…ツー、ツー…
pe「え、ちょ!らっだぁ?!らっだぁ!! 」
pe「…切れ、た…」
夜中にいきなり掛かってきた電話。
電話越しの彼は辛そうで、
何も分からぬまま通話は切られてしまった。
かけ直してみるが、何コールかした後、
『只今、通話に出ることができません。』
と電子音声が流れてしまう。
pe「…ら、らっだぁ…?」
俺は気が動転して、
十数回とらっだぁに電話をかけ直した。
しかし、何回掛けても流れてくるのは
無機質な電子音声のみだった。
pe「…なにか…何か、起きたのか…?」
pe「…らっだぁ……」
俺は、携帯を胸元で握り締める。
そんなとき、 急に後ろから
部屋の 扉が開かれる音がした。
pe「……!?だ、誰だっ!!」
俺は勢いよく後ろを振り向く。
しかしそこにいたのは、
隣の部屋で寝ていたはずのしにがみ君だった。
pe「え、しにがみ?どうした?なにか事件でもあったのか!?」
俺はしにがみ君にせめよる。
しかし当のしにがみ君は、
目が半開きでとても眠そうだ。
事件が起きたことを理由に
来たようには見えない。
しにがみ君は、まぶたを擦りながら言う。
sn「こっちのセリフですよ…こんな真夜中に急にらっだぁさんの名前叫び出して、何回も電話のコール音聞こえてきて…」
sn「ここ壁あんま厚くないんですから…夜中に大声出さないでくださいよほんとに……」
pe「え?…………あ。」
確かに言われてみれば、
今は夜中の1時くらいだ。
そしてしにがみ君の部屋は俺の隣。
どうやら起こしてしまったらしい。
pe「ご、ごめん…」
sn「ほんっとにもう…で、らっだぁさんになにかあったんですか?」
しにがみ君は俺を見つめてたずねてくる。
pe「……いや。なんにもない、大丈夫。」
そう、きっと大丈夫。
だって、らっだぁだから。
ああ見えて、結構しっかりしてる奴だ。
あいつなら大丈夫、のはずだ。
sn「そうですか…じゃ、早く寝てくださいね…ふぁあ、おやすみなさぁい…」
pe「うん、おやすみ」
大丈夫だ。心配するな。
きっと何も無い。きっと大丈夫だ。
そう自分に言い聞かせ、
俺は自身のベッドに入った。
kr「…あ、ぺいんと。おはよ。」
電話が来た夜の翌日の朝。
あの後、俺は特に何も無く朝を迎えた。
心配しすぎたせいか、
全く寝付けなかった事以外。
pe「おはようございます、クロノアさん…」
寝ぼけまなこを擦りながら、
俺は大きなあくびをする。
俺は迫り来る眠気と抗いながら、
会議室の椅子に座った。
ここは、日常国。
クロノア統領が収める、一つの国だ。
そして俺は、この日常国の幹部。
クロノア統領に一番近い存在と
言っても過言では無い、結構凄い人だ。
俺の他にも、
昨日俺が起こしてしまったしにがみ君と、
筋肉馬鹿のトラゾーと、
俺含め3人の幹部がこの国にはいる。
そして主にこの四人で
この国を経営しているのだ。
自分で言うのもおかしな話だが、
この国は結構栄えていると思う。
人数も、戦力も強い方だし、
観光だって、 他の国には劣っていない。
そんな俺達の国は、
もちろん沢山の国と交流がある。
その中で、俺らと一番深い友好関係を
築いている国が、[運営国]だ。
運営国は、1人の頭領と4人の幹部で
運営されている面白い国だ。
統領のノリが良すぎるせいか、
国民全員が地位関係なく仲が良い。
統領でさえ国民に呼び捨てにされていて、
世界で1番と言っていいほどに
地位という壁が薄い。
それほどユニークで、珍しい国なのだ。
なぜ俺らは運営国と仲がいいのか、
主な理由としては3つある。
1つ目は、ただただ気があったから。
初めての交流の時から打ち解け、
みんなでどんちゃん騒ぎしたくらいだ。
ノリがいいって、やっぱり大事。
2つ目は、国同士が近かったから。
そのせいで、お互いに暇さえあれば
遊びに行ってる。
最後の理由は、
運営国の統領、らっだぁと俺が、
唯一無二の幼馴染だからだ。
幼い頃を詳しくは覚えていないが、
2人でずっと仲良く遊んでいたのは
覚えている。
そんなハチャメチャで、
しかし大切な幼馴染だからこそ、
昨日の電話がずっと気がかりだった。
もしかしたら、命の危機に
陥っているんじゃないか?
もしかしたら、何かあの電話に
暗号が隠されているんじゃないか?
そんな考えが、
ずっと頭の中をぐるぐる回っている。
tr「……ん…、…いん…、おい…」
tr「おい、起きろ!ぺいんと!!」
pe「んぁ?!え?!」
トラゾーの大声で俺は我に返る。
視界がハッキリしてくると、
トラゾーとしにがみ君が
俺の顔を覗き込んでいるのが分かった。
tr「大丈夫かぺいんと?うたた寝ってたけど。隈酷いぞ?」
sn「ぺいんとさん、昨日あの後ちゃんと寝たんですか?」
2人は揃って呆れ顔をしている。
どうやら、ボーッとするを通り越して
寝てしまっていたようだ。
それを見ていたクロノアさんが、
少し強めに 俺に言った。
kr「ぺいんと、夜更かしは程々にしなよ?体に悪いんだから。」
pe「はい、すんません…」
謝った俺を見て、
2人は自身の席に戻っていく。
俺も、今度こそしっかり椅子に座る。
…また寝ないように。
kr「さて…全員揃った所で」
kr「朝の会議兼書類まとめを始めようか。」
その統領の声で、俺らは一斉に
机に散らばっている書類に手を伸ばした。
その時だった。
急に、会議室に電子音が鳴り響く。
誰かの携帯に、電話が掛かってきたのだ。
kr「ん?…あ、俺のやつだ。」
クロノアさんが、 ポケットから
携帯を取り出す。
sn「…クロノアさん、会議中は携帯の電源切るってみんなで決めませんでしたっけ?」
kr「…あ、そういえば。」
tr「クロノアさんまで何してるんですか!」
kr「ごめんごめん、完全に忘れてた… 」
クロノアさん、いつもどこか
抜けてるんだよなぁと思つつ、
俺は書類まとめに専念する。
kr「えっと、着信は…きょーさんからだ。ちょっと出てくる。」
クロノアさんは、
携帯の画面を見てそう言った。
きょーさんとは、運営国の幹部の一人。
きょーさんはニックネームで、
本名は金豚きょー。
運営国の中では結構冷静な方で、
みんなの兄貴分みたいな人。
しかしさっきも言った通り、
運営国はノリがいい。
そのため、きょーさんも暴れる時は暴れる。
クロノアさんは通話ボタンを押して、
一度会議室を出ようとした。
しかしその瞬間、
怒鳴り声とも取れるほどに、
大きく威圧のある声が流れてきた。
kyo「…っ、繋がった!もしもし?クロノア統領さんか?!」
スピーカーにはしていないはずなのに、
こちらにまで聞こえてくる大声量。
声で分かる、とても焦ってる。
こんな焦っているきょーさんは
見た事がない。
俺は思わず手を止めてしまう。
kr「うわ…ど、どうされました?」
クロノアさんも同じことを思ったらしく、
動揺しながらきょーさんに質問した。
しかし、きょーさんは無視して続ける。
kyo「クロノア統領さん!仕事中かも知らんが、とにかく聞いてくれ!やばい事が起きた…!!」
kr「ちょ、きょーさん!落ち着いて…!!」
kyo「らっだぁ…らっだぁが…!!」
kyo「らっだぁが、”行方不明”になったんや!!」
pe「………………は?」
そのきょーさんの声を聞いた時、
俺は手に持っていた書類を
バタバタと床に落としてしまった。
コメント
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おーまいごっと、、、
(:°○°:💧)わぉ…