テラーノベル
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お兄ちゃんからの突然のキスに、動揺して体を離そうとするけど、お兄ちゃんの手がいつの間にか腰と頭の後ろにあって身動きが取れない。
優しいのにどこか性急で、乱暴なのに丁寧な不思議なキスだ。唇を何度も食むように繰り返してくる。呼吸をしたいのにそれすらも阻まれるような強引なキス。
息が苦しくなって口が小さく開いてしまうと、お兄ちゃんはそれを逃さないというように無理矢理舌をねじ込んできた。突然すぎて思わずまた体が動いてしまうけど、お兄ちゃんの手はそれを許さないとばかりに体と頭を固定している。
お兄ちゃんの舌が口の中を見出していく。まるで舌を差し出せと言わんばかりに舌で絡め取られて、舌が無防備になると、それを唇で吸い取ってくる。
もう、何が起こっているのかわからなくなっていくほどだ頭がぼんやりとしていた。目が自然と開いてぼんやりとした視界の先には、夢中でキスをしているお兄ちゃんの顔がある。その余裕の無さに体が疼いて仕方がない。
どれほど唇を食まれ、口腔内をかき乱されていたのだろう。ようやくお兄ちゃんの唇が離れて、私は息も切れ切れだ。
頭はくらくらするし、体の奥はキュンとして疼いたままだし、自分が一体どうなってしまっているのかわからない。
はあはあと息を整えながらお兄ちゃんの顔を見ると、お兄ちゃんはそんな私の顔を見ながらまだ余裕のない、切羽詰まったような顔をしている。その様子に、私の心臓はバクバクと鳴り響いている。
「お兄ちゃ……」
「ごめん」
お兄ちゃんは静かに私の頬に手を伸ばし、そっと頬を撫でる。その手は、微かに震えていた。
「こんな風にするつもりじゃなかった。楓のことは本当に大切にしたいんだよ。無理矢理になんてしたくない。でも、どうしようもなかったんだ。気持ちを抑えきれないんだよ」
そう言うと、お兄ちゃんは私の体を引き寄せて抱きしめた。ぎゅうっと強く抱きしめられて、お兄ちゃんの温もりと匂いが私の周りに纏わりつく。まるでお兄ちゃんの全てが私を離さないとでも言っているようだ。
「こんな俺のこと、嫌いにならないでくれ……好きなんだよ、楓……」
そう言って、お兄ちゃんは私を抱きしめる力を強くする。こんなにもお兄ちゃんは私を好きでいてくれて、こんなにも執着されているだなんて思いもしなかった。唖然とするけど、それは嫌なことでもなんでもなかった。
むしろ、大好きなお兄ちゃんにこんなにも思われていただなんて、驚きと喜びで心臓がうるさいほどだ。
「……嫌いになったりなんかしないよ?」
そう言ってそっとお兄ちゃんの背中に手を回し優しく撫でると、お兄ちゃんは無言になってからしばらくするとそっと体を離す。そして、私の顔をそっと覗いてきた。
「本当に?」
「本当。すごく驚いたけど、こんなにも思われていただなんて知らなかったから、……むしろ、嬉しい、な」
そう言うと、お兄ちゃんの瞳は光が戻ったかのようにキラキラと輝き出した。
「よかった……!」
心の底から出たような安堵の声を漏らしながら、お兄ちゃんは私をじっと見つめて微笑む。その瞳にはまだ底しれぬ熱い炎がチラチラと揺らめいていて、私の心と体の奥底から何か言いようのないものが湧き上がってくる。
「嫌われなくて良かったよ。……でも、このまま触れていると本当に箍が外れてしまう」
そう言って、お兄ちゃんは私から手を離し視線を逸らし、私から距離を取ろうとする。そんなお兄ちゃんの手を、私は思わず掴んでいた。
「っ、楓?」
「これ以上は、してくれないの?もう、私に触れてくれないの?」
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