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僕が黙っていると、さらに怒らせてしまったかと不安になったらしい。彼女は饒舌に僕をなだめようとしてくる。
「ごめん。言いすぎた。むっつりスケベとはまさにボクのことだ。ボクは自分でメンヘラだという自覚がある。こんなボクが異性に愛されるわけないとあきらめていたし、セックスなんてもしかしたら一生しないで終わるんじゃないかとさえ思っていた。陸はそんな不安を利用してボクに近づいたんだと思う。笑ってくれ。ボクは声をかけられたその日に陸にすべてを許した。一度セックスすると、もともとセックスに興味津々だったボクにはもう歯止めが効かなくなった。セックスの虜になったボクは毎日陸とのセックスに明け暮れた。陸にセフレ扱いされたと君に愚痴を言ったことがあるが、セフレとは友だちという意味ならそれも違うな。セックスマシーンという言葉がぴったりだ。実際、陸たちにそう言われたこともある。実際その通りだったから、そう言われたときボクはヘラヘラと笑っているしかなかった。ボクは夏梅と、今度こそ人間らしい恋愛をしたいんだ。まだ好きだとか愛してるとか言えないが、夏梅はボクにとって人生で一番の推しだ。軽い言葉だと思わないでくれ。推しのためならボクは死ねる。ボクは夏梅の最強の彼女になると誓う!」
メンヘラらしく彼女はすぐに周りが見えなくなる。最初こそ小声だったが、自分に酔い始めて徐々に声が大きくなった。最後の方は絶叫に近かった。
車内のあちこちから大きな拍手の音が聞こえてきた。分かるよ。僕も赤の他人の立場なら拍手した気がする。一方、拍手されている当の彼女はきょとんとした表情。
「何の拍手だ? 窓の外に何かいるのか?」
窓側に座る彼女がきょろきょろと窓の外を見回している。最強の彼女ならいいが、最恐や最狂や最凶にならないことを彼氏の僕は祈るばかりだ。