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健太は餃子を口にした。にんにくがピリッと辛い。それから、ラーメンは一人前も食べられそうにない。マスターに取皿をもらうと、箸で麺を掬い、メンマを二、三。チャーシューを一枚。上かられんげでスープをかける。
「健太君も、自由に意見言っていいんだぞ。それが君の権利なんだから」とマスターが言う。
伯父さんは野菜炒めを、ごっそりラーメンの上に乗せている。
「いや、こいつに今必要なのは、権利よりも学習だ」
マスターは再び高笑いした。
「岡本さん、あんたそんなことばっかり言ってるから親戚から鼻つまみ者扱いされるんだよ」
伯父さんは食べ物を飲み込んだあと、言った。
「俺なんかのことはいいさ。問題は、こいつらの世代がかわいそうってこと。何も教えられずに最初から自立だ。そのくせ、親は子供に関わりすぎだ。だから、世の中見てみろ。口だけ達者でも何もできない野郎どもが増えたじゃないか。そういやあんたんとこの、しばらく見ないけど」
ラーメンの意見ばかり一人前で、麺の湯かきや、レジ一つできない弟子のことだ。
「ありゃ、どこ行っても使えねえだろな」マスターは、カウンター席の客にチャーハンを出した「キッズジェネレーションの親の子だ」
「追い出したのか?」と伯父さん。
「いや、向こうからこなくなった。掃除と皿洗いだけは上手かったんだがな。こっちは奴の意見もかなり聞いて、平等に扱ってやったんだけどね」とマスター。
壁に黒マジックで書かれたぷうぎの絵は、元弟子が書いたのだという。赤で統一された内装に不調和だ。どうひいき目に見ても、健太の目には消し忘れた落書きにしか見えない。