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今回は一話だけの投稿です。実は別ルートとして、ここでミオの記憶が薄れていくっていうのもあったんですけどね…。
多分、元の方で「ミオに変化が…?」って書かれているのはその名残だと思います‼申し訳ありません‼
それでは、どうぞ‼
食堂にて
ユ「そういえば、ミオは最近ライオス達に何もされてないのかい?」
向かいの席で夕食を食べていたユージオにそう聞かれる。そういえば…、最近全く嫌がらせしてこないな。睨まれることはあっても。
ミ「うん、大丈夫だよ。なんかあったの?あいつらと」
キ「あいつら…と言ってもウンベールだけど、あいつ、ユージオとの試合で引き分けたんだぜ」
ミ「引き分け⁉凄いな!」
素直にそう褒めると、ユージオは「あ、ありがとう」と照れ気味に言った。ぎょえ、可愛いいいいいいいい‼・・・じゃなくて。
ミ「それで?」
キ「いや、まだ何もされてない。ちょっかいも嫌がらせもな」
そう言いつつも、キリトが自分の豚かつ丼をバクバク食べる。しかし、横でユージオが心配そうに目を伏せた。
ユ「でも、裏があると思うんだ、あの2人なら。だから…ミオも気をつけて。もしかしたら君にも被害があるかもしれない」
ユージオの心配に、私は元気よく答えた。
ミ「むしろ2人の心配なら大歓迎だよ‼何かあったら言ってね。私も出来るだけ協力するから」
ユ「ありがとう。そうするよ」
ああ〜ご飯は美味しいし向かいの席の推しは尊いし、神かよここ。っていうか、死んだら私の世界に戻れるのかな?
・・・絶対に生き延びて、今知ってる最新巻までの流れをしっかり目に焼き付けてからだな‼死ぬのは‼
キ「ミオ、どうしたんだ。眠いのか?」
ミ「ああ、キリト。ううん。大丈夫だよ」
ユ「本当かい?無理はしちゃ駄目だよ、何かあったら言って。僕が医務室まで連れて行くから」
ミ「ユージオもありがとう。でも本当に大丈夫だから」
そんな会話を交わしながらも、私達は学院のうっそうとした森の奥に来ていた。しかし、ここは森と言っても開けている所で、穏やかな風が頬を撫でる。
ティ「ミオ先輩…、食べますか?」
心配そうにこちらをのぞきながら、美味しいそうなパイを私に差し出す可愛い後輩に、笑みを返すとそのパイを受け取った。ぱくりとかぶりつくと、口の中に鶏肉と野菜、バターの味が広がる。
ミ「美味しい‼2人で作ったの⁉」
フィ「いや、俺もです」
あまりの美味しさに私が驚愕し、2人の少女に聞く。すると、答えが返ってきたのは私の傍付きからだった。
ロ「そうなんです。フィルノーズも手伝ってくれて」
ティ「私達よりも料理が上手いんですよ」
へぇ〜意外。ちょっと今度作ってもらいかもしれない。その心を見透かしたように、フィルが言った。
フィ「今度作りましょうか」
ミ「私の周りってエス…じゃなくて、超能力者しかいないな」
改めて本気で思った私であった。
ティ「あの…ユージオ先輩、キリト先輩、そしてミオ先輩。実はお三方にひとつお願いがあるんです」
賑やかにフィルと話していた時、やや震えた声のティーゼちゃんが私達に言った。・・・とうとう来た。よっしゃ絶対にライオス達には指1本触れさせやしないからな‼
ユ「は、はい?・・・どんな?」
ユージオも突然の事に驚きつつも、聞く体勢を取る。私も何も聞いていない様子のフィルと背筋を伸ばした。
ティ「大変申し上げにくい事なんですが…その…先日ユージオ修剣士殿が仰っておられた指導生の変更要請に関して、学院管理部にお口添えいただきたく…」
その言葉にユージオが分かりやすく絶句する。キリトも予想外の発言だったのか、目を見開いていた。ユージオは、明らかに暗い声でティーゼ達に尋ねた。
ユ「それは…僕の傍付きを辞めたいって事・・・?それとも、キリト・・・?ミオは無いとして…まさか僕とキリト両方・・・?」
ミ「いやいや、ティーゼちゃんとロニエちゃんに限ってそれはないよ」
すかさずフォローに入るが、ユージオはいまだに放心状態だ。ティーゼちゃんも慌てたようにかぶりを振った。
ティ「ち、違います‼私達じゃないです、そんな、とんでもないです…お二人の傍付きは代わって欲しいって子がむしろたくさんいて…「ティーゼ、話が逸れてる」あ、ごめんロニエ…それで、変更をお願いしたいのは寮で同室のフレニーカって名前で、真面目で一生懸命で、剣が強いのに控えめなとってもいい子なんですが…」
続いてロニエちゃんも口を開く。
ロ「・・・実は、フレニーカを傍付きに指名した上級修剣士殿が、かなり厳しい方らしいのです…。特にここ数日、ちょっとした粗相にも長時間の懲罰を課されたり、学院内では少々不適切と思えるようなお世話をお言いつけになったりされるようで…、フレニーカが本当に辛そうで・・・・・・」
そう言って、ロニエちゃん達は大きな瞳をうるませる。その話は聞いていたのか、隣でフィルも唇を噛みながらも、言った。
フィ「俺からもお願いです。同じ傍付き練士として」
私は3人に頷くと、ティーゼちゃんに尋ねた。
ミ「分かった。その上級修剣士って誰なの?」
代わりにロニエちゃんが答える。
ロ「ウンベール・ジーゼック次席上級修剣士殿です」
その名前に、キリトとユージオが心底嫌そうに顔をしかめる。
キ「あいつ、ユージオに立ち合い吹っ掛けて返り討ちだったくせに、まだそんな陰湿な真似してるのか。次は思いっきり叩きのめしてやれよ」
ユ「返り討ちになんてしてないってば。…でも、もしかしたら、そのせいで・・・」
そして、ユージオは何も事情を知らないティーゼちゃん達に、出来事をかいつまんで説明した。ある程度事情を聞き終わると、ティーゼちゃんが覚束ない口調で呟く。
ティ「ええと…つまり、ジーゼック次席上級修剣士殿は、ユージオ先輩との立ち合いで引き分けたことの、ええと…」
フィ「腹いせって事だな」
ロ「そう、それ。勝てなかった腹いせに、フレニーカに懲罰権を行使されたり、屈辱的な御用をお命じになられている…そういうことですか・・・・・・?」
信じられないというような表情で、ロニエちゃんが言う。ふざけんなウンベールとライオスがよぉ‼許さねぇぞ‼可愛い子を泣かすのは万死に値するんだからな覚悟しとけよ‼って言いながらも私は第7位なんですよ‼もっと鍛錬せねば…‼
私が脳内で大激怒している時。泣きそうな小さい震えた声でティーゼちゃんが呟いた。
ティ「私には・・・私には、解りません…。私のお父様は、いつも言ってました。うちが…シュトリーネン家が貴族に列せられているのは、遠いご先祖様がごくささやかな武功を立て、当時の皇帝陛下のお目に留まったからに過ぎない。だから、私達が平民の人達より大きい家に住み、いくつかの特権を与えられているのを、当たり前だと思ってはいけない。貴族であるということは、そうでない人達が楽しく、平和に暮らせるよう力を尽くし、そしていつか戦が起きた時は、貴族でない人達より先に剣を取り、先に死ななければいけないということなんだ、と…」
ティーゼちゃんは一瞬だけセントラル・カセドラルの方角に視線を向け、ユージオに視線を戻した。
ティ「ジーゼック家といえば、四区に大きなお屋敷を構えて、セントリア郊外には私領地だって持っている名家です。たとえ禁忌目録に記されていなくとも、貴族ならば、自分の行いが誰かを不幸にしていないか常に考えなければならない…とお父様は言いました。ウンベール殿の行いは、確かに禁忌にも学院則にも触れないかもしれませんが…でも…フレニーカは昨夜、ベッドで泣いてました。なんで…そんな事が許されるのでしょう…」
ティーゼちゃんは話し終わった時には、大粒の涙を紅葉色の瞳に溜めていた。フィルが心配そうにティーゼちゃんを見つめ、ロニエちゃんがポケットから手巾を取り出し、ティーゼの涙を拭き取ろうとする。私は笑いながら言った。
ミ「本当に素晴らしい人だね、ティーゼちゃんのお父さん。私も見習わなきゃ」
キ「ああ。俺も一度お会いしてみたいよ」
キリトが超絶イケボで穏やかに話す。耳の栄養だな‼
キ「ティーゼのお父さんが教えてくれたのは、えい…じゃなくて神聖語で『ノーブル・オブリゲーション』と呼ぶ、精神のあり方だよ。貴族、つまりティーゼ達やミオとかの力あるものは、それを力なき者のために使わなくてはいけない…」
その言葉に、何か閃いたようなフィルがキリトに聞いた。フィル、鋭すぎないか・・・?
フィ「貴族の誇り、ということですか?」
キ「そうだ。その誇りはどんなものよりも大切なものだ。たとえ法で禁じられていなくても、してはいけないことは存在する。ずっとずっと昔、聖アウグスティヌスっていう偉い人が言った。正しくない法は法じゃないってね」
黒髪の青年の言葉に疑問を持った、青年の相棒が問う。
ユ「でもキリト…法が正しいのか正しくないのか、誰が決めるんだ?皆が好き勝手に決めたら、秩序なんてなくなっちゃうだろう?それを皆に代わって決めるために公理教会があるんじゃないか」
それに答えたのは、今まで口を結んでいたロニエちゃんだった。
ロ「あの…私、キリト先輩が仰ったこと、少し分かった気がします。禁忌目録には書いてないけど大切な精神…それって、つまり、自分の中の正義ってことですよね。法をただ守るんじゃなくて、なんでその法があるのか、正義に照らして考える…。従うよりも、考えることが大切なのかな、って…」
ロニエちゃんの答えに、キリトはその端正な顔立ちに笑みを浮かべ、頷く。
キ「うん、その通りだ、ロニエ。考えることは、人間の一番強い力だ。どんな名剣、どんな秘奥義よりも強い、な」
更に笑みを深くしたキリトに、ユージオが尋ねた。
ユ「しかしキリト、さっき言ってたアウグス…何とかって人は何者なんだ?教会の整合騎士かい?」
キ「うーん、司祭かな。多分もう死んじまってるけどな」
そう答え、キリトはさっきの穏やかな笑みではなく、いつもみたいにニヤリと笑った。
ミオ・マルウィス(19歳)
そろそろだな…と緊張している人。でも緊張よりも怒りの方が勝ってる。ふざけんじゃねぇぞウンベールとライオスゥ‼
今回は出番少なかった。
キリト(19歳)
ロニエ達にノーブル・オブリゲーションを教えた人。ライオス達に嫌気が差してるし、むしろ怒ってる。ミオ程ではない。今回ユージオやミオよりも出番多かった。やっぱり主人公だからね‼
ユージオ(19歳)
キリトがどうしてそんな神聖語を知っているのか疑問に思った人。ティーゼ達の話を聞いて、ウンベール達に抗議しに行く。フレニーカを心配している。
読んでくださってありがとうございました‼