朝の支度を終えたらいとは、玄関で靴を履きながら後ろを振り返った。
人間姿のロゼが、壁にもたれて腕を組みながらじーっとこちらを見ている。
💫💛「……なんやその顔。なんか言いたげやね?」
ロゼはちょっと口を尖らせて、
でも目はきらきらしてる。
💫❤️「今日、俺も……らいとの学校行きたい。」
💫💛「…は?なんで?」
らいとは一瞬止まって、靴ひもを結ぶ手がゆるむ。
💫❤️「だって昨日、らいと友達多かったし。 なんか……楽しそうだったから!」
💫💛「……いやいや! 無理やって!それに ついてきてどーすんの!?」
ロゼは小さく眉を寄せて、
らいとのシャツの袖をつまむ。
💫❤️「いいじゃん。ちょっと見るだけ!」
💫💛「見るだけって……その姿で学校行けんっちゃろ!!」
そう言ってる間に、ロゼはなんか決意した顔になっていく。
💫💛(やば…これ絶対変なこと考えとる…)
💫❤️「らいと」
💫💛「……なん?」
ロゼは、ふっと笑って──
次の瞬間、
ふわっと光が揺れて、
ポフッ
赤と黒の毛並みの、小さな猫になった。
その場に座り、ぽてっと尻尾を立てて見上げてくる。
💫❤️🐱「にゃ。(これなら平気でしょ)」
💫💛「いや平気なわけないやろ!!!
学校に猫連れてくとか意味わからんて!!」
ロゼ猫は、らいとの言葉なんて聞いてないみたいに
トコトコと玄関マットに乗って、
らいとの足元でくるんと回る。
💫❤️🐱「にゃー!(行こ行こ!)」
💫💛「いや行こ行こじゃない!!」
らいとは頭を抱える。
が──次の瞬間、
ロゼ猫が小さく跳んで、
らいとの鞄に前足を突っ込んできた。
💫💛「おいおいおい!?何しよる!?」
ずぼっ
完全に鞄の中に入り込んだ。
中から
もぞ……もぞ……
と落ち着きなく動く。
そして、満足げな
💫❤️🐱「……にゃ。(完璧)」
が聞こえた。
💫💛「完璧じゃない!!!」
らいとは鞄を抱え、重さにため息をつきながら立ち上がる。
💫💛「はぁ……ほんっっっと頼むけん。
絶対鳴くなよ?絶対やけんね?」
中から、
💫❤️🐱「にゃっ(任せて!)」
自信満々な返事。
💫💛(いやこの感じ、絶対任せられん……!!)
でも、鞄のチャックを閉めるしかなくて、
らいとは重い足取りで玄関を出た。
道を歩くたび、鞄の中で、もぞもぞ……と体勢変える気配。
💫💛「おいロゼ……動かんでって言ったやん……」
💫❤️🐱「にゃ(無理)」
💫💛(無理って言うな!!)
らいとは心の中でツッコみながら、
なんとか校門が見えるところまで来た。
その頃にはロゼの動きも止まり、
鞄は静か。
💫💛「……よし、このまま……大人しく……」
💫❤️🐱「……にゃふ……(ちょっと暑い……)」
💫💛「いや暑いとか知らんし!!
黙っとけて!!頼むけん!!」
らいとは鞄を抱えたまま、
周りに誰もいないのを確認して
校門わきの陰に回り込んだ。
ファスナーを少しだけ開けると、
ロゼ猫がとろんとした目でこちらを見る。
💫💛(……まぁ、かわいいっちゃ可愛いけども!!)
💫💛「いいな?ここから先、絶対静かにしとって。」
ロゼは、小さく縦にこくんと頷いた。
💫❤️🐱「にゃ。」 (わかった、の意)
らいとは深呼吸して、
鞄をぎゅっと抱えたまま校舎へ向かう。
ゆっくり、できるだけ自然に。
まだ騒動は起こってない。
でも、
“起こりそう感”だけがじわじわしてる。
らいとは鞄を抱えたまま、できるだけ自然な顔で自分の教室の前に立つ。
💫💛(よし……誰も気づいとらん……
このまま席ついて……静かに……)
そう思った瞬間。
💫🤍「おはよーらいとー」
メルトが曲がり角から現れ、
全力で肩に手をバンッ!と置いてきた。
💫💛「うおっ!?ちょっ、声でかっ……!」
💫🤍「なんか今日テンション暗くない?寝不足?」
その衝撃で、鞄がぐらぐら揺れる。
中から、
💫❤️🐱「……にゃっ……!」
💫💛(やべっ…!!今の聞こえたか…!?)
らいとは一気に心臓が跳ね上がった。
メルトの眉がぴくっと動く。
💫🤍「……今、なんか鳴かなかった?」
💫💛「鳴いてない!!気のせい!!空耳!!」
らいとは食い気味に否定した。
メルトはじーっとらいとを見た後、
「ふーん……」と怪しむように視線を鞄へ。
危ない。
めちゃくちゃ危ない。
そこにさらに、
💫💙「おーい、らいと〜。顔死んどるけど大丈夫か?」
のんきにらぴすが近づいてくる。
揺れる → 鳴きそう → 心臓バクバク
らいとは慌てて鞄を抱きしめ、
背中側に隠した。
💫💛「大丈夫大丈夫!なんにもないけん!ほんとに!!」
💫💙「なんにもないって言われると逆に気になるんやけど……」
みかさも合流し、3人で鞄を見る。
完全に囲まれた。
💫💛(終わった……
今日、絶対スムーズにいかんやつ……!!!)
なんとかごまかしながら席に着く。
ロゼ猫は鞄の中で丸くなってるようで、
ようやく動きが止まっていた。
💫💛(……よし、静かになった。
このまま授業始まれば……なんとか……)
チャイムが鳴り、みんなが席につく。
先生が教室の前へ。
「はーい、席つけよー。今日の連絡は……」
ざわ……ざわ……
らいとは緊張しすぎて、
全然先生の声が頭に入ってこない。
💫💛(頼む……ロゼ……静かにしとって……
今だけは……!)
先生が黒板に向かってプリントを貼る。
教室が一瞬静かになる。
その静けさが──
逆に、最悪のタイミングを作った。
鞄の中で、小さな気配が動いた。
もぞ…
💫💛(やばいやばいやばいやばい)
らいとはそっと鞄を押さえる。
が、
次の瞬間。
💫❤️🐱「……にゃっ…………!」
小さく。
ほんの小さく。
けど教室が静かすぎて、
めちゃめちゃ響いた。
教室:『……………ん?』
空気が固まる。
らいとは反射的に咳払いした。
💫💛「げほっ……げほっ……!!
今の俺やし!!俺の咳!!」
しかし──
メルトが冷静に手を挙げて言った。
💫🤍「先生、今の……猫、じゃない?」
💫💛「メルトおおおおおお!!黙れって言ったやん!!」
💫💗「いや、どう聞いても猫……」
💫💙「てか、らいとの鞄から聞こえたよな」
心音なんて、めっちゃ真顔で
💫💜「……ねこちゃん……?」
と呟いている。
先生が眉をひそめ、
「らいと。鞄、ちょっと見せてもらえるか?」
💫💛(死んだ~~~~!!!!)
らいとは震える手で、
ゆっくり、ゆっっっっくりファスナーを開けた。
中から──
青い目が、ぱちっ。
赤と黒の毛がふわっ。
ロゼ猫が、堂々と顔を出した。
💫❤️🐱「にゃぁ」(こんにちは)
教室全員『かわいいいいいいいいいいい!!!!!!!!』
先生「いや可愛いけど違うから!!!!!」
ということで
完全にバレました。
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