テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
風の切る音の正体がわからない
だが明らかに弟の歩くスピードが遅くなったのがわかった
「…大丈夫?」
「大丈夫だ すぐにこんなところを出よう」
そう言って弟は私をトラックの荷台に降ろし幕を下げてくれた
「…大丈夫かな」
そう心配しているとトラックの運転席側のドアが開いた音がした
やっとこの不気味なところから出られる…と思っていた
ドサッ
ドアが閉まる音のハズだがそんな音ではなかった
何か大きいものが倒れたような
「…どうしたんだろう」
見に行こうと思ったが体が動かなかった
心臓がドクドクと大きく跳ねる
しばらくの間体が動かずそのまま固まっていると足音が聞こえてきた
少しずつこの足音がトラックの荷台の方へ近づいてくる
足音が私の目の前でピタリと止む
いつ出る…いつ逃げる…
トラックの荷台の幕がめくれる
そこには弟がいた
「ど、どうしたの?」
「に、げて…」
そう言って私の方に倒れこんできた
慌てて抱きとめると手に生暖かい感触があった
「え…」
手には真っ赤な血がついていた
頭が混乱し必死に弟を呼んだが反応することはない
弟を連れて逃げよう
そう思い前を向くとレストランの男が後ろで手を組んだ状態で私を見ていた
「お迎えに参りましたよ」
レストランの男が一歩一歩と近づいてくる
私は逃げようと走り出そうとしたら後頭部に強い衝撃が当たった
気が付くと暗く一本のろうそくが頼りな部屋に閉じ込められていた
隣には弟が血だらけで両腕を壁に拘束されていたのだ
どれだけ弟に声をかけても反応はない
ドアの向こうから足音が聞こえる
足音の主はレストランの男だった
「さぁ飯だ 食え」
今までと違う口調のレストランの男に戸惑いつつも差し出された料理を受け入れてしまう
どんどん食べた
そのたびにろうそくの火が弱まっていく
そして食べていくにつれてどんどん眠くなる
気が付くと暗くろうそくの光だけの部屋にいた
どこか見覚えのある部屋だった
レストランの男が入ってくる
手には大きなナイフを持っていた
そしてゆっくりと弟に近づき最初は足の肉を裂いた
その後また部屋を出て見覚えのある料理を運んでくる
そして目が覚める
こんな夢を何度も繰り替えし見た
もう嫌だ
もう嫌だ
もう嫌だ
やだ!やめて!
そう心の中で叫んでいるとついに本当に目を覚ました
「お目覚めですね では始めましょう」
ここはさっきとは違う大広間のような明るい部屋だった
沢山の人がいるがみんな仮面をつけている
「さぁ始めます 皆様ご注目」
いろん人が私を見てくる
まだ周りを見ようと思い体を動かそうとすると全く動かない
手と足が柱に固定されていて身動きが取れない
レストランの男であろう仮面をつけた男が大きな包丁を振り上げ私の足を切り落とす
私は痛みで顔がゆがみ今まで出たことのない悲鳴が出る
が、仮面をつけている人たちはまるで娯楽のテレビを見ているかのようだった
気づくと四肢がなかった
私の四肢は仮面をつけた人たちの食事となった
「今回の食材はいかがでしょうか
様々な悲しみや憎しみを込めた最高級の『デザート』食材でございます!」
一斉に拍手が上がる
その時だ
1人の男が苦しみ始めた
「まずい!!」
誰もがその男の方を見た
大勢の人たちが男の方を向くとどんどん「まずい」と苦しみ始める人たちが続出した
「なんなんだこの食材は!」
次々と仮面をつけた人たちは私に食器類を投げつけてくる
皿を投げてきたり、フォークやナイフを投げる人もいた
私は四肢がないので何も抵抗できずにすべてを受け止める
そのうち満足したのか仮面をつけた人たちは外へと出ていく
私はこの人生で弟を探すためだけに人生を注いだ
弟に会えた
それだけで私は今までの苦しみを許すことができる
「チッ…」
「せっかくの私の評価が…」