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指輪をはめた、その瞬間だった。
世界が裏返るような感覚に襲われ、律は思わず膝をつく。
視界の端で、黒猫の影が揺れた。
律「ここ…どこ…??」
心臓の音が、やけに大きく耳に響く。
そのとき――
“声”がした。
黒猫『……あれ、あなたは……?』
律「…え!?」
思わず顔を上げる。
目の前にいる黒猫はなんとも言えない様な驚いた顔をしていた。
律「……いま、しゃべっ……」
黒猫『最近の猫は喋るのよ』
頭の奥に、直接響く声。
ぞくりと背筋が震えた。
律「はぁ、?えっ、どういう…」
黒猫は、どこか懐かしそうに目を細める。
黒猫『やっぱり……戻ってきたんだね』
律「戻って……? ちょ、待って。意味わかんないんだけど…。」
混乱する律をよそに、黒猫は静かに続けた。
黒猫『時間がないの。
あなたにしか、できないことがある』
律「……俺に?」
なぜか、その言葉が胸に引っかかる。
初めて聞いたはずなのに、知っている気がした。
律「……何を、言ってんだよ…。」
一瞬、黒猫は言葉を選ぶように黙った。
黒猫『――“彼ら”を』
その瞬間。
胸の奥が、きつく締めつけられた。
名前も、顔も、思い出せないはずなのに。
必死に呼ぶ声。
引き止める手。
「行くな」と叫ぶ、あの感情。
律「……っ、う……」
頭が、割れそうに痛む。
黒猫『まだ思い出さなくていい』
黒猫の声は、優しくも、どこか残酷だった。
黒猫『でもね、律』
名前を呼ばれた瞬間、はっきりと確信した。
――この猫は、俺を知っている。
黒猫『あなたにしか、救えない』
その言葉と同時に、指輪が淡く光る。
律「……冗談、きついって……笑」
笑おうとして、失敗した。
視界が滲む。
黒猫『大丈夫。
あなたはやり遂げる。』
律「……何を……?」
黒猫『まだ知らなくていい。』
光が、視界を覆う。
地面の感覚が、ふっと消えた。
律「……っ、ま、て……!」
黒猫『彼らをお願い。』
最後に聞こえたのは、黒猫の声。
ーーー
律「んぐ…。ん…?」
??「…様……主様!!」
律「…?…はぁ!?ここどこ!?」
目を開けるとそこは知らない場所だった。
なのになぜか懐かしい。
…なぜだろうか。
ーーー
ーー戻る場所をもう一度ーー
~第2話 貴方にしか救えない~
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