13 ◇満島まほりの件を知られた翌日からのことを振り返る夫の正義
由香に彼女のことを知られた頃から正義は家で朝食をとらなくなっている。
以前から、時々食べずに出ることはあったのだが……。
平日、毎朝朝食をとらずに出社した翌週の週明けに久しぶりに朝食を
とろうとすると、当たり前だが食卓には何も出ていない。
満島まほりの件を知られた翌日から、妻の由香はふたりの寝室から出て行って
しまった。
そのような理由で現状和室で寝ている妻の様子を伺うも、起きてくる
気配はない。
そう言えば、あの日以前には朝食を家で食べることもあり
『え~っと、その頃はどんなだったかな?』
と振り返るも……正義ははっ、とした。
妻は前の晩どんなに遅く寝ても、一度は起きて来て自分に
『朝食はどうするの?』と聞いてくれていたではないか!
食べないで出ていくときに
『今朝は食べないから寝てていいよ』
と言うともう一度寝直していた妻。
そうだ、ここのところずっと食べずに出社していたせいか、妻は
起きてくる気配が一向にない。
そして――――
毎朝、自分は『いってらっしゃい』の声掛けを妻から受けていたことに
思いが至った。
毎朝のモーニングをまほりと一緒に摂れることで頭がいっぱいのお花畑だった正義は、
呆れることに、今頃になってその現実に気づく有様。
なんだかんだと、朝食に囚われているうちに──
食べるための時間もなくなっていることに気付き、正義は慌てて靴を履き、家を後にする。
まほりと今朝は約束していないのでコンビニで🍙とお茶でも買うか、と
下車した会社の最寄り駅近くでその日は朝食を調達したのだった。
前の晩に一言『明日の朝食頼むね』と言えれば良かったのだが……妻の由香の
纏う自分に対する拒絶オーラを感じてしまい、正義はその一言が言えなかった
のだ。
そして、朝食を満島と仲良くとっていることも知ってしまった由香が、
その後夫が家で朝食をとりたい日があっても一切そういう正義に忖度することは
なかった。






