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ut「でっっけぇ…」
思わず声が漏れる.
案内されたのはここら辺では一等地の住宅街にある豪邸だった.
取締役ってそんなに儲かるの?
変なことを考えながら通された部屋を見渡す。
kn「そのぉ…あれや!趣味の部屋をデカく作りたかったやけど…」
スーツのジャケットを脱ぎ、ハンガーに掛け、ネクタイを緩めて戸惑いながら言った.
あの外観で、広いとはいえこのリビング、寝室と浴室が書斎にあるとはいえ…どんだけ趣味の部屋どんだけデカいんだよ.と思ったが口には出さずに、その様子を眺める.
kn「なにか適当に作るから座っといてや」
腕まくりをしながら、キッチンに立つ姿がなんだか様になっていて、ちょっとドキッとする.
ut「いやぁ…コネシマさーんちゃうやん.泊まるだけって言ったじゃないっすか」
昼飯抜いていたて腹は空いていたが、一泊2日で夕食付きなんて、半家出の気分のいい小旅になってしまう.
kn「俺の大好きな高いワイン開けようと思ったんやけどなぁ…」
ut「やっぱ、ご飯食べさせてもらいます.」
ワインは一人で飲むよりも、二人で飲んだほうが楽しいですよね…アハハハッ
俺は大人しくご相伴に預かることにした.
小さい頃から一人で料理を作っているらしく、キッチンの中をテキパキと動き、あっという間に湯気の立つ料理が出来上がっていく.
顔も良くて、面倒見良くて、金とデカい家持っててしかも料理ができる…
一人暮らしで自立してるとか絶対スパダリ確定.結婚した女性は幸せ者だな.いるか分からんけど疑問に思って声を掛けた.
ut「シッマって女いないん?見ず知らずの得体の知れないやつ連れ込んで大丈夫そ?」
キッチンの後片付けをしながらシッマは顔を上げる.
kn「前、いたけど振られたわw何か俺がキモいらしいわ」
嘘だろ…こんな好物件を気持ち悪い程度で振るって、どんだけ彼女世間知らずなんや…
世の中もっとシッマよりキモい奴らたくさんおるのに
kn「なんかなぁ…趣味が終わってるって言われてもうて」
うーん、趣味で振られるとかどんだけヤバい趣味なんだ.例えば、爬虫類とか買ってるタイプなんかなぁ…
シッマの趣味に付いて考えていると目の前にコトコトと美味しそうな料理が並べていく.
醤油味のうどんより平たい麺が入ったきしめんと唐揚げのようなものに骨が入ってるお酒が進むおつまみの手羽先.
うひょー、名古屋名物だよ…関西やから食べたことなかったんよな.
kn「俺の兄さんが名古屋に住んではったから送ってきてくれたんや、うまそうやろ?」
ut「めっちゃ、うまそう」
きしめんのいい香りが鼻の下を通るとお腹が鳴る.ちょっと恥ずかしい.聞かれていないだろうか.
kn「ワイン飲む?」
聞きながら、ワインとグラスを取り出して歩いてくる.
ut「ワインは、好きですけど…」
このままだと、シッマのペースに飲まれてしまう.一泊2日で夕食付き(飲み放題)みたいになっちまう.
寝床まで提供してもらって、夕食もご馳走してもらって、その上に高そうなワインまで飲ませてもらおうなんて、流石に俺でもそこまで図々しくはなれない.
机の上に置かれたグラスは冷やしていたのか白く曇っている.
どう言ったものなのかと、悩んでいると栓抜きをもってポンッと音が聞こえた.
グラスに注がれたワインは、白ブドウで綺麗な透明で、爽やかな香りをしていた.
kn「飲まんの?キンキンに冷えてるよ」
ut「飲みたいっすけど…ねぇ‥」
kn「そうか…久しぶりに誰かと話しながら飲めると思ったんだが…」
ッチ、絶対コイツわざとやろ
真に迫った演技で上目遣いでこちらを見つめている、あざとさにイラッとしながらも諦めて目の前にあるグラスを掲げた.
ut「しゃーないな、飲んだるわ」
途端にニコっと笑ったコネシマは自分の手元にあったグラスにワインを注ぐ.
kn「君も酒が飲めて、俺は話し相手ができるwinーwinやな!」
グラスの中に入ったワインを右手で右側にユラユラと揺らす.
ut「はいはい、さっさと飲みましょ.乾杯」
kn「せやな!乾杯」
冷えたグラスの縁が軽くぶつかって、ワインが揺らっと二人とも揺れた.
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