iris stpl 黒紫 様
誤字脱字注意
日本語おかしい
同じ会社に所属しているとはいえ、俺たちは別グループだ。
それぞれのグループで「最年長」「お兄さん役」を任されて、後輩たちの前では弱いところなんて見せられない。
……でも。
「相変わらず無理してんな」
そう言って、俺の頭に大きな手を置く人の前では、どうしても全部が崩れてしまう。
彼――俺より三つ年上の、アニキ。
同じ歌い手で、別グループの最年長。
かっこよくて、色気があって、なのに笑うとやたら優しい。
えっちが好きで、俺をからかうのも、甘やかすのも上手すぎる人。
「……無理してない」
「その割には声、震えてる」
楽屋を兼ねた仮眠室。
仕事終わり、誰もいないこの空間で、彼は俺を抱き寄せた。
「今日のライブ、完璧だったな」
「……っ、そういうの……」
褒められるの、苦手なのに。
胸の奥がじわっと熱くなって、目が潤んでくるのが自分でも分かる。
「ほら、また泣く」
「泣いてない……」
指で目元をなぞられて、軽く笑われる。
そのまま、ゆっくり唇に触れられた。
キスはいつも、焦らない。
何度も軽く触れて、離れて、また重ねて。
「初心なの、相変わらずだな」
「だって……好きな人の前で慣れるわけないだろ……」
そう言うと、彼は一瞬だけ黙って、少し困った顔をしたあと――
優しく、深くキスをしてきた。
舌が触れて、絡め取られて。
息が苦しくなるほどじゃないのに、頭がぼうっとする。
「……可愛い」
「……言うな……」
抱きしめられたまま、ベッドに座らされる。
彼の手は急がない。
首、肩、背中と、服の上から丁寧になぞっていく。
「前戯、大事だろ?」
「……知ってるの、全部……」
耳元で囁かれて、身体がびくっと跳ねる。
恥ずかしいのに、嫌じゃない。
むしろ、ちゃんと大事にされてるって分かるから、安心してしまう。
服を脱がされるたびに「いい?」って聞いてくるのも、ずるい。
頷くしかなくて、そのたびに彼は満足そうに笑う。
触れられるところ全部が、ゆっくりで、優しくて。
えっちが好きな人なのに、俺に対してだけは、本当に丁寧だ。
「……大丈夫、俺がいるぞ」
「……うん……」
途中で涙が出てしまっても、彼は止まらない。
ただ、額にキスをして、背中を撫でてくれる。
全部が終わったあとも、すぐに離れたりしない。
タオルで身体を拭いて、抱きしめたまま布団に入る。
「疲れてたんだろ」
「……ばれてる……」
「当たり前」
胸に顔を埋めると、心臓の音が聞こえる。
同じ最年長で、同じ立場で、それでも――
俺はこの人の前でだけ、弱くなれる。
「なあ」
「なに?」
「明日も、仕事頑張れるか?」
「……たぶん」
「じゃあ今日は、甘やかす日な」
頭を撫でられて、また少し泣いてしまった。
それでも彼は笑って、「泣き虫」なんて言いながら、離さない。
最年長同士の、誰にも見せない夜。
俺は今日も、この人の腕の中で眠る。






