ時間はある…」
飯も寝床もしっかりされてるからやらかさない限り死ぬ事は絶対無い。いやアイツが拳銃を持ってたとしても本当にマフィアなのかも怪しいし。昼に部下が出入口を使うだろうから出入りする扉を確認できれば今日はもう十分だ。
後で出る方法を考えようと俺は寝室に戻った。
今は午後17時頃___
あれから部下の動きを隠れながら見て、まず出入口の扉はわかった。ここはきっと土足の為靴の置き場とかなかったから分からなかったんだろう。
後は寝室の窓から出て行った部下の動きを見てここはセキュリティの良いマンションって事、そしてマンションの隣は数倍高いビルがありそこできっとアイツは働いてるのであろう。逃げてもきっとバレる事は確定だ。
そしてここには電話がない。俺が持ってたスマホ等はどこかにしまわれてる。
…こう見ると脱出が不可能な事が大きくなってる。どうすれば良いんだ…
(((ガチャ
📢「…いるな?俺が居ない間ちゃんといい子にしてたか?」
🍍「ッ…?!」
帰ってきたソイツを見た。
手にも顔にもスーツにも生臭く赤い液体が飛び散ってありどこか焼き焦げた臭いもしている。ソイツの目もまだ仕事モードが抜けきって無いのかギラついていた。まるで殺人鬼になったかのような___
📢「ごめんな、シャワーだけ浴びて来る」
そう言うとまた部屋から出て行った。
🍍「ッ…」
俺はコイツは本当にマフィアだって事を少しだけ信じ始めていた。
📢「…..待たせたな」
頭にタオルを乗せ、タンクトップ姿でソイツは部屋に戻ってきた。まだ震えが止まらない俺を横目に淡々と喋り続ける。
📢「腹減ってるろ、飯にするか」
🍍「ッ……」(ビクビク
📢「……と言いたい所だが」
((( パシッッ!!
🍍「んなッ…!?」
ソイツはいきなり俺の手首を掴み俺の手を見た。朝にドアノブを確認した時に痺れて痛くなり氷水で冷やしても治らなかった俺の赤く腫れた右手を。
📢「…お前、何をしてた?」
🍍「ッ……」
📢「まさか___」
出ようとしてなかったよな?___
コメント
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少し手荒だけどいるまくん、なつくんを大事にはしてくれてるんだな…
:(´◦ω◦`):プルプル :( ´꒳`;) チ───(´-ω-`)───ン