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そこに描かれている絵の意味がわかれば、すぐにわかることだ。
そこにはこう書かれていた。
“お前たちは全て間違っていた” と。
そこで、突然幕が上がった。
スポットライトを浴びながら登場したのは、黒い衣装に身を包んだ一人の少年であった。
少年の背後からは音楽が流れ始め、照明もそれに合わせるようにして変わってゆく。
そして、少年は歌い始めた。
――♪~~~♪~~~
舞台袖でその様子を見ていた私と先輩は唖然とするばかりであったが、
「……これは驚いたね……」
隣にいた先輩の声に反応して私は顔を上げた。
「先輩、これって一体どういうことでしょう?」
「わからないけど……あの子はおそらく、この劇の主役を演じているんだろうね。」
主役……。
ということはつまり、あの子が先ほど話してくれた「主人公」ということなのか? そう思った瞬間、私は思わず口を開いた。
「あ、あのっ! すみません!」
私の声を聞いた途端、主役の歌は止まり、こちらを向く。
その表情は驚愕に染まっていた。
「どうしてあなたは、こんなところにいるんです?」
『えっ?』
私は、目の前に現れた天使の姿を見た瞬間にそう問いかけた
「あなたみたいな人が、なぜここに居るんですか?」
『えっと……ごめんなさい。ここは一体どこですか?』
僕の質問を無視して逆に訊ねてくるとは……。
やはり、僕が知っている人間とは違うみたいですね。
それにしても、まさかあのヒトが本当は妖怪だったなんて思いもしなかった。僕はただ単に、憧れの対象でしかなかったのかもしれないけど、それでもショックなことに変わりはなかった。今まで抱いていた感情が全て消え去ってしまったかのような気分になり、しばらくの間何も考えられなくなってしまった。
そして、ようやく落ち着きを取り戻した頃に思ったことは、「やっぱり僕とは住む世界が違うんだろうなぁ……」ということだけだった。
あれ以来、何回か例の妖怪と会う機会があったけれど、そのときはいつも通りの優しいヒトに戻っていた。もちろん、それはそれで嬉しかったんだけど、同時に少し寂しくもあった。
だけど、今の彼女はとても楽しそうだ。
きっと、あのときのことを気にしていないんだと思う。……まぁ、実際そうなんだよね。
僕が勝手に落ち込んでいただけなんだもん。
だから、もうこれ以上悩む必要はない。
これから先も、ずっと永遠に一緒にいられるのだ。……たとえ君が、僕を忘れてしまったとしても。
「……あのさぁ、何回同じこと言うわけ?」
何度も繰り返される言葉に飽き飽きしながらも、彼女はそれに答える。
すると目の前にいる魚人は、またいつものようにこう言う。
「あ~、うん、わかってるんだけどね……」
わかっていると言いつつ、全くわかっていない。
これで一体何度目になるのだろうか……。
それでも毎回同じような返事をしてしまうのは、やはりどこかで期待をしているからかもしれない