太中
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矢張り、綺麗な人ほど儚いなど良く云えた事なのです
だが、こんなにも無慈悲な夜もどうすべきかも分からない私は君の為に何も出来ないのでした
❝結核❞
結核と云う病気を患うともう決して治らない不知の病のひとつとされている病名のひとつです
中也は未だ若い当時二十二歳でした
未だ生きれた
未だ私の隣で共に歩けた
未だ触れられていた
未だ共に銀木犀を見れていない
未だ、未だ、共に居たかった
私はそう思うだけでしか出来ず、静かに布団の中で蹲りました
次の日私は沢山手紙を書きました
そして何時もお返事の手紙は要らないとだけ最後の文に必ず書いておきました
明くる日も愛する彼に宛てて手紙を書きました
この頃、今の女性達はハイカラなものを好み、おしゃれな物を好む事を知りました
彼が結核を患う前の手紙には、彼の家の中には沢山の下女が居て、ハイカラな物やおしゃれな物を良く教えて貰っていたそうだったのです
私は彼に嫉妬心を抱きながら、お返事を書いた事を良く覚えています
私は貴方の代わりに外を沢山歩きました
歩く度、隣りに貴方がいるかの様に何度も感じました
帰る度、外に出た感想を手紙に綴るのです
ある時私の家に貴方が訪ねて来たのです
息を切らして、苦しそうに
其れでも、貴方は嬉しそうでした
そんな彼を優しく抱えて、布団まで運ぼうとしました
抱える度、柔らかな髪から銀木犀の微かな香りが頬を擽りました
抱えられながら私の服を掴んで貴方は云いました
中「…俺も太宰の隣りで共に歩きたかった」
太「……」
其の言葉ひとつで私の手紙を毎回読んでくれていたのが分かりました
私は涙が溢れそうになりましたが、私はどうしても貴方の前で泣きたくなかったので、ぐっと涙を堪えました
そして貴方を布団の上に優しく置きました
彼は私の服を掴んだままでした
其れ以上に貴方はとても苦しそうでした
苦しむ姿を見たくないにも関わらず、服を掴まれてる以上、ここから動けませんでした
ですが私は彼の最後を見届けると云う私の使命だと思ったのです
中「………手前は金木犀よりも銀木犀よりも俺を愛してくれた……」
太「……今も愛してるよ」
彼は何か云いたそうにしていました
ただ、喋るような口の形をするだけで、口からは空気しか出ませんでした
そんな彼の小さな手を握り締めました
中「……俺も…何よりも……愛してた」
其の言葉で涙が溢れました
今まで我慢していたものが全て溢れ出した気がしたのです
太「私も…私もッ 愛していたのですッ貴方を、誰よりも何よりもッ貴方を抱き締めたくて貴方と口付けしたくてッ貴方を愛したくてッッ」
太「………甘苦しいんです…ここが……我慢出来なくなるんです…」
中「………なら……全部…此処で、したいことをすれば良い」
そして、貴方はゆっくりと起き上がって手を大きく拡げたのです
そして其れを求めるように吸い込まれるように貴方の腕の中にゆきました
未だ貴方は暖かくて、この温もりが無くなってしまう事を考えると、また涙がこみ上げてきてしまう私を彼は震える手で優しく撫でたのでした
そのまま触れるだけの口付けをしました
貴方はゆらりと笑っていました
そんな貴方をそっと布団に置きました
頭を打たないように そっと
✣
綺麗でした
貴方が誰よりも何よりも
どんなに綺麗に咲いた金木犀でも、銀木犀でも、貴方より綺麗なものはいませんでした
私はもう二度と戻って来ない貴方に顔を埋め、
【…やっぱり銀木犀の方が良かったなぁ…】
自分でも分かる程に弱々しい自身の声はもう君には届かないのです
私は彼にまた金銀木犀が花開く時に必ず逢いに行きます
其れ迄、私はもういないとわかっている貴方に手紙を書き続けるのです
たとえ君が私の手紙を読んでくれなくても
金木犀の花言葉 「隠世」「 謙遜」「気高い人」「真実」
銀木犀の花言葉 「初恋」「高潔」「あなたの気を引く」
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お疲れ様でした
時間が無い中、頑張って書きました!!
これからお祭りに行ってきます!
最後まで見て頂きありがとうございました
コメント
2件
初コメ、時差コメント失礼します🙇♀️ このお話見終わったときにすごく心苦しいけどとても幸福?な気持ちになりました🙌🏻 ❤︎ ⸝⸝ 小説家レベルの綺麗な言葉の使い方がすごいいいなと思いました 長文失礼しました
本当に、色んな意味でやばい....涙しか出てこない....中也ぁぁぁぁあ!!最後の2人の空間本当に幸せそう....また金木犀が花開いた時に会えたらいいね...それで会った時は2人で前出来なかったこともっと沢山して欲しい... 毎回思うけど言葉選び本当に天才過ぎます... 時間ない中書いて下さり有難うございます...!!! お祭り楽しんできてくださいね!