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雑誌で何度か見かけたことのある外岐子先生の顔が浮かぶと、その表情には確かに多少の厳しさも感じられるようだった。
だけど、だからと言ってもと思う。
「いくら厳しいからって、とてもきちんとしてそうなお母様なのに、先生はなんであんな……」
思わず揶揄するような言葉が口をつくと、
「そうよね…」
と、女史が小さく笑って、
「でも……人の家庭のことなんて実際にはわからないんだから。あなたも、勝手な推測なんてしたら悪いわよ……」
お猪口から一口をぐいと飲んで、諭すようにも話した。
「はい……」
つい言ってしまったとは言え、自分でもやや後ろめたいような気持ちで返し、ふと女史の顔を上目に見ると、だいぶ赤らんで酔いがまわっている様にも窺えた。
「そろそろ、帰られますか?」
もう少し話を聞きたい気もあったけれど、あまり彼女を酔わせてしまってもと思い、その場を切り上げることにした。