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ヒフミと云う者にトリニティに案内されている道中、彼女から此の場について教わった。
【キヴォトス】
孤立した巨大学園都市。学園とキヴォトスを治める連邦生徒会が区を支配して成立する場。
【トリニティ総合学園】
キヴォトスを治める3つの主要学園の1つ。お嬢様とか云う生徒が通う場。
「……こんな感じで説明したのですが、大丈夫ですか?」
「概ね理解した」
周囲は、賑やかな街から移り変わり、御伽噺に描かれる都市の様な街となった。
「ふむ、此処の自治区はかなり煌びやさを漂わせているな」
舗装された道から四方八方に見える街並みはどれも遺跡のような装飾が施されている。
「初めてここにくる人は、大体綺麗っていつも言ってますね」
「誰もが此処の街並みを見てみれば、其は当然の反応だろうな」
「……ヒフミ」
「どうしたんですか?」
「此処の人の芸術はあの白い馬鹿げた顔をした鳥の事を云うのか?」
私は、モモフレンズと書かれた表示板の下に並べられた鳥の人形を指して ヒフミに問いかけた。
其の鳥の人形はなんともいえない顔を見せていた。
「……気になるんですか?」
「ん?」
「ペロロ様が気になるんですか!?」
「ん?」
ヒフミは押し寄せて喜んで云った。
「まあ、興味は微塵にも無いが」
「こちらがペロロ様です!」
彼女は、鞄から先程見た鳥の人形と同じ物を取り出した。
其に、口とあたる部位に無理矢理アイスクリームがついていた。
「……?」
「どうですかこれ!かわいくないですか!」
「常人には理解できない代物だな」
「あはは……ちょっと言い過ぎじゃないですか……」
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トリニティ自治区を歩く中、遂にトリニティ総合学園に辿り着いた。
「つきました!あ、後どこまで案内すればいいですか?」
「随分とお節介焼きの様だな」
「どうしても心配なんです……それに」
「それに?」
「最近、外部者?による襲撃事件が多いんです。だから……」
「気にするべきでは無い」
「其れより、お前の事は良いのか?其の外部者とやらとの関わりで 相当する処罰を喰らうのでは無いのか?」
「私は……大丈夫です」
「物事を小さく見過ぎでは無いのか?」
ヒフミの大胆さには、何処かの暴走機関車を浮かぶな。
「だが、何がともあれ、私は大丈夫だ。だからもう戻っておくれ」
「えぇ……」
「では」
そう云って、ヒフミを放しトリニティ総合学園へと入り込んだ。
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「中々綺麗に施されているな」
トリニティ総合学園は中々綺麗だ。扉も照明もだ。
一体、どれだけの金を注ぎ込んだのか。
「わ、わぁ……」
所々、通りかがる人が不思議そうに此方を見てきている。
ふむ。何か興味が湧く事は無かろうか。
「……ティーパーティ?」
扉の前にそう書かれていた。
ティーパーティか。気になるな。
(コンコン)
「ティーパーティの者よ、少し用があるのだが良いか? 」
そうだな。少し紅茶を嗜もうか。私は、扉に拳を当て、音を鳴らす。
「開いてますよ、入ってください」
「入るぞ」
模様が彫られた両開きの扉を開けて、清らかな風と共にティーパーティがいる空間を放たれた。
有り余る程広大なバルコニーに差し込む日光はより一層輝いている。
「こんにちは?ここの生徒ではなさそうですが……」
「確かに、私は生徒とは違う者だ」
「…では、どうやって入られたのですか?ここトリニティでは部外者は基本的に入れないのですが?」
「其れ程硬い監視体制を徹底していただろうな。だが堂々と切り抜かれてしまうほど緩んでいたお前にも部があると思うが?」
「それもそうだと思いますが、急に入られると色々迷惑ですので」
「出来事は全て突然現れるだろう?」
「……はぁ」
「私はティーパーティホストの桐藤ナギサと申します」
「ビナーだ」
「ビナー……?」
ナギサと云う者は、私の名を聞き少し驚いた様だった。
「まあいいですか。気を取り直して、ご用件はなんですか?」
「用件か?紅茶を嗜みに来た 」
「……は?」
再び彼女は驚いた。名を聞いた時よりとても驚いているのが分かる。
「え、えぇ?そんな……用件で?紅茶ならトリニティの外でも飲めますが……」
「此処の地帯じゃ、嗜めそうだがな」
「然し、私はティーパーティと云う名をに惹かれ此処に来た」
「其故、少しおもてなしてくれなかろうか?」
用件を軽く述べ、私は純白の椅子を引き座った。
「本当に嗜みに来ただけなのですね……では」
そう云ったナギサは、付近に居る生徒に合図を示し、其の生徒は暫くして紅茶を持って来た。
「こちら、適当に選んだ物ですが……」
「ふむ」
運ばれた紅茶をポットからマグカップに注がれ、私は其の様子を眺めていた。
紅茶は紅茶に相応しい落ち着いた薫と黒みがかった赤色を持っていた。
「どうぞミルクと合わせて飲んでください」
「いいや、そのままで飲むよ」
「ええ?ストレートはあいませんよ?」
「紅茶はそのまま飲むが好きなのでね……頂こうか」
(ズズッ)
「中々だな、感謝する」
「どういたしまして、では少しお話でも」
「お話と云っても、私に話す事はあるのか?」
「うーん、そうですね……」
どうやらキヴォトスでは、ヒフミの云う通り、キヴォトスの外の者と自称する人物により各所で、襲撃事件が多発していとの事。
各所の学園は其れの対処に追われ四六時中解決に繋げようとしている……。
「ふむ、中々大変の様だな?」
「ええ、この様な事件は少なくはなかったのですがね……」
(ズッ)
私は紅茶を飲み切り、席から立つ。
「もう出るのですか?」
「紅茶を嗜めたのでね、このぐらいにしておくよ」
「そうですか……では」
ナギサも席を立つ。
「先程お話しした通り、現在外部者の襲撃事件が起きています」
「このご時世ですと、外部者である貴女も疑われる可能性もあります」
「確かに、私も余り闘いたく無いからね」
「ですので、暫くはトリニティにでも居てください」
「ほう?然しお前も大変なのだろうに」
「まあ……そういった事もあるんですよ」
「……失礼した、では」
両開きの扉を開け、軽い挨拶をして私は部屋から出た。