テラーノベル
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激しい口づけから解かれて息をつく。はぁはぁとなかなか呼吸が整わなくて、こんなにもハードなキスなんて今までしたことがないかもと感じる。
「……誰か乗って来たらどうするの」
熱が冷めやらない頬を両手で挟んで、ちょっとだけ口を尖らせて言うと、
「乗ってこないだろ、基本的に上昇するエレベーターには」
あっさりとそう返された。
「……なんで?」とっさにはその言葉の意味がわからなかった。
「モールのエレベーターとかなら、途中階から乗るのもありだろうが、マンションじゃ途中で乗って上に行くような住人はいないだろ? 違う階に知り合いがいるような、レアケース以外ではな。それに仮に宅配業者とかの場合があるとしても、普通なら上の階に先に上がってから、降りてくるもんだ。その方が効率がいいしな」
「……あっ」そう言えばそうだと思う。じゃあやっぱりここは文字通り彼と二人だけの密室でと改めて思ったら、顔はさらに火が点いたように熱くなった。
「顔赤い……なぁ、そういうのがよけいに男をその気にさせるって、わからないのかよ?」
開いたままの唇から覗いていた舌がちゅっと吸われて、
「……や、ん……」
身体の芯まで火照ってきてしまいそうになる。
「ねぇ、部屋に着くまでするつもりなの、キス」
「したらいけないのかよ?」
「……。……いけないってわけじゃ、ないけど……」
「それなら、かまわないだろ」
何度目かの情熱的なキスに、私には彼に本気で逆らうことなんて、到底できっこないと感じる。
一緒にいるだけで、彼の強気な俺様気質に引き込まれて、いつの間にかこっちまでその気にさせられてしまう。
「……好き、颯……」
顔を寄せて自分から彼にキスをすると、それだけで濡れて感じてきちゃうみたいだった……。
──部屋に着いて、リビングの前面が大きくひらけるようにガラス張りになっている、まるで映画のスクリーンに映し出されているみたいな、圧巻の最上階からの景色を眺めた。
「……いつ見ても、すごく綺麗」
ネオンの瞬く夜景に思わず見とれる私に、
「俺は、もう見飽きたが……」
彼がボソッと口にする。
「え、見飽きたの? この景色に?」
「ああ……」と、頷いて、
「最初こそ感動もしたが、毎日でも見てれば慣れるだろ」
彼がさも当たり前だというように話す。
「そうなの……?」
なんかそれってもったいない気もするんだけどと思っていたら、
「……こっち来てみろよ。ベランダに出られるから」
肩が抱かれて、開けられるようになっている窓の方へ、彼に連れて行かれた。
窓の外には胸辺りまでの高い鉄柵があって、眼下にはタワーマンションからの絶景のパノラマが広がっていた。
「やっぱり、すごい……」
最上階に吹きつける強風に、乱れる髪の毛を押さえて呟く。
「……そうだろ?」
ふと、風に煽られる私の髪が、彼の手でスッと撫で下ろされて、
「そうだろって、颯は、もう見飽きたんじゃなかったの?」
背後の顔を振り返った。
「うん?」と、彼が、私の髪に鼻先を埋める。
「見飽きてるが、おまえとこうやって眺めるのには、飽きてない」
そのまま後ろから腕がまわされて、首筋がぎゅっと抱き寄せられた。
「またそんなこと言って……」
「いいだろ? おまえとこの景色を見るのは悪くないんだって」
「もう、調子いいんだから」
肩越しにニッと笑うその顔を、ちょっとだけ睨むと、
「本心だろうが」と、彼が即答した。
「本心だから困るんだってば……」と、小さく口に出す。
「なんで本心だといけないんだよ」
「もう、そんなの……」と、首元にある彼の手に自分の手を重ね合わせて、
「…………もっと好きになっちゃうからに決まってるでしょ」
肩にまわされているがっちりとたくましい腕に頭をもたせかけると、そっと頬を擦り寄せた。
아 오 _ 🐷🐶
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コメント
1件
おお、第55話お疲れさま!もうエレベーターの中でのキスシーンからしてドキドキが止まらなかったわ…「誰か乗って来たらどうするの」って聞くヒロインに、住人の動線を論理的に説明する颯くんの冷静さと、その後のギャップがたまらん!笑 「見飽きてるが、おまえとこうやって眺めるのには、飽きてない」って…あーもう、そんなこと言われたら好きになっちゃうに決まってるでしょ!最後の「もっと好きになっちゃうから」って重ねる手と頬擦り、めっちゃ尊いわ…。蒼乃さん、今回も最高の俺様でした🔥