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#いるなつ
3e1
718
# 梅雨の妖精
209
翌日の放課後。
なつはスマホを見つめていた。
昨日のメッセージ。
🌸『今度話そう』
その一文がずっと頭から離れない。
そして。
今日。
またメッセージが来ていた。
🌸『校門前います』
短い。
怖い。
逃げたい。
ものすごく逃げたい。
🦈「どうしたの?」
隣で帰る準備をしていたこさめが聞く。
🍍「いや、別に」
言えるわけがない。
お前の兄に呼び出されたなんて。
絶対面倒なことになる。
🦈「ふーん?」
こさめは少し不思議そうだったが、それ以上は聞かなかった。
🦈「じゃあまたね!」
🍍「おう」
こさめは友達と一緒に教室を出ていく。
今日は委員会らしい。
その笑顔を見送ってから、なつは大きくため息を吐いた。
行くか。
行かなきゃ終わらない。
たぶん。
きっと。
終わるよな?
終わってくれ。
校門へ向かう。
すると。
いた。
らんだ。
昨日と同じ場所。
腕を組んで立っている。
やたら目立つ。
女子たちがちらちら見ている。
本人は全く気にしていない。
🍍「こんにちは」
なつが近付く。
🌸「やあ」
らんはにこっと笑った。
怖い。
やっぱり怖い。
🍍「話って何ですか」
単刀直入に聞く。
するとらんは少し考えた。
🌸「散歩しながらでいい?」
🍍「なんで?」
🌸「なんとなく」
意味が分からない。
だが断れる空気でもなかった。
結果。
二人で歩くことになった。
最悪である。
数分後。
近くの公園。
ベンチに座る。
沈黙。
気まずい。
とても気まずい。
先に口を開いたのはらんだった。
🌸「なつくん」
🍍「はい」
🌸「こさめ好き?」
なつはむせた。
🍍「げほっ!」
ストレートだった。
あまりにも。
🌸「何その反応」
🍍「いや普通そうなるだろ!」
🌸「そう?」
そうだよ。
むしろ何故平然としていられる。
らんは少し笑った。
🌸「別に怒らないよ」
🍍「いや」
🌸「隠さなくてもいい」
🍍「いや」
🌸「好き?」
🍍「いや」
会話にならない。
らんは困ったように頭を掻いた。
🌸「みことに聞いたんだけど」
🍍「何を」
🌸「こさめのこと、よく見てるって」
余計なことを。
本当に余計なことを。
みこと先輩。
何を報告しているんだ。
🍍「隣の席だからだろ」
🌸「ふーん」
信じてない。
全然信じてない。
🌸「まぁ」
らんは空を見上げた。
🌸「好きでも嫌いでもいいんだけど」
🍍「え?」
予想外の言葉だった。
🌸「こさめが笑ってればそれでいい」
その声は少しだけ優しかった。
いつものふざけた感じじゃない。
兄の顔だった。
🌸「だからさ」
らんはなつを見る。
🌸「泣かせないでね」
なつは少し黙った。
そして。
🍍「泣かせる気ないけど」
そう答えた。
本心だった。
らんは数秒見つめてから笑った。
🌸「ならいいや」
軽い。
急に軽い。
なんだったんだ。
この面談。
🍍「終わり?」
🌸「終わり」
🍍「マジで?」
🌸「うん」
らんは立ち上がった。
そして。
🌸「でも」
振り返る。
🌸「もし付き合うことになったら最初に教えてね」
🍍「ならねぇよ!」
なつは即座に否定した。
だが。
らんは意味深に笑うだけだった。
その日の夜。
👑「どうだった?」
みことが聞く。
🌸「悪くなかった」
らんは答えた。
🍵「へぇ」
🌸「いい子だったよ」
すちも安心したように笑う。
すると。
ソファでゲームをしていたこさめが顔を上げた。
🦈「なにが?」
兄たちは固まった。
まずい。
🌸「なんでもない」
らんが即答する。
🦈「ふーん」
こさめは再びゲームへ戻った。
セーフ。
気付いていない。
たぶん。
でも。
その時。
こさめのスマホに通知が届いた。
🍍『今日ありがと。また明日』
なつからだった。
こさめは自然に返信する。
🦈『うん!また明日!』
そのやり取りを。
偶然。
後ろから見てしまったらんは。
🌸「……」
静かに天井を見上げた。
🍵「どうしたの?」
すちが聞く。
らんは小さく呟く。
🌸「思ったより進行速度が速いかもしれない」
🍵「考えすぎだよ〜」
すちは笑った。
だが。
らんの勘は意外と当たるのである。
意外と。
コメント
3件
最近コメントできてなくてごめんね 😓😓 この作品まぢで好きなんだけど感想思いつかなくて ( 国語無理人 ) 全部見てます!!!見てないことはないよん てかさ、このAIなんなんやろね 返信早いしw 検索避けおもくそ突き破ってるしw
読み終わりました…!らん先輩の緩急すごかったですね。あの「こさめが笑ってればそれでいい」のところ、一気に兄の顔になる感じ、胸にきました。なつくんが「泣かせる気ないけど」って本心で返したのも良かったし、最後に「思ったより進行速度が速い」って気づいちゃうらん先輩、笑ったけどちょっと怖い(笑)。兄妹も恋もじわじわ動いてて、次が気になります…!