テラーノベル
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シアン➣
kzlrギャグ風味あり
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きっとおれの身体は葛葉に作り変えられてしまい、葛葉がいないと埋まらない身体になってしまっていたのだろう。
それがとても、悔しかった。
悔しくて、悔しくて……。
「っ…ローレン…、…っ」
「ぅ…あ……く、くっさん、……あっ」
ゆっくり、ゆっくり、葛葉がおれの身体の中へと入り込んでくる。やがておれの行き止まりに、葛葉が到達する。
なんだかそれは、テトリスのブロックがカチッとハマる感覚に似ていると、いつも思う。
凸凹がうまく嚙み合って、ひとつになる感じ。
ゲームなら、消えてしまえばクリアだけど。達成感とか爽快感とか。そういうちっちゃな幸せをいっこずつ積み重ねた先に待つ多幸感。
おおげさに言ってしまえば。
おれは葛葉に抱かれる時、幸せを感じられるんだ。
「ローレン、」
波がたゆたうみたいな穏やかな声で、葛葉がおれの名前と言葉を繰り返す。
——好き。
ローレン、好き。
おれの中をゆったりと、葛葉が行ったり来たりする。寄せては返す、水面で揺れる波のように、気持ちいいのと安心感が、体の内側をたっぷりと満たしていく。
ゆりかごの中であやされている赤ん坊みたいに、おれはただ、葛葉に身を任せている。
おれが溺れて、孤独の底に沈まぬよう、葛葉がおれを抱きしめてくれる。
「ローレン」
「く、ずは……」
互いの瞳の形がぼやける程に、至近距離で見つめ合う。唇がずっと、ジンジンして痛い。
ずっと、葛葉に触れてほしかったから。
ん、と唇を突きだしてみれば、葛葉はおれの意図を汲んでくれる。
葛葉の形のいい唇が、おれの唇にぴったりと重ね合わされる。
鋼の鎧みたいに、硬くて頑丈な葛葉の身体の中の、やわらかい部分。ふにゅんとして、しっとりとした唇。
子ども同士がするような触れるだけのキスなのに、頭の芯がぼうっとしてくる。
「く、っさぁん…ぁ♡♡ んぅっ♡♡ くっさんっ…、…あっ♡♡」
もっと欲しくて。
おれが小さく口をあけ、ちろっと舌を突き出してみれば。「しょうがねぇなぁ…」って言うみたいに目を細めてから、葛葉の舌がおれの舌をやわく絡めとってくれる。
「——っ♡ んむ、〜〜ッッ♡」
ジュッと舌の根を吸われる。全身から、力が抜けていく。ふにゃんと脱力したおれの足が、葛葉の肩に担がれる。
タイミングを見計らっていたのだろう、ゆっくりゆっくりおれの中を這っていた葛葉が、グッと身体を奥まで押し込んできた。
「——ぅ゛、ア゛ッ、っ~~~……♡♡」
行き止まりだったおれの最奥が開かれていく感じがした。唇はふさがれたまま。身体のあちこちで葛葉と繋がっているみたいだった。
体中が熱くて、苦しくて……嬉しくて、せつなかった。
「んぁッ♡♡ ハァ…♡♡ く、ず…は♡♡♡ ぁッ♡♡ ……はぁ、…くずはぁ♡♡♡」
息継ぎの合間に、おれはうわ言みたいに葛葉の名前を呼んだ。そのたびに、葛葉がキスで応えてくれる。ぎゅっと抱きしめ直してくれる。葛葉の名前を呼ぶ。好き、と言う。
身体の奥が、心臓が、焼き切れるように熱い。
願わくば。
おれの最期は、こんな感じだったらいい。
こんな風にして、ずっと。
ずっと葛葉に、抱きしめられていたい。
「〜〜〜~っ゛っ♡♡♡」
——ああ、悔しいなぁ……
息の根を止められる。
葛葉に見つめられたまま、おれはやさしい地獄へと堕ちていった。
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