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ランチタイムのレストランは少し混雑してたけど、久しぶりの弥生との食事は楽しみだった。
「うわ、美味しそう~!」
本格派のハンバーグステーキとエビフライのセットメニュー。
特製のオニオンたっぷりの醤油ソースを熱々のハンバーグにかけると、鉄板からジュージュー音がして、胸に広げるように言われた大きなナプキンには容赦なく油が飛び散った。
エビフライの横に添えられた、酸味が爽やかなたまごたっぷりのタルタルソースにもこだわりを感じる。
油が落ち着いたのを見計らって、私達はナプキンを下ろした。
「いただきます~」
ナイフを入れた瞬間、肉汁がジュワーと溢れ出してきて、食欲が最大限まで刺激された。
目の前の柔らかそうでジューシーなハンバーグが口の中に入った瞬間、弥生も私も思わず「美味しい!!」って、顔を見合わせながら叫んでしまった。
「ここは絶対リピだね~最高」
「うん、本当に美味しい。エビフライもおっきいし、大満足だよ」
「今度はさ、理久先生も誘ってあげないとね〜」
そのセリフにちょっとドキッとした。
「そ、そうだね」
「ところで? 今日は久しぶりに2人きりで、何か私に話したいことがあったんじゃない?」
「あっ、うん」
弥生も、私が急に呼び出したことに少し緊張してる面持ちだった。
やっぱり、不倫のことを何か言われるのかと思っているんだろう。
でも……
「ごめんね、今日は休みなのに」
「ううん、全然」
「ありがとう。あのね、私って、昔から恋愛経験もあんまりないし、男性の気持ちとかも、その何ていうか……」
ドギマギしてると、
「彩葉さ、こういう時にハッキリ言わないと、またモヤモヤしちゃうよ。さあ、弥生様の胸に飛び込んでおいで」
弥生はニヤッと笑いながら、両手を広げるジェスチャーをした。
その仕草に少しホッとする。
「う……うん。実はね……」
私は、弥生の好意に甘えて、慶都さんのこと、理久先生のこと、そしてマリエさんのこと……いろんなことを夢中になって話した。
ずっと胸に抱えてたものを、一気に大量に吐き出した感じで、どんどん心が軽くなっていくのがわかった。
「こんなことは弥生にしか話せなくて。弥生も悩んでるのに申し訳ないんだけど、今、どうしてもちゃんと考えたくて、相談にのってもらいたかったんだ」
「そっか。うん、よくわかったよ。いっぱい抱えてつらかったよね。話してくれてありがとう」
その優しい言葉に胸が熱くなる。
「私のことで、弥生にわがまま言ってごめんね」
「わがままなんて思ってないから」
弥生は少しの間黙っていたけど、
「今の話を聞いて思った率直な意見を言うとさ」
「う、うん」
ドキドキするよ、いったいどんな言葉が出てくるんだろう。