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「4時間きっちり寝やがって」
シュバルツァーはイライラしているかのように呟く
「眠いんだから許せよ」
アウリスはふてくされた様に答えた
「まあ行こうぜ」
雪原を進むLAVのエンジン音は、極夜の静寂の中で異様なほど大きく響いていた
《2021年2月13日17時00分》
化学防護装備をしたヘルハウンド隊員2名が構造物の内部へ侵入を開始
「おいハッシュ、この中…トンネルか?」
アウリスはLAVのライトの先を見て呟いた
光の先には、人工的に切り出されたような壁面が続いていた
「多分そうだろう」
シュバルツァーはLAVのハッチから身を乗り出し通路の奥を見渡す
「問題は誰がこれを作り、これを掘ったかだな」
「幅も高さも問題無い」
アウリスは計器を確認する
「別に車両でいけるぞ」
「はいるか?車両で」
シュバルツァーはアウリスに問う
アウリスは少しの間、考え込む
「車両の方が安全だろう。徒歩よりはLAVの方がマシだ」
アウリスは窓の先を見つめたまま呟く
「未知のところで、死ぬ可能性があるなら生身よりマシだ…本部に報告したら入ろう」
「了解」
シュバルツァーは車載無線機に手を伸ばす
「ヘルハウンド01、これより構造物内部への調査を開始する。オーバー」
『こちら司令部、作戦を開始せよ。』
無線機の小さなノイズが静かな車内に響く
ノイズがブツと切れる
車内に残るのはエンジン音と振動だけだった。
「よし、行くぞ」
シュバルツァーはハンドルを握る
エンジンが低く唸る中、ゆっくりとLAVは前進を始める
雪原の景色が遠く感じられる。
前方を照らすライトが人工的な、コンクリートのような壁面を浮かび上がらせる。
「路面は悪くないな、走りやすい」
「そうだろうな、ハンドル握ってるからわかるが走りやすいぞ?変わるか?」
シュバルツァーは苦笑しながら問う
「別にいい、運転は苦手なんだ」
エンジン音が低く響く
「工兵なのに運転は苦手なんだな」
シュバルツァーが笑う
「直すのと動かすのは訳が違うんだよ」
アウリスがうなだれた様な声で呟く
「アウリス、前方、推定200メートル先に光」
シュバルツァーがアウリスに言う
「やっとこさ出口か」
アウリスが窓の先、光を見つめる
「太陽か?」
そう呟く
「まあ何でもいいだろ、行けばわかる」
シュバルツァーがそう呟く
「計器に異常は無し」
「なんだか怖いな」
シュバルツァーは苦笑しながらLAVの速度を緩める。
50メートル
30メートル
10メートル
車体がトンネルの外へ出た。
二人は顔を見合わせる
「なぁアウリス…これって」
シュバルツァーがなにかを言おうとするが、
「ハッシュ、人がいるぞ」
アウリスが指差す先には、なにか慌ただしく動く人々が目に入る。
シュバルツァーが無線機に手を伸ばす。
「こちらヘルハウンド01、司令部応答願う」
返答は帰ってこなかった
「……」
車内に響くのは、無線機から漏れる微かなノイズだけだった
「トンネルの影響か?」
アウリスは計器を確認しながら眉をひそめる
「いや……」
シュバルツァーは少し黙った
「……あ」
「なんだ、その間は」
アウリスは嫌な予感を覚えた顔をする
「いや、その……」
シュバルツァーは後頭部を掻く
「通信ノード、置いてくるの忘れた」
数秒の沈黙
「何やってんだよ」
アウリスが呆れた声を漏らす
「いや、ほら……準備急いでただろ?」
「急いでたのは分かる」
アウリスは深いため息をつく
「でも未知の構造物に突入する作戦で、一番最初に確認するやつだろ」
「返す言葉もない」
シュバルツァーは苦笑する。
だがその視線は慌ただしく動く人々を見つめていた
コンコン
誰かが窓を叩く
「ここに車を置くな!邪魔だ!」
「どこに動かせばいい?」
シュバルツァーが問う
「ついてこい!」
男はそう言うと、LAVの前方へ回り込んで手を振った。
シュバルツァーは一瞬アウリスを見る。
「……どうする?」
「従うしかないだろ」
アウリスは周囲を観察しながら答える。
「少なくとも今のところ、攻撃する意思はない」
「それもそうだな」
シュバルツァーは小さく笑い、ゆっくりとアクセルを踏む。
LAVのエンジン音が再び低く響く。
車体が動き出すと、周囲にいた人々が一斉にそそくさと距離を取った。
「見られてるな」
「そうだな」
シュバルツァーがそう言うが、たしかに物珍しそうな目でこちらを…いや…車両を見ている
「ここだ!ここに停めろ!」
男が叫ぶ
「さて、綺麗に停めれるかな」
シュバルツァーはそう言うが、白線の間に収まるように、綺麗にLAVを停めた
「相変わらず上手いな」
アウリスが褒める
「そりゃどうも」
「…お前ら降りろ!ここじゃあ誰もが働かないといけない!」
男がLAVに向かって叫ぶ
「言葉は意外といけそうだな?」
シュバルツァーが呟く
「問題は意思疎通だな」
アウリスが返す
「どうした!早く降りろ!仕事は山ほどあるんだ!」
男は眉を顰め、イライラを募らせているようだ
「早いこと降りようか」
アウリスが呟く
シュバルツァーが先んじてLAVのドアを開ける
すると、外の熱気が勢いよく車内に入ってくる
「熱っ」
アウリスが助手席の端末に目を向ける
「外気温28℃…そりゃ暑いわな」
バァン!
遠くから銃声のような音が聞こえる
「お前達…軍人か?軍人なら奴らと戦ってもらわないといけない」
男がなにか呟くがシュバルツァー達の耳には届かない
「お前達、その車両持ってコッチに来い!」
シュバルツァー達はLAVに乗ったまま男の後をついて行く
「ここだ」
案内された場所は巨大な壁の前、装甲車が大量にあった…
「なんだよこれ…戦争にでも行くのか?」
アウリスが疑問を浮かべる
ジリリリリリリリリ
甲高い音が鳴り響いた
「なんだよこれ!ハッシュ!」
「わかるわけあるか!警戒しろ警戒!」
シュバルツァー達が混乱する中、兵士であろう者たちがキビキビと動き始める
「奴らが来るぞ!有刺鉄線に電気を流せ!」
「急げ!」
「なんだ?あの車は…」
「知らん!門の前に回すように言え!」
「おい!お前ら!あそこの門の前で奴らの脳天ぶち抜いてやれ!」
「はぁ?何言ってんだ?」
アウリスが呟く
「その車には重機関銃が載ってるんだろ?」
「しゃあねえ…回そうか」
シュバルツァーがそう言う
「何言ってんだ!」
アウリスが叫ぶ
「ここで従う方が死なない、彼らが言う奴らは敵なんだろうし…」
シュバルツァーは呟いた
「こっちだ!早く来い!」
ブロロロロロ
LAVのエンジン音が響く中、門の外に配置された
「榴弾だけでなんとかなるか?」
アウリスが諦めたように聞く
「なるようになるだろう。」
シュバルツァーは遠くを見つめていた
視線の先には人のような見た目をした人ならざるものが近づいてくる。
「奴らが来たぞ!発砲準備!」
シュバルツァーは20ミリ機関砲を構える
視線の先、100を超えるであろう人の影がドタドタドタドタと走ってくる
「撃てぇ!!」
ドン!ドン!ドン!
LAVの銃座から撃たれた20ミリ弾が飛翔する。
一瞬、門の上にいた兵士達は何が起きたのか理解できなかった。
次の瞬間、先頭を走っていた奴らが何体も吹き飛ぶ。
「なんなんだ?あれは重機関銃じゃないまるで機関砲だ」
門の上の兵士が呆然と呟く。
「あいつらだけで、ほとんど片付けちまったぞ……」
「弾も底を突きかけていた。予想外の援軍だな。」
城壁の上の兵士が安堵したように呟く
事実、この研究所と呼ばれる施設では、数時間にわたり防衛戦が続いており、弾薬は底を突き、最後の防衛線が崩壊寸前だった
コメント
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お疲れさま、ウーパールーパーさん!第2話読み終えたわ。 トンネル抜けた先の別世界、めっちゃ緊張感あって面白かった。特に「通信ノード忘れた」の抜け感、あのシリアスな流れの中で笑わせてもらったわ。シュバルツァーとアウリスの掛け合いのテンポが良くて、キャラの距離感が自然に伝わってくるのが好き。 20ミリ機関砲で敵を吹き飛ばすシーンは熱かったな。LAVの戦闘描写の解像度が高くて、脳内で映像が流れた。防衛戦の弾薬切れ間際に現れる展開もベタだけど熱い。続きが気になるわ!