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大きく深呼吸をしていつもより澄んでいる空気で肺を満たす。たまにの息抜きもいいかもしれない、そんなことを考えながらベンチに座り流れる雲を眺めていればふと軽い鈴の音が耳に届く。
「あれ、なんでここに?」
音の持ち主を視界に映して目を見開く。よく手入れされたふわふわとした毛並みによく映える赤い首輪。どうやら音の正体は首輪に飾られた鈴からの様だ。
「飼い猫、なのかな?でもここ危ないし…。」
少し自然の多い場所とは言えどそれなりに交通量はある。周りで響く車の走行音やクラクションを聞き、そう呟く。
「あ、えっ、ちょっと!」
暫く悶々と考え込んでいれば、痺れを切らしたかのように膝の上に飛び乗られる。冷たい外気に触れ、冷えきった身体に与えられる膝の上の温もりに頬が緩む。
「ん〜〜、ちょっとだけだよ!今日は寒いもんね。」
優しい触り心地を堪能しながら話しかければにゃあ、と返事を返してくれる様子が可愛くて、ついつい会話が弾む。まあ1人だけれど。
「なんだか、眠たいなあ。そう思うよね……えっと、名前つけてなかった。じゃあ、”まる”とかは…?」
「にゃあ!」
「ほんと!?気に入ってくれたの!?」
ご機嫌そうにごろごろと喉を鳴らしながら手に擦り寄る可愛さに幸せの含んだ溜息をつく。
「そういえば何か忘れてる気が…。」
モヤモヤとする気持ちの正体を考えている内に思考に霧がかかる。寝ちゃいけない、そう頭は分かっているけれど、心地よい風が頬を撫でるのと同時によく通る鳴き声が耳に入る。その瞬間、ふわふわとした思考が深く沈んだ。
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