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柔らかな物腰に優しそうな風貌.仮面のような笑顔、それが初対面の王太子様に対しての私が抱いた感想だった。私はここに来たら何か役割があるのだと思っていた、でも王太子様に言われたのは部屋にちかずかないこと.貴族の令嬢と会わないことだけだった。
ヴィスタン家に来てから王太子様に会わずに10日が過ぎた、このままで良いのか少しばかり迷う気持ちがないわけでは無いが、あの人が夫だと言われてもよく理解できない。
更に数日後、私は木の上で震えていた。登るときは隣にある自分の部屋から跳んで乗ったから良いが、とても飛び降りられる高さではない。
どれだけたったのか私は寝てしまっていたようだ、重いまぶたを開けると信じられないほど整った顔が会った。「起きたか」見まちがいかと思いパチパチとまばたきするが、その声を発した王太子様は消えなかった、空はもう日が沈みだし辺りは薄暗くなっていた。
驚いている私を軽々と持ち上げストンッと着地し部屋まで運んでくれた、「もう休め」そう一言残し帰っていく背中を見送る、ベットに入った後メイド達が騒がなかったのは王太子様がずっと隣に居てくれたのだろう、その隠れた優しさに少しばかり笑みがこぼれた。
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