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ライ
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#異世界転移
花月夜れん
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まくら
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コメント
2件
1 ◇2年半付き合ってゴールイン
私たちは大学の同級生で卒業後、在来線のプラットホームで偶然再開
したことから付き合うようになり、2年半付き合ってゴールインをした。
やさしくて真面目な夫と結婚できて自分ほど幸せな人間はいないと
思っていたのに。
このままの幸せがこの先もずっと続くと信じて疑いもしなかったのに。
それなのに……
結婚後、ほどなくして夫の浮気が発覚。
◇ ◇ ◇ ◇
それは相手の女性が私のSNSへDMから不倫の暴露をしてきたため。
『ご主人が社内のある女性と不倫しているのをご存じですか?
何も知らない奥様がお気の毒で……』
ご丁寧に女性と一緒にガラス張り《シースルー》のバスルームでふたりが一緒に写っている
画像と夫のものと分かるスーツのネーム入り上着の画像、そしてどこのホテルなのかが
分かるホテル(コンフィートホテル)の正面画像が添付されていた。
シャワーを浴びてる画像は、はっきり言って小さく夫かどうか
分かりにくいものだし、女性の顔もよく分からなかった。
誰の嫌がらせかは一目瞭然である。
こんなの不倫相手本人にしか撮れないからである。
ここまでするということは、かなり相手の女性は夫のことを
好いているのだろうと推測してみる。
まだ、挙式してから2か月しか経っていない。
こんなことってある?
世界中探したって、こんな不幸な奥さんっていないんじゃないのかなぁ。
交際していた時からずっと今まで、私たちは日々他愛ない話で盛り上がったり、
ちょっとした旅行にもちょこちょこ行ったりと、仲睦まじく暮らしていたというのに。
夫婦関係は良好だった中での裏切りに、しばらくの間私は狼狽え、
悲しみに暮れた。
毎日今まで通り、普通に接してくる夫の顔を見ることが……
夫と交わさなければならない会話が……
苦しくて堪らない。
夫の知らない一面を知り、絶望が私を襲う。
信頼を失くし、自分が夫のことを好きなのか愛情があるのかも
分からなくなってしまった。
悲しみと苦しみの次にやってきたのは、言いようのない大きな不安だった。
今の私は自分の気持ちに向き合うだけで精一杯。
夫に何て話せばいいのか混乱が酷く、冷静に話せる気がしない。
2 ◇世界中探したって、こんな不幸な奥さんっていないんじゃない
女からの告発という形での夫の裏切りを知ってから10日間が過ぎ……。
女のDMを受け取った日からの10日間を、私は夫に問い詰めることなく
耐えた。
毎日、夫が会社から帰宅する度に、休日になればちゃんと話をしなくちゃ
……と、いつ不倫していることを問い詰めようかとそればかりを考えて
過した10日間。
自分がきっぱり滉星と別れるという決断ができなかったことから、
問い詰めることができずにいた。
それは、夫から『好きな女性ができたから、別れてほしい』
という最後通牒を言い渡されていないことも大きい。
不倫の関係なのにわざわざ私に不倫していることを連絡してきたぐらい
だから相手の女性は本気なのだろうと思う。
だけど、私に対して不満も女のことも何も言ってこない滉星の気持ちは?
今まで、どれだけ考えを巡らせても堂々巡りでこの先は、本人に訊いて
みないことには分からない……ということ。
何度目かの堂々巡りで疲れ切った私は、週末の夜を決戦の日と決めた。
◇ ◇ ◇ ◇
夫の滉星が週末夜遅くに帰宅……。
翌日は祝日だった。
「ただいま~」
「お帰りなさい」
私は玄関に向けて出迎えの言葉を掛ける。
「疲れたぁ~。風呂沸いてる?」
「うん、沸いてるよ」
「着替えを一度で済ませたいから先に風呂に入るわ」
そう言い置き寝巻と下着を持って夫は風呂場に向かった。
接待で食事を済ませて帰ってきた夫は、なんだかすごく疲れてるように
見える。
早く問いただしたいけれど今夜は話せないかな。
疑念だけが深まる中、何が真実なのか保留のまま悶々と明日までの時間を
過ごすなんて……と考えるも、私はどこにも吐き出せない苦悩を抱えたまま、
そのあとの時間を過ごすことになる。
3 ◇信用できない人とは暮らせない
私はいつも余程のことがない限り、夫の就寝に合わせて同時刻に寝具に入る
ようにしているのだが、流石に今夜はできそうになく、夫の寝息が聞こえて
からベッドの中、夫の隣へと滑り込んだ。
自分が女性からきたDMの件をこのまま黙っていれば、今まで通りの平穏な
日々が送れるだろう。それがいつまで続くかは分からないが。
だけど、すでにクロだと分かっていることを聞かずにやり過ごすことは
難しい。だって、信用できない相手と気持ちよく暮らしていけるはずが
ないからだ。
20代前半の若い頃からの夫を知っている。
その頃は知り合い程度だったのだから、何を知っているのか? と問われれば
本質までは知っていたとは言えない。
内心、あんなカッコいい男性《ひと》と付き合える女子はついてるよね~と
いう印象があった。
だけど、自分が彼の彼女になるとかそんなところまで考えたことはなかった。
そんなだったから彼の卒業のあとのことは、興味もなかったし全然知らないで
いた……。
◇ ◇ ◇ ◇
就職して数年後、駅のプラットフォームでたまたま滉星と再会した時は
驚いたのなんのって。
しかも彼の方から連絡を交換し合おうって言ってくれて……。
再会した滉星は少し大人の男になり、学生時代よりもより一層
かっこよくなっていた。
……なので、連絡先を訊いてくれたのは社交辞令、社交辞令だからって
自分の気持ちを落ち着かせて変な期待を持たないよう自分を宥めてた。
それが……本当に連絡をもらい、始めて会った日に早々に交際を申し込まれ
うれしくて幸せだった日のことは、今だって昨日のことのように覚えている。
私が女性とのことを彼に問い詰めると、今ある幸せはシャボン玉のように
消えてなくなるのだ。それは確実に……。
今ある幸せを手放したくはない。
せめぎ合う自分の心。
沈黙を貫いて手放したくないと抗っても……
あるいは問い詰めても……
悲しいかなどちらに転んでも、今まで自分の手の中にあった美しいままの
幸せは二度と戻ってはこないのだという結論──
にしか辿り着かなかった。