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「雪都君のイケメンぶりは、あの人譲りだったんですね。僕、ずっとあなたの好きな人が誰なのか気になってました。でも聞いちゃいけないって。だけど、あの人が初めて園に来た時の態度や今日の反応を見てわかりました。彩葉さんの好きな人が誰なのか」
「……」
「ただの興味なんかじゃないです。正直、知りたくない気持ちもあるんです。だけど、あなたのことは……全部知りたいから」
複雑な気持ちを抱えながらも、一生懸命聞いてくれた理久先生には、ちゃんと本当のことを伝えるべきなのかも知れないって思った。
きっと、胸の中はすごく苦しいんだって。
だけど……
「ごめんね。今はそれを理久先生に話していいのかもわからないの。自分の気持ち、キチンと整理してからでいいかな」
本当に、これが精一杯の答えだった。
「ですよね……すみません。立ち入った質問して許して下さいね。僕はずっと待ちますから。彩葉先生のためなら僕は……」
それ以上の言葉を、私は敢えて求めなかった。
今、何を言われても、ちゃんと受け止められないってわかってるから。
これから……私自身、誰を選ぶのか、それとも全く別の道を歩むのか?
まだまだ手探り状態。
自分の選択で、慶都さんや理久先生の人生を大きく変えてしまうかも知れない。
そんな権利が私にあるの?
ちょっと……怖いよ。
だとしても、もうこれ以上、曖昧にしてちゃいけない。
理久先生の背中でスヤスヤ眠る雪都を見てたら、今までずっといろんなことから逃げてた自分をものすごく反省した。
1度きりの大切な人生、雪都と一緒に幸せになりたい。
私の未来のキャンバスに描かれる絵が、雪都の満面の笑顔、大切な家族の笑顔である事を信じて……ちゃんと前を向いて進みたい。
もう、逃げたくはないと思った。