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《1400より公開状況演習を開始します》
《敵勢力の詳細は不明》
《コマンドポストとの通信は途絶。広域ジャミングにより味方との通信チャンネルは短距離通信のみ可能》
《フィールドケース:市街地》
《緊急即応対応事態045を想定》
《作戦目標は敵ターゲットの殲滅、もしくは広域ジャミング発生装置の破壊》
《作戦メンバー》
・クラスファーストリコリス:ルイ
・クラスセカンドリコリス:アレクシア・フレーバー、グエル・ザエル
・公安局所属:字界
《以上の4名は直ちに第四演習控室に集合し、装備を選択の後、演習区画の指定ポイントへ移動してください》
《また、当局に在中している人は当該時間まで、大規模演習展望室に集合してください》
その放送を聞いて怪訝そうに顔を歪めたのはアレクシアだった。もしかして、また鮮花の悪戯で情報を黙っていたのか、と思ったところで、鮮花から疑問の声が届けられた。
「ねぇ、演習やるって知ってた?」
「いえ、私は聞いてません。鮮花も?」
「うん、しかも、状況設定が過酷過ぎる。敵勢力は不明、コマンドポスト壊滅、広域ジャミングにより出来るのは短距離通信のみ、そして武装こそ選べるけどメンバーが四名のみ」
「しかも市街地ということは、一般人がいるということですよね。それに緊急即応対応045って、確かオールウェポンフリーに加えて、一般人からの情報秘匿を考慮せず、一般人を殺してでもいいから敵を殲滅しなければならない、核兵器が持ち込まれ爆発寸前一歩手前を想定した非常事態戦闘移行体制ですよ」
二人はお互いの情報を交換しながら、第四演習室控室へ走る。
「第七次日本防衛戦に備えての演習にしては、もう手遅れ……少しでも抵抗して生き残る確率を上げろってレベル」
「恐らく防衛戦に移行できず、先手をテロリストにうたれ壊滅的な被害が出て、エリアから退避して防衛線を再構築する為の時間稼ぎが目的でしょうか?」
「いや、もっと酷い可能性がある。恐らくラジアータ、パノプティコン、タナトスのどれかが敵に掌握されたとか。もしくは全てが破壊されたか」
二人が控室に着くと、既に装備を整えていた二人と出会う。
「ルイ、これは知ってた?」
「知らん。恐らく私達を含めたこの施設にいる全員の力量を試す試験だな。大規模演習展望室にいる人間全ての脳内情報をスキャナーでチェックをして、誰がどのタイミングでどんな判断をしているかを監視しているんだ」
「意図的に今日、公安局やDAの司令だけじゃなく、医師やその他、非戦闘員まで出来る限りの人員を集めて、脳内でどう対処できるか、どう判断するかを確認する。全く大規模なことですな」
「つまり、これは三大管理システムに、未来予測をさせるための情報を与えるための演習ってことか」
「これは、ホワイトカラーモデルの出番だねぇ」
にやり、と鮮花は笑う。そして、セカンド二人は戸惑っているに装備を整えながら説明する。
「さて、セカンドの二人に説明します! これは私達の高度な戦闘行動を見て、演習閲覧者のレベルの判定と、育成方針を決める為の三大管理システによる大規模なテストです!」
「だから、私達では勝てないように演習は組まれているだろうな。最高レベルのファーストとイレギュラーでさえ突破できない未来」
「その光景に対して、だとしても、と勇気と使命感を持って立ち上がるか。冷静に撤退作戦を進めるか、蛮勇に身を任せて散るか」
「こんな未来は来ない、こんな未来が来たら終わりだ、悲観的な未来だ、と膝を折るか」
そこで、ハッとアレクシアは顔を強張らせる。
「これは、単純な演習と作戦立案能力の有無ではなく、演習実践者とその観測者の思考回路とメンタル強度を測る為の演習」
「実際の戦闘を見た時のメンタルテストつーことすか。けど、それくらいなら、脳内スキャンと過去の行動解析で未来予測くらい」
それに答えたのは鮮花だった。
「それだけだと不適切だと、三大管理システム同士が確認して、議論を尽くし、その結果この大規模なテストが実行された。それに私というイレギュラーという異分子を組み込むことで更に複雑な状況を作り出し、予測不可能な状況で、三大管理システム自身の能力さえ試そうとしている」
「イレギュラー……全てをひっくり返して、めちゃくちゃにする津波であり、地震であり、雷であり、炎。それがコイツだ」
「ひでー言い草だなー、もー。人間だぜ? 私は」
「人間型惑星攻撃兵器って言われたほうが納得するね」
「俺は元1stソルジャー……世界の命運なんて興味ないねッ」
鮮花とルイは軽口を叩きながら完全武装を完了する。
鮮花はホワイトカラーの強襲型ドミネーターを二丁持ち、フキは展開大盾と超遠距離ショットガンマシンガンを装備する。
フキは千束を見て、笑う。
「ホワイトカラー強襲型ドミネーター二丁とか殺意の塊かよ、ハハッ」
「そっちは安定の装備だね、陽動頼んだ」
「お前は突撃癖があるからな。助けてやるよ」
セカンドの二人はその様子に戸惑った声で問いかける。
「私達の装備は何にすれば?」
鮮花とルイは顔を見合わせる。
「「展開型大盾と大量の弾薬と護身用の拳銃一丁」」
「え?」
「それでどうしろっつーんすか?」
「私と一緒に、こいつが派手に暴れられるように陽動だ」
演習控室のスピーカーから声が流れる。
『指定ポイントへ向かってください』
四人は数百人単位の観客に見られながら、戦いの幕が上がる。
『双方実戦だと思って臨むように』
「あのっ、黒のドミネーターと白のドミネーターの違いって何ですか?」
「簡単だよ、セーフティがあるか、ないか、だ。白はロックオンして問答無用でトリガーを引けば壁を透過するデコンポーザーを放てる。しかもセーフティとかその他諸々の装備がオミットされるから、弾数も多い。更にアタッチメントを切り替えてショットガンモードにすれば最大六発のデコンポーザーを一斉射撃できる」
『それでは、演習開始』