テラーノベル
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ドンッ____ドンッ____________
辺りが少し明るくなるくらい、大きな花火が夏の夜空に広がる。
人が多すぎて、結局少し距離があるが誰もいないところまで来てしまった。
石のベンチに座って花火を眺める。
「きれー…」
悠は何も言わないが、じっと花火を見てるみたいだった。
悠が来なかったらきっと花火も見ずに帰ってただろうな。ほんと、優しいとこある…。
この状況がちょっとくすぐったい。小さな頃は大喧嘩ばっかりだったけど、静かに肩を並べて花火を見るなんて。俺たち成長したんだな。
こっそり悠の横顔を盗み見る。花火に照らされて影が動く横顔。切れ長な瞳は花火が映ってキラキラしている。綺麗だなぁ…。
視線に気づいたのか、悠とバチっと目が合う。
「……ふっ、花火見るんじゃねーの」
「うん……見てる」
「見てないじゃん笑」
おかしそうに笑う悠。どうしよう…好きだ。
溢れそうになる気持ちを必死に押し込む。
「今日…ありがとう」
「いいえ、俺も来たかったし」
「ほんと…?」
「うん…まあお前の浴衣見れなかったのは残念だけど」
「えっ」
期待されてたのか?!
「悠も着て来なかっただろ…」
「俺はいいだろべつに。…えっ、なに、見たかった?笑」
俺は素直に黙って頷く。
「ふは、まじか〜〜、素直…」
「……うるさい…」
「じゃあ来年リベンジしねーとな」
その言葉に胸がきゅうっと苦しくなる。
来年もここに来る俺達は、セフレなのかな?
嫌だと言ったら、この関係は終わるんだろうか。
寂しいような、切ない気持ちになって悠の服を掴む。
俺の様子に気づいたのか、暖かい手で優しく頬を撫でられる。こんなに好きなのに伝えたら全部が終わってしまいそう。苦しい。
そっと触れるだけのキスをされる。
優しくて、気持ちよくて幸せで。
ずっとこの時間が続けばいいのに。
そんな気持ちで俺はキスに応えた。
……
………
花火が終わったあと、人の波が捌けるまでしばらく祭り会場の外を2人で歩いた。
「そろそろ帰るか〜」
ぐーっと伸びをしながら悠が呟く。
どうしよう、帰りたく無い。もっと一緒にいたい。前を歩く悠の服を、無意識に掴む。
「ん?どした?」
不思議そう に振り返る悠。
「…っ」
「ん?なぁに瑞樹ちゃん」
「……俺の家…来る」
「………まじ?」
驚いたような悠の声にどくん、と心臓が波打つ。
「お前から誘うの珍しくね」
「…っ、」
「なに、寂しくなった?」
俺は否定せず黙って頷く。
「っ、は〜まじか……」
「い、嫌なら断れよ」
「ふは…エロガキ、嫌なわけないじゃん」
コツン、とおでこにデコピンされる。
いつもみたいに上手く言い返せない。
ほら、行こ?と歩き出す悠をまっすぐ見れないまま、再び俺は歩き出した。
まる。
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